20 学園面接午前。
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国会議事堂での話し合いから1週間後。
俺たちはリトハルド学園へと来ていた。
そう、今日は大量の面接をこなさなければいけないのだ。
どんな人が来るのか楽しみにしていたのですよ。
「じゃあ、順番に入ってもらうね」
なっちゃんがそう言って、部屋を出ていく。
「長い事派遣社員だったから、面接官として面接をやるのは初めてでちょっと緊張するわ」
「俺も正社員だったが、面接官なんてやった事ないぞ? 人を見るって結構難しそうだよな」
ちなみにユウは生前、運送会社に勤めていた。
面接官として、俺とユウ、そしてなっちゃんが行う。
おっちゃんと美晴さんは面接を受けに来る人の案内である。
受ける人が100人以上居るので忙しい。
由奈は学園の中で勉強中。
ユキは俺の目の前にある長机の上で丸まっているが、入ってくる者たちをしっかりと見ている。
そんなユキを撫でながら面接を始める。
えっ? ちゃんと面接しろって?
ユキを撫でると物凄く癒されるんですよ~。
ちなみにアニルたちは拠点のビルで待機してもらっている。
目立つので待機だ。
特にシュアは猫耳なので、見つかると面倒な事になると思ってね。
まず最初は男3人女2人が入ってきて、並べられた椅子に座った。
「えー……この猫は気にしないで下さいね、では初めに……」
座った皆がユキに集中していたのでそう言った。
ユキが可愛いからってちゃんと面接に集中してください?
「サイトにも載せてある事ですが、確認させてもらいます……学園に入って学んだ後、この学園の教師としてやっていく意思はありますか?」
すると全員頷いた。
その後、どうして応募したのか、受けに来た動機などを聞いて、次の人へと移っていく。
そして午前中が終わる頃。
最後の一組が入ってくると、初めてユキがピクッと反応を見せた。
ほう、なるほど。
良い感じの人が居るのか。
入ってきた人たちは、男2女3人で、ユキが反応を見せたのは最後の男だ。
20代の見た目は普通の男。
ちゃんとスーツを着ている。
中には私服の人も居ましたよ? 世界が変わって服が無くなった人も居るので、そこは気にしていない。
今までと同じ質問をして順番に答えてもらう。
最後にどうして今回受けたのかを聞く。
最初の4人は、スキルを修得できるから、今の世の中を生きられるようにとか、当たり障りない返答が来たが、最後の男は違った。
「えーっと、僕は世界が変わる前に教員免許を取得していました。 高校で教師になろうって時に世界が今の状況になってしまって働く事はできませんでしたが、今でも教師になりたいと思っています。 それと、新しい学園って綺麗じゃないですか、そんな場所で働きたいと思って今日は来ました」
ふむ……。
「この学園は、従来の学校などとは教える内容は全く異なりますが、そこは大丈夫ですか?」
「はい、僕も生徒として一から学んで、いずれは生徒を育てられる教師になりたいと思っています」
ほうほう……教員免許を持ってるなら、後は教える内容を覚えれば大丈夫そうだな。
しかし、1つ確認しなければいけない。
「あなたの、今の職業はなんですか?」
すると、他の受けに来た人たちは少し驚いた表情をする。
今までに面接をした人たちの中に、職業に就いている人は居なかった。
だが、この男は職業に就いている。
なぜ分かったのかは、勿論ユキが念話で教えてくれたからだ。
俺が種族進化した後、ユキも種族進化をしていたらしい。
急に念話で『ねぇ、私も種族が変わったみたいだよ?』と言うので驚いたのを覚えている。
ユキが進化した種族が何なのかというと。
『源聖猫』
これがどんな種族なのか勿論世界の図書館で調べましたよ。
源聖猫とは、聖なる癒しを得意とする新種の猫である。
源魔人の影響を受けて進化した。
とあったので、そうです、俺のせいです!
俺との繋がりがあったので進化したんだよ。
んで、この種族になったユキは対象を鑑定ではなく、看破で覗けるようになったらしく、相手の本質が見えるとユキは言うのだ。
ユキが言うには対象の名前、レベル、職業が分かるらしい。
なのでレベルの高い者や職業に就いている者が居たら、教えてくれと今回頼んであったのだ。
まさか本当に居るとはなぁ。
職業に就いている人たちは、ギルドの方へ行くと思ってたんだがな。
すると男は、少し困った表情をしながら口を開いた。
「えーっと、僕の職業は……暗殺者です」
そう言って肩を落としヘコむ。
ふむふむ……。
「いいですねぇ~、では面接はこれで以上になります、結果は3日後こちらから連絡させてもらいますので、今日はもう帰っていただいて大丈夫ですよ」
すると女の人が学園を見学したいと言ってきたので、なっちゃんに案内を頼んで午前中の面接は終了となった。
彼が言った職業はユキが見た職業と同じだった。
嘘を言っていないので、彼の人柄はよく分かる。
暗殺者なんて怪しい職業に就いていると人は、嘘の職業を言うものだが彼はそれをちゃんと言ったのだ。
そんな暗殺者の彼はどんな教師になりたいのか、ちょっと楽しみである。
まさか暗殺の教室を作るつもりかな?
いや、流石にそれは無いか。
彼は普通の人間だしね。
まあ、暗殺科を作るのは別に良いんだけど……しかしそうなると、暗殺教団が出来上がりそうだな。
そこは気を付けないと、色々マズい事になりそうだ。
午前中の面接で、俺の中では彼と数人は既に合格を決めてある。
後は午後の部だなぁ。
どんな人が来るのか非常に楽しみである。
するとなっちゃんが戻ってきた。
早くね?
見学に行ったのにもう終わったの?
「ねえヨウ君」
「なに? なにかあった?」
するとなっちゃんは真剣な表情で言った。
「食堂の料理人は決まってるの?」
そこで俺は雷に打たれてしまった。
「忘れてたぁー!!」
生徒の募集しか頭になかったよ。
マジでどうしようか。
午前と午後で面接を受ける人の中で料理が好きな人が居れば、その人を即採用! ってな感じにはいかないか。
一応、午前中の人の資料を見て、合いそうな人が居れば聞いてみよう。
後は午後からの人には面接で聞いてみよう、食堂で働く気は無いか。
幸い料理人の証はあるので、やってくれるならタダで譲ると条件を付ければなんとか……。
他に忘れてるポジションは無いか確認しないとな。
読んで頂きありがとうございました。
もう1話投稿予定です。




