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悪役令嬢に転生したはずが、主人公よりも溺愛されてるみたいです[web版]  作者: 菜々@12/15『不可ヒロ』1巻発売
本編

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60 イクスの恋心を改めて確認しましょう


サラとエリックの結婚を阻止する。


新たな目標ができた私。

でも、侯爵家同士の婚約をそんな簡単に解消できるものなのかしら?


王宮でのパーティーから数日がたったが、私はずっとその事ばかり考えていた。



「リディア様。そろそろ昼食のお時間です」



庭の木陰で座っていた私に、イクスが声をかける。

天気の良い日は、この場所で考え事をするのがお決まりになっていた。



イクスはいつも黙って近くにいてくれる。

時間の管理は全てイクスに任せているので、最近では護衛騎士兼私の専属執事のようだ。



私はイクスの整った顔をジッと見つめた。


イクスは「なんですか?」と険しそうな顔をしていたが、頬が少し赤くなっている。



……イクスの事も、悩みの1つなのよね。



イクスは今すでにサラに恋に落ちている……はず。

でも、エリックの婚約者だからとその恋を諦めているのよね?


もしエリックとサラが婚約解消したら、イクスの恋が燃え上がってしまうのではないかしら?



それはなんだか……おもしろくない。



「はぁーー…」


「……人の顔を見てため息つくのやめて下さいよ」



イクスって、見れば見るほどにイケメンよね。


焦げ茶色の短髪に整った顔。

すらっとした長身に程よく筋肉のついた身体……。


そんな男子が、溺愛ハーレムを希望してるサラの事を好きになっちゃうなんて……本当にもったいないわ!!



「イクスって女の趣味悪いわよね…」



ため息混じりについつい嫌味を言ってしまう。


イクスはピクリと反応した後、腰を下ろして私と目線を合わせたかと思うとまじまじと私を凝視した。



な、なに……?



私と目を合わせたまま、イクスは言った。



「そうですか……?

そんなに悪くないと思いますけど」


「恋する男は盲目になってるのよ」


「……突然どうしたんです?」



どうしようかしら。

直接本人に聞いてみる?


いくら婚約解消したとしても、主人であるエリックの元婚約者を狙ったりはしないかもしれないし。



「あの……。もし、イクスの好きな人が婚約解消したら……イクスはどうする?」



私の質問に、イクスは目を大きく開いて驚いていた。

沈黙したまま私を見つめている。


正直に答えようか、迷っているみたいだ。


少ししてイクスは口を開いた。




「……俺のものにしようとしますね」




とても真剣な表情だ。

あまりの熱い視線に、思わずドキッとしてしまった。




……って、えええーーーーーー!?



ダメじゃん!!

イクス、サラを狙う気満々じゃん!!



「で、でも、元婚約者の事は気にならないの?」



元婚約者という言葉を聞いて、イクスの眉がピクリと少しだけ反応した。

そしてキッパリと言い切ってきた。



「婚約解消したならもう他人ですよね」




あっさりだな!!!

他人になったのだから、エリックは関係ないと!?


エリックに対しての忠誠心とかないの!?



それ以上にサラが大事って事なの!?



エリックとサラが婚約解消したら、イクスは私の護衛騎士を辞めてすぐにサラの元へ行ってしまうのかしら……。

なんて薄情な……。


思わず涙目になってしまう。



「じゃ…じゃあ……私とその好きな人、どっちが大事なの?」




「…………はい?」



きっと私の顔は涙目で必死だったと思う。

好きな人だと即答されたらどうしよう。



「………………」




「………………」






しーーーーーーん。




あ、あれ?

何で急に黙るの?



それに……イクスがめっちゃ軽蔑の眼差しで見てくるんだけど、何で!?


お前なんなんだよ。その質問は。

ふざけてんのか!?


って顔をしているわ!!!



あっ!!私とどっちが大事なの?なんて、男が言われたら困る質問だった!!

それで引いちゃったのかな!?


どうしよう……撤回しようかしら……。



そんな事を考えていると、イクスがはぁーーと大きなため息をついて項垂れた。



「……リディア様です」


「え?」



「リディア様のが大事です」



えっ……。


サラより、私の方が大事なの……?

エリックの時は即サラを選んでいたのに。


イクス……。



じぃーーーーん。

まさかそんなにもイクスに大事に思われていたなんて、嬉しい……。




思わず感動……って、だから何でイクスはそんな残念な子を見るような目で私を見てくるわけ!?


ここ、感動シーンじゃないの!?

私とイクスの温度差がひどいんですけど!!



……まぁ、今はその返事をもらえただけでヨシとするか。

いきなり私を捨ててサラとかけ落ちなんてしないって事よね。



ならやっぱりエリックとサラの婚約を解消させるための計画を立てなくちゃ!

まずは、2年後にする予定の結婚を延期できないか打診してみよう。


いきなり婚約解消は難しいもの。

少しずつね!



「誰と勘違いしているんだ…?」とブツブツ言ってるイクスを置いて、私は屋敷へ戻った。






その日の昼食はエリックと一緒だったので、早速結婚についての探りを入れてみる事にした。



「あの……。エリックお兄様」


「なんだ?」



エリックはお肉を口に運びながらこちらを見た。

相変わらず無表情だが、威圧感などは全く感じない。



「エリックお兄様は、サラ様と2年後に結婚なさるおつもりですか?」



私の質問に、エリックは一瞬動きを止めた。

顔に暗い影がかかったような気がしたけど……気のせいかしら?



「……何故2年後なんだ?」


「え?」


「当分、結婚をする予定はない。

最低でも5年はしないだろうな」



そう言い放つと、エリックは再び食事を続けた。



ええ!?5年は結婚しないですって!?


確かにエリックはまだ22歳。

5年後には27歳でちょうど良いのかもしれないけど……。



でも、小説では確かにエリックは24歳でサラと結婚したはずよ。


どういう事?

私が話の内容を変えたりしたから……2人の結婚時期もズレてしまったのかしら?


それとも、2年後に結婚しなくてはいけなくなるような、何か大変な事件でも起こるの?



その時、久しぶりに頭の中に小説の内容が入ってきた。



『ナイタ港湾の一件で、コーディアス侯爵家に危機が訪れる。

その危機を救ったのは、貴族の中でも財政力の高いヴィクトル侯爵家だった。


エリック侯爵は、ヴィクトル侯爵令嬢と結婚した事で家門を守ったのだ』




はっ!!

そういえば、そんなような事が……。



うちの危機?それを助けてもらう為に、エリックはサラとの結婚を早めたのね。


という事は、このままいけばやっぱり2年後に結婚する事になるんだわ。




でも、もしも……もしもその危機を事前に回避できたら、サラとは結婚しなくても済むって事かしら?


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― 新着の感想 ―
[気になる点] >「じゃ…じゃあ……私とその好きな人、どっちが大事なの?」 うわぁ…言われたらめんどくさい女の台詞ランキングTOP3に入る絡みウゼェ… あと女性が20歳で適齢期の世界では男も22ぐ…
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