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悪役令嬢に転生したはずが、主人公よりも溺愛されてるみたいです[web版]  作者: 菜々@12/15『不可ヒロ』1巻発売
本編

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16 婚約者の正体


「王宮に呼び出し!?」



エリックからの爆弾発言を聞いて、私は飲んでいた食後の紅茶を少し吐き出してしまった。


慌ててナプキンで口元を拭く。

そんな私の姿を見ても、全く動揺なんてしていないエリックは淡々と話を続けた。



「ああ。実は昨日、王宮に兵士達や戦争に駆り出されていた者達が戻ってきたんだ。

陛下もお前の助言の事は聞いているし、兵士達も感謝の気持ちを伝えたいと言っている者が多い。

みんな、お前に会いたいんだ」



「そ、そんな……。私はただ夢で見た事を話しただけで……」



遠回しにお断りする。



王宮なんてごめんだわ!!!

私は処刑エンドから逃れるためにも、目立ちたくはないのよ!!



「残念ながら、陛下直々の命だから断れないよ。

それに……婚約者である第2皇子とももう半年以上会っていないし、会わせろという話もされていた」



エリックは少し顔を強張らせながら言った。

エリックお兄様もなにか気に入らない事があるのかしら?



それにしても…婚約者にまで会わなきゃいけないなんて、尚更行きたくない………ん?



誰が……婚約者だって?



「エリックお兄様……?

今……婚約者である第2皇子……とおっしゃいました?」


「?……ああ。そうだが」



はぁぁぁぁ!?

婚約者!?第2皇子が!?!?



「え!?わ、私の婚約者は、ダーグリヴィア侯爵家のサイロン様ですよね!?」



エリックは何を言っているの!?

私の婚約者で、主人公に一目惚れをして私を捨てる最低な男はサイロンよ!!

第2皇子なんかじゃないわ!?



「リディア。なにを言っている?

お前は第2皇子と婚約しているだろう?」



エリックは心配そうに私の様子を伺う。

周りにいるイクスやメイも、私の言葉に驚いているようだ。



どういう事なの……?

登場人物の1人、私の婚約者はサイロンのはずよ。

なぜ今の私は第2皇子と婚約をしているの……?



「で、でも……侯爵家なのに、皇子様と婚約なんて……」



通常皇子というものは、他国の姫だったり公爵家と結婚する事が多い。

他に年頃の女の子がいない訳でもないのに、どうして侯爵家の私と……?



「第2皇子は身体が弱いからな。

王位継承とも関わる事がないから、そこは問題ではないのだ。

今さらどうしたんだ?リディア。

どこか具合でも悪いのか?」



エリックが私のところまで来た。

頬を優しく包み薄いグリーンの瞳に見つめられる。



まさか私が皇子と婚約しているなんて……。



きっと今私の顔は真っ青になっているに違いない。


心配そうに覗き込むエリックに、私はなにも答える事ができなかった。

その時また、小説の言葉が頭に浮かんできたからだ。



『毒殺された第2皇子』



はっ!!

そんな言葉が、どこかで出てきた気がする。


毒殺……?

もしかして第2皇子はあと2年の間に毒殺されるの?

それで、小説の中では私の婚約者がサイロンになっていたのかしら。



『少量の毒を数年間に渡り……』

『第3皇子側のレクイム公爵が……』



私の意思とは関係なしに、小説の言葉がどんどん頭に入ってくる。



え……待って。ちょっと待って。

そんなに急に……情報が入ってきても……。



頭が割れそうに痛い。

頭がパンクしてしまいそう。



ズキンズキンズキン



「はぁっ……ぁっ」



目の前が暗くなっていく。

頭がぼやけて……座っている事すらできない……。



「リディア!!」


「リディアお嬢様!!」


「医師を呼べ!!早く!!」



メイド達の悲鳴も聞こえる。

すごく近いはずなのに、まるで遠くから聞こえてくるみたい。



エリックお兄様……イクス……メイ……。



そのまま私の意識はなくなった。


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