表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢に転生したはずが、主人公よりも溺愛されてるみたいです[web版]  作者: 菜々@12/15『不可ヒロ』1巻発売
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/128

51 美少女リディアと美少年ルイード皇子


本日は王宮のパーティーです。


メイド達は朝から張り切って私をお風呂に入れては、身体の隅々までそれはそれは丁寧に洗ってくれています。

何種類もの花びらが浮かぶ湯船からはとても良い香りがして、私の身体にも染みついてくれているみたい…。


髪の毛も念入りにトリートメントをつけてサラサラにしているし、顔にもパックを付けてお肌をぷるぷるにさせています。

まるで高級エステサロンにいるような気分でございます。



……って結婚式かよ!!

と言いたくなるほどの、気合いの入れよう…。


ルイード皇子のパートナーとして参列する私を、いかに美しくさせるか…メイド全員で奮闘してくれている。



ルイード皇子はずっと病弱であまりパーティーなどには顔出ししていなかったし…。

これがお披露目パーティーのようなものだからね。


ルイード皇子のためにも、隣に立つ私は出来るだけ美しくなくちゃ!

仮にも皇子様の婚約者という立場で注目を浴びるだろうし。


まぁリディアは元々が天使すぎる天使だから、心配はいらないけれど。



髪は全て編み上げてアップスタイルだ。

皇子から頂いたドレスを目立たせるため、髪は下ろさない事にした。


ドレスと一緒に届いた、ブルーの宝石がたくさん付いたティアラとネックレス。

アップスタイルにした髪の毛にとても似合っていて、離れた場所からも宝石の輝きがわかるほどだ。



そこにリディアの瞳と同じ色の、薄いブルーのドレスを着たら……。



「ほぅ…。なんて美しいのでしょう…」


「まさに女神ですね…」



メイド達が涙目でそう言ってしまうほど、美しすぎる天使が出来上がった。

メイド全員がうっとりとした顔をしてリディアを見つめている。


メイは泣きながらもガッツポーズをしていた。

大満足の出来らしい。



そういう私自身も、鏡を見て驚いたわ。

元々美しいリディアが、さらにここまで綺麗になるなんて……!!

エステやメイクってすごいのね。




…コンコン。



「リディア。準備はできたか?」



エリックだ。

カイザと違い、着替えている可能性がある中でいきなりドアを開けたりなどしない。



「できました」



そう答えるとエリックが部屋に入ってきた。

私の姿を見て、普段ほとんど無表情のエリックの目が大きく見開いた。



「……驚いたな。とても綺麗だよ」


「ふふっ」


「そういえば、この姿で社交界に出るのは初めてだったな……。

リディア、今日はルイード皇子から離れるなよ」



この姿で…社交界…?


ああ。そうか。

今まではあの濃いメイク&縦ロールで社交界に出ていたんだわ、リディアは。


同一人物だと気づかれないのでは……。


ぜひみんなの記憶から昔のリディアの姿を消して、今日のリディアの姿を刻んでもらいたいものだわ。








馬車の中でエリックと向かい合わせになるように座り、王宮へと出発した。


ここ最近王宮騎士団の朝特訓に参加していたイクスは、本日は王宮の護衛として手伝いに出向いている。

パーティーに参加したくないカイザも、護衛を名乗り出たそうだ。



「そういえば、サラ様を迎えに行かなくて良かったの?」


「ああ。少しうるさかったが……。

お前を1人で行かせたくはなかったし、3人で行くものでもないからな」



エリックは窓の外を眺めながら答えた。


狭い馬車の中でエリックとサラと私の3人…想像するだけでゾッとするわね。

だったら1人の方が全然マシだわ。


サラを誘わなかったエリックには感謝しかない。



「ルイード皇子も……本当はお前を迎えに行きたいと言っていたのだが、2人で馬車に乗るのはまだちょっと厳しいそうだ」



エリックが何かを思い出したかのように、クスッと笑って言った。



「え?どうして厳しいの?」


「……そこは察してやれ」



そんな話をしている内に、王宮へ到着したようだ。


馬車が通された場所にはやけに護衛騎士たちがたくさん集まっている。

イクスやカイザはいないみたいだけど……なぜこんなにも護衛騎士がいるのだろうか。



その疑問は、馬車の扉を開けた瞬間に解けた。


馬車の前にルイード皇子が立っている。



「ルイード皇子!?」


「ようこそ。エリック侯爵、リディア嬢」



ルイード皇子が軽く紳士の挨拶をする。


エリックを見ると大して驚いてない様子なので、なんとなく予想していたのだろうか。

まさか皇子様が直々に出迎えてくれるなんて…。


ルイード皇子が私にむかって手を差し出した。

エスコートしてくれるのだ。



え、上手にできるかしら…。



漫画ではよく見かけるシーンだが、実際問題難しくない?


片手は皇子の手にのせて、もう片手でこの重いドレスのスカートを持ち上げて、広がったドレスのせいで全く見えない足元に注意しながら馬車から降りるのよ?


なかなかの無理ゲーじゃない?



ルイード皇子の手を取り、馬車からゆっくりと降りる。

護衛騎士たちからの視線がすごくて余計に緊張してしまう。


私が無事にルイード皇子の隣に立つと、周りから小さな歓声が湧き上がった。



は、恥ずかしい……!!



チラッとルイード皇子を見ると、赤く頬を染めていた皇子の顔がさらに赤くなった。

皇子も恥ずかしいのね。



……というか……皇子相変わらず可愛いな!!


以前会った時よりも、身体も随分としっかりしているようだ。

顔色も良く、やつれている様子もない。



宝石のようなネイビーの瞳は変わらずキラキラしていて、大きなぱっちりとした目をさらに引き立たせている。

銀の入った薄いブルーの髪の毛がサラサラと揺れて、美少年度がさらに増していた。



あっ。このドレス、私の瞳の色であり皇子の髪の色でもあるのね!



皇子は、リディアのドレスに付いた宝石と同じ色の衣装を着ている。

お揃いの衣装に美少年と美少女の組み合わせ。


周りから歓声が上がるのも当然ね…。



身長差もまだ5cmほどしかない、可愛らしい16歳の皇子と15歳のリディア。



うん。私がエキストラだったとしても、可愛いーー!!お似合いよーー!!って盛り上がってしまいそうだわ。


美少女の中身はアラサーですけどね…。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ