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悪役令嬢に転生したはずが、主人公よりも溺愛されてるみたいです[web版]  作者: 菜々@12/15『不可ヒロ』1巻発売
本編

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40 エリックはヤキモチを妬かれたいそうです


「それで、なぜあんな状況になったのですか?」



部屋に戻るなり、イクスに問いただされた。

すでにサラと私の噂を聞いていたメイも、真剣に私の回答を待っている。


2人とも……私の事を信用しているようで、まだどこか疑っているのね。

以前のリディアの性格を考えると、仕方ないけど。



「私だって聞きたいわよ。

突然悲鳴を上げて倒れるから、すごく驚いたのよ!」



まさか『小説の通り、イクスとの出会いのシーンを再現させたかったみたい』なんて言えないわ。



「サラ様が倒れる前に、何か言われていませんでしたか?

あまりに迫力が凄かったので……止めに行こうか迷いました。

何を言われていたのかお聞きしても?」


「ああ。あれは……『大好きなお兄様と婚約している私を恨んでいるのでしょう!?』って詰め寄られていただけよ」



否定して手を離そうとしたら急に倒れて……。

そう説明しようとした時、突然エリックが部屋に入ってきた。



えっ!?エリック!?なんで!?

今は執務中では……。


あっ!!もしかして、私がサラ様を怪我させた事を聞いて怒ってここに!?

ど、どうしよう!!

誤解って信じてくれるかな!?



「あ、あの。エリックお兄様……」


「やはりそうだったのか」



うん?やはり……って何が??


よく見ると、エリックは怒っているというよりも少し嬉しそうに見える。

めずらしく口角が緩んでいた。



あれ?なんだかご機嫌っぽいけど…。

サラ様の事を聞いてきたのではないのかしら?



「サラ様とお前の事を聞いた。

サラ様は、お前に突き飛ばされたと主張していたぞ」



聞いてきたんかーーーーい!!



あっ!いけない!つい心の中でエリックにツッコんでしまったわ!

というか、それを知っているのに何故少し笑顔なの!?

怒ってないの??



「リディア。正直に言うんだ」


「え……?」



エリックが私の両肩に手を乗せ、顔を近づけてきた。

至近距離で見るエリックの整い過ぎている顔に、思わず動揺してしまう。


サラサラの長い前髪。窓からの光にあたり、金髪がキラキラ輝いているが……この輝きは本当に髪の毛だけだろうか?

エリック本人から溢れ出ているのではないか?


前髪の間から見える薄いグリーンの瞳が、私を見つめる。


エリックは一体何を聞こうとしているの……?

やっぱり、私が突き飛ばしたと思ってるの?

サラ様の言う事を信じてるの?


不安な気持ちでエリックの言葉を待つ。



「お前は……」



ゴクリと息を呑んだ。



「サラ様にヤキモチを妬いていたのか?」



…………ん?

え?なんですって?



「俺をサラ様に取られると思って……。

俺の婚約者であるサラ様を、つい突き飛ばしてしまったのか?」



え?えーーーーと?

何を言っているのかしら。エリックは。


というか、それって私が突き飛ばした事前提になってますけど!?



違う!突き飛ばしてない!って否定したいのですが……。


どうしましょう。

エリックがYESの返事を期待しているみたいなのですが。


どういう事?

サラ様を突き飛ばした事はどうでもいいの?

私がヤキモチを妬いたのかどうかが知りたいだけのような……。



エリックが瞳をキラキラさせながら、私の返事を待っている。

すごく期待した顔で待っている!



うん。違うって言えない雰囲気ね。

大丈夫!私は空気が読める女よ。

だからメイとイクス!『お願いだから肯定してあげて』って目で見つめてこないで!!

わかってるから!



「あの……そ、そうなんです。

エリックお兄様を取られちゃうと思ったら悲しくなっちゃって。

でも、突き飛ばしてはいません!!

手を離そうとしたら、サラ様が転んでしまっただけで……」



ヤキモチ妬いたって事にしてあげてもいいけど、突き飛ばした事は認められないわ!

 


私の言葉を聞いて、エリックは満足したようだった。

いつものように頭をポンポンしてくれる。

メイもイクスも遠くから微笑ましそうに見てくる。


な、なんだか恥ずかしいな……。

それにしても、小説ではリディアのヤキモチが原因でエリックからは嫌われていたはずなのに。

今はそれが喜ばれているんだから、不思議ね。



あっ!!そうだ!!

今のエリックは機嫌良さそうだから、外出の許可をもらっちゃおう!

万が一のために、家出のルートも探しておかなきゃね!



「エリックお兄様。

私、街へ行きたいです!許可していただけますか?」


「そう言ってくると思っていたよ。

5日後にあるフェスティバルに行きたいんだろう?

カイザが、リディアと行くと言っていたぞ。

あいつとイクスが一緒なら問題ないだろう」



げっ!!カイザと一緒!?

それじゃ好きな所へ行けるかわからないじゃない。

でも、フェスティバル……ですって?



「ははっ。リディア様、嬉しそうですね」



楽しみ!と思ってしまったのが、顔に出ていたらしい。

イクスに笑われてしまった。


でも、異世界のフェスティバルなんて見てみたいじゃない!



「ありがとうございます。エリックお兄様」



フェスティバルかぁ〜!

どんな感じなんだろう!楽しみ!

カイザも一緒っていうのがちょっと気に入らないけど……まぁそこはいいか。


でも……そういえば、小説でも『フェスティバル』って言葉が出てきたわよね。

フェスティバルに関係した話がなにかあった気がするけど……思い出せない。

なんだっけ??



うーーーーん。おかしいわね。

いつもなら頭の中に情報が入ってくるのに……全然そんな気配がないわ。


特に問題のない内容なのかしら?

5日の間に思い出せるといいけど……。


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