18 国会で。
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俺は投影による募集を終えると国会へと向かった。
総理との約束だからね。
ユキは街中を探検してくると言って出かけていった。
もう子猫じゃないので大丈夫だろうと、人に迷惑を掛けないように言ってあるので行動は好きにさせている。
ちなみにリトハルド学園の名前は、アニルたちの世界の言葉を採用しました。
国会議事堂に到着すると係の人に案内されて入った所が、既に議員や大臣、総理まで集まっている、あのテレビでよく見た広い部屋だった。
ニュース動画でよく見かけた人も居る。
「あっ、どうもこんにちは、商人の進藤です」
挨拶しながら進んでいくと、スーツを着た男が近づいてきてこちらですと案内してくれた。
えっ、ここに立つの?
あの総理がよく立って話している場所である。
まあいいか。
そしてマイクの前に立つと、横から案内してくれた人が軽く俺の紹介をした後、質疑応答を始めますと言われた。
質疑応答?
ギルドと学園の説明だけじゃないのか?
「えーっと、知っている方も居るかもしれませんが、商人をしております進藤洋介と申します。 ここにはギルドと学園の説明のために呼ばれました、が……何やら質疑応答があるみたいなので始めましょうか?」
最後にそう言って司会っぽい偉そうに真ん中に座っている? 男に目を向けると……。
「では、本人もこう言っていますので質疑応答を始めます」
するといっきに手が幾つも挙がる。
挙手制なの?
何人もの人が議長! と言って手を挙げる。
詳しく知らないけど、国会ってこうやって進むのか?
すると、議長と呼ばれた男が「15番、下田君」と言えば、手を挙げた1人の男が立ちあがってマイクの前まで行く。
おお、初めて国会の流れを見たな。
動画やテレビだと、この辺りは流されていないような気がする。
俺が見てないだけかもしれないが。
マイクの前に来た下田君が話し始める。
「えー、まず私たちが聞きたい事は、ギルドを民間人が作ってちゃんと運営していけるのか? という事を聞かせて下さい、運営できるならどうやって運営していくのかもお願いします」
なるほど? この人は総理が言ってた別の陣営の議員か。
なんだっけ? 野党だっけ?
やっぱ政治ってよく分からんな。
それだけ言って下田君は席に戻る。
「ギルドの運営、それは前例が無い事なので手探りではありますが、基本的に派遣会社と大して変わりません……企業や個人からの依頼を受け、クライアントには依頼料を支払って頂きます。 なのでその依頼料が基本的な運営資金となります」
そこで一旦止めて間を空けた。
皆黙って聞いている。
テレビとか動画だと野次が凄かったんだけどな。
「依頼内容は多岐にわたります。 例えば、東京から他県に行きたい時などに、魔物や野盗、この野盗は野党ではありませんよ? に襲われないように護衛依頼などもあります。 そういった依頼内容を精査し、依頼にはこちらでランク付けをします。 これは優先度や危険度を考慮して決めます」
という感じで、ラノベによくある冒険者ギルドの仕組みを説明していき、最後に……。
「……と、運営方法はこうなってますが、ギルドの運営に政府が関わる事は一切ありませんとここで明言しておきます。 依頼を出すのは勿論ウエルカムですよ? ただし、大臣だからとか議員だからということで優先される事はありませんのであしからず」
すると下田君がまた議長! と言って手を挙げて議長が許可するとマイクの前に出て喋り始める。
国会って面倒臭いな!
「先ほど、運営に国が関わらないと明言しましたが、ギルドは国のために動く事は無いという事ですか? もしそうなら日本国に存在する必要が無いと思いますが?」
こいつは何を言っているんだろうか?
自分の事を馬鹿ですと言っているようにしか俺には聞こえないんだが。
もしや馬鹿のフリをしてるのか!?
あれだな、馬鹿のフリして聞くってやつだ。
しょうがない、その茶番に付き合ってやろう。
「えーっと、先ほどの説明を聞いたら分かると思いますが、ギルドは『国のため』ではなく『国民のため』に存在する組織です。 もっと言えば、そこに暮らす人のためにある組織です。 なので国のためというのがそもそも間違いですね、ギルド員の中には国のために動く人も居ると思いますが、それはその人の自由です」
ギルドは人のためにある組織です!
議員の中にラノベを読んでいる者は居ないのか?
すると、また下田君が出てきた。
「組織の在り方は分かりましたが、ギルドという一組織が大きな武力を持つというのは、国にとって危険な存在だと思います。 その辺りはどう考えてますか?」
ふむ、そりゃ当然の考えだな。
「ギルドは一組織ですが、その在り方は一つの国として思って頂ければいいですよ、国土を持たない国ですね、ですが、皆さんはその武力で国を盗られると思っているようですが、ギルドには法律のような規則があります。 当然その中にはどの国に対しても政に関わらない、というものがありますのでご安心を、その他には……」
と、ラノベお決まりのギルド規則を説明する。
まあ、日本の法律とほぼ似たようなもんだね。
ただ違うのは、内容によるが悪い事をすれば『即死刑』という事もありますよと規則を定めた。
勿論これはギルド員のみ適用される。
そしてまた下田君が出てきて、即死刑は流石にやり過ぎでは? と言うのでしっかりと答える。
「先ほどあなたが言ったように、ギルドは大きな武力を持ちます。 だからこそ武力が悪い方に使われないためにするのは当然ですよね? 即死刑はその抑止力ですよ、まあ、実際に即死刑にするかはその時にならないと判断できませんが、少なくとも俺はそのつもりです」
トップの俺がブレちゃマズいからね。
その後、ギルドと学園についても色んな質問が飛んでくるが、全て返答した。
何でそんなくだらない事を聞くんだ? ってのもあったが、ちゃんと答えていったぞ。
そして最後に、ギルドカードの質問が出た。
最初に俺が説明した時は『ギルド員のランク付け』と言ったが、どうランク付けするのかとかは話していない。
「えーっと、私はギルド『カード』とは一言も言ってませんが、ギルド員になる人にはこちらを着けて頂きます」
そう言って自分の左腕を見せる。
「こちらはギルドリングと言いまして、これがギルド員の証となりランクを表しています」
俺の手首には幅1センチの黒い腕輪が着いている。
黒が最高でラノベ的に言えばこうなる。
G→茶
F→黄
E→緑
D→青
C→赤
B→銀
A→白
S→黒
金が入っていないのは、黄色と見間違う可能性があるので使わなかった。
「そしてこのリングには他にも色々機能があります。 それを今から順に説明していきましょう」
俺が5日間ひたすら考えて、世界の図書館の情報も使って作り上げたこの腕輪。
他の誰にも作れないと断言できる代物である!
こいつの機能を聞いて驚いてもらいましょうかねぇ。
読んで頂きありがとうございました。




