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悪役令嬢に転生したはずが、主人公よりも溺愛されてるみたいです[web版]  作者: 菜々@12/15『不可ヒロ』1巻発売
本編

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49 とりあえず主人公から隠れます


「イ、イクス!!」


「はい?」



振り向くと、イクスはぼーっと空を見上げていた。

なかなか会えない好きな相手がすぐ近くにいるのに、全く興味なさそうにしてるなんて…。


でも今はそんなのどうでもいいわ!!



「お願い!!私をどこかに隠して!!」


「……はい?かくれんぼですか?」


「違うっ!!とりあえず、サラ様に見つからない場所に隠して欲しいの…」



リディアが転生者かどうか、サラが部屋に確かめに来るかもしれない。

今の私はサラを上手くスルーできる自信がない。


どうやら私の切羽詰まった様子が伝わったらしい。

イクスは私の手を取って、「こっち」と屋敷の中へ入って行った。


そして案内された場所は……。



「……ここ、どこ?」



そこは8畳ほどの部屋だった。

ベッドと机とクローゼットしかない、とてもシンプルな部屋だ。



「俺の部屋です」


「えっ!?」



イクスの部屋!?


小説には出てこなかったけど…そうよね。

部屋くらいあるわよね。当たり前か…。


わ、私、男の人の部屋に入ったの初めてだわ!!

こんなにサッパリしてるのね!



「それで、どうかしたのですか?」


「え?」


「サラ様に見つからない場所に…って」



あ。忘れてた。


そうだわ。サラに私が転生者だとバレてしまったかもしれないんだった…。

でもそんなの言える訳ないじゃない…。



「んーー…。何でもなくないけど、何でもない」


「なんですか、それ。

……というか…ベッドに座らないでくださいよ」



サラの事を考えたら憂鬱になって、思わずすぐ近くにあったベッドに腰掛けていた。


でもこの部屋ソファないし、仕方なくない?

イクスってば潔癖症なのかしら。



「ダメなの?疲れてるんだもの…」



ここは雇い主という立場を利用して甘えてみる。

もうすでに座っちゃったんだし、いいじゃない。



「……はぁ。別にいいですけど」



イクスは顔に手を当てて目を隠していた。

指の隙間から見える肌が、少し赤くなっているような気がする。


そしてなぜか私から1番離れた壁にピタッとくっついて立っていた。



……なんで座らないのかしら?

他人の部屋でくつろいでる私が偉そうみたいじゃない。

まぁ別にいいけど。



それより問題はサラだわ。

もし、直接「転生者なの?」って聞かれたらなんて答えればいいのかしら。


「そうよ」って肯定する?

「違うわ」って否定する?

「なんの事?」ってとぼける?


どう答えるのが1番いいんだろう…。



……それにしても、この部屋居心地がいいわね。

ポカポカ暖かいし、窓から入ってくる風は気持ちいいし、風に揺れてる葉の音にも癒されるわ。


なんだか……ちょっと……眠く……。



「……本当に信じらんねーな」



イクスの声がうっすら聞こえた気がした。









「ん……」



目が覚めると、いつもの自分のベッドにいた。

外はすっかり夕焼け空だ。


……あれ?私、いつ寝たんだろう?



「あ。リディア様、お目覚めになりましたか?」



メイが小走りで私のところまでやって来た。



「メイ……。私……?」


「突然お庭で眠ってしまったと、イクス卿が連れて来てくださったんですよ。

外で寝てしまうなんて……よほど眠かったのですか?」



はっ!!思い出した!!


私、イクスの部屋で寝ちゃったんだわ!

主人を部屋に入れた事がバレたら大変だから、庭で寝たってウソついたのね!?



「そ、そうなの。暖かくて気持ち良くて…」



でも、庭で寝たなんて…とんだお転婆娘みたいじゃない。

もっとマシな言い訳はなかったのかしら。



「でも良かったですよ!お部屋にいなくて。

あの後サラ様がずっとリディア様の事を探していたんですよ」


「えぇっ!?」



や、やっぱり!!

私の事疑っているんだわ!


もぉーーーー!!カイザの馬鹿!!


どうやらエリックとは30分ほど一緒にお茶をしただけで、その後はずっとリディアを探していたらしい。


まぁいくら婚約者の身とはいえ、まだ他人であるサラが自由に屋敷を動き回っていい訳もなく……。

すぐにエリックに帰されてしまったそうだけど。



でもあのしつこいサラの事だ。

きっとまたすぐに会いたいと打診してくるに決まってるわ!


いつまでも逃げ続ける訳にいかないし…。

どうしたらいいの。



「そういえば、リディア様!

来月のパーティーには何色のドレスを着ますか?」


「ドレス?来月のパーティー?」


「王宮で開かれる、第1皇子様の生誕パーティーですよ!」



そんなものがあるのか。

そういえば、この国では10歳、20歳、、と節目で大きなパーティーを開く設定だったわね。


第1皇子が20歳か。


王宮のパーティーとかすごく興味はあるけど、貴族のルールや踊りもわからないし行きたくないな。



「それ、行かなきゃダメなの…?」


「なに言ってるんですか!!

リディア様は第2皇子様の婚約者なんですから、皇子様のエスコートを受けるんですよ!!

これは気合いを入れて準備しなければ!」



ぶふーーーーー!!!


おおお皇子のエスコート!?

そうか!!私、ルイード皇子の婚約者だった!まだ!


ヤバいじゃん!!

踊れないとか言ってる場合じゃなくない!?



……それまでに婚約解消しちゃう?



くぅんくぅん…



あっ!!ダメだ!!

捨てられた子犬のようなルイード皇子の姿が浮かんでくる!!くそ!!



「……メイ。明日からダンスの練習がしたいんだけど…」



項垂れながらも、なんとか声を振り絞ってメイに伝えた。

メイは目を輝かせながら頷いていた。



「かしこまりました!!

アース様にお伝えしておきますね!!」



ダンスなんて……アラサー喪女だった私が出来るんだろうか…。

はぁ……。


サラの他にも問題が起きてしまったわ…。


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