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悪役令嬢に転生したはずが、主人公よりも溺愛されてるみたいです[web版]  作者: 菜々@12/15『不可ヒロ』1巻発売
本編

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44 カイザ目線


今日はリディアをフェスティバルに連れて行く日だ。

ただの平民の祭りだし、そんなに危ない事もないだろう。


要注意なのは暴漢ではなく浮ついた男共。

リディアを狙って声をかけてくる男共を片っ端から排除する事。


それが今回エリックから頼まれた内容だ。



全くとんだ過保護になったもんだぜ。

いくらリディアが可愛くても、平民の格好をさせて横に俺とイクスが立っていたら……誰も声なんてかけてこないだろ。


一緒に歩いているだけで、特に何かする必要はないはずだ。

そう思っていたが……。



「お前……。あの女には近づくなよ?わかったな?」


「は、はい!すすすみませんでした!!」



今日何人目になるであろうか。

浮ついた男がまた1人走って逃げて行った。


祭りの雰囲気にやられているのか、リディアを一目見た瞬間に周りが見えなくなったのか……。

先程からリディアに声をかけようとしてくる男共が後をたたない。



リディアに気づかれる前に俺とイクスで処理しているが、地味に疲れるな。これ。



あ。処理と言っても、路地裏に引きずり込んでちょっと脅してるだけだ。

暴力は振るっていない。



何事もなかったかのように、またリディアの隣に立つ。

リディアは長い金髪を高い位置で一つに縛っていて、白くて細い首が露わになっている。

大きな薄いブルーの瞳はキラキラ輝きながら街の様子を見ていて、自分を見つめる男共の視線には全く気づいていない。



顔にタオルを巻いて隠そうか?

それとも気味の悪いお面でも付けて隠そうか?


どうにかして男共にリディアを見せないようにしたいが、できる訳ないな。



しばらく祭りを楽しんでいると、少し離れた広場で腕相撲対決をしているのが見えた。



なんだあれ!!おもしろそうだなっ!!



挑戦してみたくてウズウズしていると、リディアが行っていいと言ってくれた。

後ろを確認すると、イクスもすぐ近くまで来ている。



よし!!じゃあちょっと行ってくるか!!



と走り出した時だった。

後ろからイクスの叫び声が聞こえて、俺は振り向いた。



リディアのすぐ後ろに、ふざけたウサギの仮面をつけた男が立っている。

その男の腕が、リディアを捕まえようとしていた。



「リディア!!」



イクスも俺も走り出したが、間に合わない。

男はリディアを肩に担ぎ、足速にその場を去って行く。



行かせるかよ!!



追いかけようとした時、目の前には大勢の平民達が立ちはだかった。

なぜかみんな笑顔だ。



「大丈夫だ。(ウサギ)のジャックだよ」


「少ししたら無事に帰ってくるから安心しなさい」


「あれは娘達にとっては希望なんだから。

選ばれて良かったじゃないか」



口々になにか言ってくる。



なんだ?兎のジャック?

攫われたのに、無事に帰ってくるだと?


それよりも、どけ!!早くしないと……!



なんとか平民達をかぎ分けて前に出たが、すでに男の姿はなかった。

同じようにやっとで前に出てきたイクスも、男のいた方向を見てぼう然としている。



「くそ!!」



なにをやっているんだ!!俺は!!



イクスが平民達に話しかけている。

どうやら先程聞いた『兎のジャック』とやらの事を詳しく確認しているようだ。



なにが兎のジャックだ。

ふざけた仮面なんかつけやがって!



平民達から情報を集めてきたイクスが、俺のところまでやって来た。



「どうやら無事に帰されるというのは本当のようです。

毎年のフェスティバルで数人の娘が攫われるそうですが、皆数時間後には無事に帰ってくると。


ただ……その数時間、貴族の男性達との食事を楽しむのだそうです」


「はぁ!?貴族の男と食事だと!?」


「貴族の娯楽の1つのようですね。

娘達には成り上がるチャンスもある事から、むしろ自分から参加したいと思っている娘もいるそうです」



なるほどな。それでさっきの拍手や平民達の態度って訳だ!

ふざけやがって!底辺貴族風情が!



「……という事は、そのクソ貴族達がリディアを侍らせて楽しむって事か?」


「……そういう事ですね」



イクスの顔には激しい怒りの感情が出ている。

きっと俺と考えてる事は同じだな。



「そのクソ貴族達の食事をしてる場所っていうのは、どこだかわかってるのか?」


「過去に行った事のある娘に聞きましたが、わからないそうです。

ただ、高級そうな店だったと」


「この平民街から人を抱えて行ける距離で、貴族しか入れない店……となれば、絞れるな」


「すでにいくつか候補は上がっています」



イクスは今にも動きたくてウズウズしているようだった。

それは俺も同じだが。



「よし。ぶっ潰しに行くぞ!」


「はい!」


「この際だ。クソ貴族共を全員誘拐犯として捕まえてやる!」



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― 新着の感想 ―
[一言] お祭りの名物のひとつとして、みんな楽しんでいて夢もあるのに。ましてや相互win-win。水を差す上位貴族の個人的感情は、傲慢でちょっといただけないなあ ( 。-_-。) ・・・犯罪に繋が…
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