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悪役令嬢に転生したはずが、主人公よりも溺愛されてるみたいです[web版]  作者: 菜々@12/15『不可ヒロ』1巻発売
本編

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20 ルイード皇子が可愛いすぎる件


ここでいきなり話すのは良くないわね。

陛下とルイード皇子の他にも、王宮の管理職の方々が何人か参列している。



この中に、第3皇子派閥の人がいるかもしれない。

下手な事を言ったら、ルイード皇子だけではなく、私まで命を狙われてしまうわ!


どこまでが味方でどこまでが敵なのかわからない以上、大きく動くのは得策ではないわね。

でもルイード皇子の解毒処方はすぐにでも開始しないといけないわ。



私は陛下にお願いしてみる事にした。

陛下の優しそうな顔と、このアットホームのような雰囲気があったから緊張しないで話しかけられた。



「陛下へお願いがございます。

ルイード皇子と2人きりになりたいのですが、よろしいでしょうか」



まずはルイード皇子とだけ話さなきゃ!

そう思ってのお願いだったのだけど……ん??



私の発言を聞いて、陛下はなぜかすごくニヤニヤしているしルイード皇子は真っ赤になっている。

エリックとカイザは少しショックを受けたような、驚いた顔をしている。



な、なに……?



「もちろんいいとも。すぐに部屋を用意させよう。

いや……ルイードの部屋でいいかな?はっはっはっ」



なぜかとても楽しそうに陛下が快諾してくれた。



私は別にどこの部屋でも構わないけど?



そう思っていたが、エリックが「来客用の部屋でお願いします!」と強く懇願したためルイード皇子の部屋ではなくなった。



エリックとカイザから叱咤のような視線を感じるのは、気のせいかしら?



用意された部屋に案内された後(今回はエリックがお姫様抱っこで運んでくれた)テーブルを挟んでルイード皇子と向かい合って座った。

ルイード皇子は私と目を合わせずに、俯き加減でソワソワしているようだ。

まるで小動物のようで可愛いらしい。



人見知りなのかしら?

こんな状態でどうやって毒の事を伝えたらいいのか……。

いきなり言っても信じてもらえないわよね。

まずは普通に会話をしてみますか!



「本日、ご体調はよろしいのですか?」


「えっ!あっ……はい。

今日は……その……気分がとても良く……あの……はい」



なんなのこの可愛い生き物は。

元々可愛い男子好きの私の胸をギュンギュンしてくるわね。

顔を赤くしながら戸惑っているルイード皇子の可愛さ半端ないっ!!

1つとはいえ年上だし、さらに王族なのに敬語使ってくるとか最強かよ!!



「あ、あの……リディア嬢。

以前お会いした時と、その……雰囲気が変わりましたね」


「あぁ!ええ。そうなんです。ちょっと気持ちに変化が……。

なにか変でしょうか……?」


「えっ!?いえ!変だなんて!

と、とても良い……と、思い……ます」



ふふっ。

あまりにも可愛くて、つい意地悪言ってしまったわ。

こんな可愛い皇子様を殺そうとするなんて、レクイム公爵許すまじ!!

私が絶対に死なせないわ!


さて。どうしようかしら。

ここはまた神様からの声が聞こえたーって事にするのが1番良い気がするわよね。

私の考えって言ってしまうと、レクイム公爵家との争いになってしまうかもしれないし。


よし。神の声が聞こえる女神様の演技を始めるとしますか!!



「ルイード皇子様。お顔に触れてもよろしいですか?」



身体を前に出し、精一杯手を伸ばすが到底ルイード皇子には届かない。

足を怪我しているので移動もできないし。



「え、ええぇっ!?」



ルイード皇子は私の発言に驚いて一瞬後ろに反り返っていたが、真剣な私の様子を見てオドオドしながらも隣に来て座ってくれた。



優しい人ね。



私は右手をそっとルイード皇子の左頬に当てた。

ルイード皇子がビクッとして固まったのがわかった。



こうやって、いかにも身体の中を調べてます……みたいな行動でもしておかないとね!

もう少しかな?

この手を離したら、ルイード皇子に毒の事を伝えて……。



そんな事を考えていたら、急にバタン!と扉が開いた。

驚いてドアの方を向く私達。

そこにはエリックとカイザが立っていた。



「お前はっ……!女なんだから、もう少し恥じらいを持て……!」



カイザがすごい勢いで走ってきたと思ったら、私の腕を掴んでルイード皇子から引き離す。

エリックは右手で顔を覆い、長いため息をついているようだ。



な、なに!?恥じらい!?

この人達……なにか変な勘違いしてない!?


てゆーかノックもなしに入ってきていいの!?



あなたももう少し礼儀を……と言ってやりたかったけど、カイザにギロッと睨みつけられてしまったので言うのはやめておいた。


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