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悪役令嬢に転生したはずが、主人公よりも溺愛されてるみたいです[web版]  作者: 菜々@12/15『不可ヒロ』1巻発売
本編

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27 ルイード皇子の部屋に放置されましたがどうしましょう


うーーーーん。

どうも、こんにちは。リディアです!

ただ今ちょっと困った事になっております。


え?今?

私、王宮のルイード皇子の部屋にいます。

王宮に到着した途端、陛下の命令だと言われルイード皇子の看護を任されてしまいました!


カイザはエリックと陛下の所へ、昨夜の話をするために行ってしまいました。

イクスは部屋の外で待機中です。

部屋には私とルイード皇子の2人きりなのですが…


皇子が布団を被ったまま出てきません。

昔のアニメでよく見た、子どもが布団被って丸くなっている姿を初めて生で見ました。


1人にしろ。声をかけるな。

と命令を受けている王宮のメイド達が、皇子に何も言わず私をこの部屋に放置して行きました。

皇子は私がいる事にも気づいていないでしょう。



え。これ、私どうしたらいいの?



まず、皇子の専属メイドさんから聞いた話によりますと…皇子の身体から毒が検出された事に大きなショックを受けて、この状態になってしまったそうです。

ご飯も食べない、口も聞かない、でほとほと困り果ててるところに私がやって来たという訳です。


目の輝いたメイド達に、「よろしくお願いします!」って任されてしまいました。

どうやら期待されてるみたいですね。




……いや!!!私にも何もできませんけど!?

私だって昨日久々に会話した程度の仲なのに、一体どうしろと!?

慰められる自信がないわ!


うーーーん。とりあえず、皇子は今どんな心境なのかしら?

悲しんでる?怒ってる?


はぁ…。

部屋に入ってからしばらく入り口で立ち尽くしていたけど、このままじゃダメよね。


私はベッドに近づき、ルイード皇子に声をかけた。

部屋に入ってきたものの、まだ声すらかけていなかったのだ。



「ルイード皇子様。リディア・コーディアスでございます。

ご体調はいかがでしょうか…」



言い終わるかどうかのタイミングで、布団がガバッとめくり上げられルイード皇子が起き上がった。

頭がボサボサになっているけれど、相変わらず幼い子どものようで可愛い姿だ。


え!?普通に起きたけど!?

声かけても無視するって話だったのに…。


クリッと大きな瞳は、少し不安そうな色を滲ませながらも私を見つめた。

だがその目の下にはクマができていて、昨日よりも疲れたような顔をしている。

昨夜から食事を取っていないというのも原因かもしれない。

服は恐らく寝巻きのままだ。薄着だと、皇子が痩せ細っているのがよくわかった。



「リディア…」



皇子の声は少し震えていた。

目にも少しだけ涙が浮かんでいるかのようにも見える。

まるで助けを求めるかのようなその弱々しい声に、胸がぎゅっとなった。


…そうか。ルイード皇子は不安だったんだわ。

突然自分が何年も前から毒を飲んでいた事実を知って…。

誰が毒を盛ったのかもわからない状態だし、周りの人達を信じられなくなっていたのね。

メイド達に顔を見せなかったのも、敵か味方かわからないから…。

だから陛下は私に皇子のことを頼んできたんだわ。


捨てられた子犬のような姿のルイード皇子。

こんな私にも微かにある母性本能が疼いちゃうわ。

私は震えていた皇子の手をそっと握った。



「大丈夫です。ルイード皇子。私はあなたの味方です。

それに…毒が完全に抜けたら、身体も治りますよ。

だからお食事を召し上がってください。

今運ばせますから」



「い、嫌だ…。また毒が入ってるかもしれない…」



皇子は首を振って嫌がった。

毒が発覚したのだから、調理だって相当気を使って厳重警備の中作っているに違いない。

もう安心だと思うけれど…不安に思ってしまうのも仕方ないよね。



「今はしっかり警備された中で作ってるはずですから、大丈夫ですよ」


「でも…」



皇子はまだ決心がつかないようだったが、このまま何も飲まず食わずでいられる訳がない。

私は皇子の返事を聞かず、部屋の外で待機しているメイド達に食事の準備をお願いした。


ご飯食べて解毒薬飲まなきゃ、治るものも治らないわ!!

無理やりにでも食べさせないと!


不安そうな顔をしているルイード皇子を横目に、用意された食事の中からスープを手に取る。

スプーンにすくい、ふーふーと少し冷ましてから



「はい!あーーーん」



皇子の口に向かってスプーンを差し出した。



「え、ええぇ!?」



少したじろぐ皇子。顔は真っ赤になっている。

あれ?これ…この世界ではやっちゃいけない事?

そんな事ないわよね?



「ほら!お口を開けてくださいませ!

あーーーん!」



ずいっと顔を近づけて威圧すると、ルイード皇子は慌てて口を開けてスプーンを咥えた。

ぱくっ。


よし!食べたわね!

看護といえば、これでしょう!

得意気になった私は、それからもサラダやお肉などを皇子の口に運んでいった。

最後に解毒薬を飲ませたら完了だ!


空になったお皿を下げるようメイド達に伝えると、みんな泣きながらお礼を言ってきた。 


ご飯を食べない皇子を心配していたのね。

口々に「さすがルイード皇子の婚約者様」って言われている気がするけど…そこはスルーさせていただくわ。


王族との結婚なんて、冗談じゃない。

ルイード皇子が健康になれば侯爵令嬢とは結婚なんてしないはず…。

皇子が元気になったら婚約解消になるはずだもの。


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― 新着の感想 ―
[一言] 王族との結婚なんて、冗談じゃない。 ルイード皇子が健康になれば侯爵令嬢とは結婚なんてしないはず…。 皇子が元気になったら婚約解消になるはずだもの。 ↑ 逆、逆 侯爵令嬢で 神託聞ける しかも…
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