13 異世界の常識。
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橋を渡り俺たちの拠点へ案内し、1階事務所の奥にあるソファへと案内した。
最初は警戒していたようだが今では落ち着いている。
3人には拠点に来るまでに色々聞いた。
蒼い髪の男の名は『アニル』
大男が『ガムロ』
猫耳ちゃんは『シュア』
苗字は無いのか聞くと3人共頭に?を浮かべていた。
なので苗字が何か説明するとそんなものは無いと言う。
ラノベお決まりの貴族や上流階級にはあるのか聞くと、それも無いと言う。
どういう世界なのか益々気になる。
3人が並んでソファに座ったので対面に俺とユウが座り、他の者はデスクの椅子に座って離れた場所で聞いている。
俺はまず、彼らに言語翻訳の腕輪を着けさせてから話し始めた。
じゃないとユウたちが話できないからね。
「ここが異世界だというのは理解できたかな?」
俺がそう言って3人を見るとアニルが口を開いた。
「……ああ、俺たちが居た世界じゃないのは理解した、が……どうしてこんな」
「おっと、落ち込む必要は無いぞ、君たちの世界に帰る事はできるからね」
「本当か!?」
「ムッ!?」
「っ!?」
彼らにダンジョンの最下層からちゃんと帰れる事を説明した。
「最下層……なるほど、俺たちがグエンルダンジョンの最下層からこっちの世界に来てしまったのか……はは、最初は驚いたよ、見た事もない街並みがあったからな」
そりゃそうだろう。
彼らは街ダンジョンへと転移した後、食料が尽きて家を漁っていたらしい。
彼らが言うグエンルダンジョンとは、彼らが住む街の近くに古くからあるダンジョンらしく、彼らはそのダンジョンを探索していたと言う。
そこで最下層からこっちに来たって訳だ。
って事は彼らのレベルは結構高いのかな?
「ちなみに君たちのレベルってどれくらいなの? 平均でいいからさ」
すると彼らは首を傾げる。
「マジか……」
アニルたちは自分のレベルを知らないらしい。
という事はだ。
職業にも就いていない事になる。
アニルたちの世界にステータスは存在しないのか?
そこで俺は自分のステータスの見方を説明すると、すぐにアニルたちの表情が変わった。
はっきりと驚いている顔だ。
「それがステータス、レベルは分かる?」
するとアニルが頷いてから答えた。
「俺のレベルは58になっているな」
「おお! 結構高いじゃん」
他の2人も答えてくれた。
ガムロが61でシュアが56だった。
シュアの声を初めて聞いたけど、高くもなく低くもなくとてもセクシーな声だ。
うむ、良い声だな!
勿論職業には就いていない。
なのでアニルたちの世界がどういう所なのか細かく聞いてみた。
そして分かった事だが。
アニルたちが住んでいる所は、国というものがそもそも無いらしい。
人々は街や村といった小さなコミュニティーが世界中に幾つもあり。
そこで暮していると言うのだ。
国が無い世界って戦争は無いのか? と聞くと、街と街の争いは偶にあるらしい。
なるほど、小規模な争いはあるんだな。
そして俺は商売ができるかを確かめるために、商売の話を切り出した。
「アニルたちの世界の通貨ってどんなの? 紙幣? 硬貨?」
するとアニルが腰に付けている巾着袋のような物をテーブルに置いた。
「これが俺たちの基本通貨になる」
袋を開けて見てみると、そこにはいろんな色と形の綺麗な小さい石? ぽい物が入っていた。
話を聞くと、これは魔物の体内から採れる『ゲム』と言われる物らしく、これが売買で利用されているとの事。
「ん? じゃあ、魔物を大量に狩れば金持ちになれるの?」
そう言うとアニルや他の2人も首を横に振る。
どういう事? と俺が首を傾げるとアニルが説明してくれた。
「全ての魔物から採れる訳じゃないんだ、しかもそれは時間が経てば消滅するようになっている」
ほう……金が消える?
そんな不安定な物を通貨にしているのか!?
すごい世界だな。
俺は石を1つ手に取って石を見ながら思う。
この世界での商売は無理かなぁ。
こんな消滅する金を集めてもねぇ……ん? これって……。
「なあヨウ、これってもしかして……」
と、横に座っているユウも石を手に取り眺めながら声を掛けてきた。
おそらくユウも気づいたんだろう。
この金が何なのか。
「ああ、たぶんそうだろうな……なあアニル」
「ん? なんだ?」
「これが消滅するって言ってたけど、それって手に持っている時に溶けるように消えるんじゃないか?」
そう言うとアニルだけじゃなく他の2人も驚いていた。
「よく分かったな、俺たちの世界ではゲムは基本『手に持つ』という事をしない、魔物から採取する時ぐらいだな」
じゃないと知らない間に消えてしまうから、とアニルは言った。
「そりゃ消えるだろうね、これは『魔石』だから」
「魔石? ゲムが?」
俺は頷いてから説明した。
これは魔力の塊であると、なので持っていると魔石の魔力を微量ながら吸収してしまうので、いずれ消えるという仕組みだ。
「魔力とは何だ?」
「おう、そこからか……魔力というのは……」
説明するとアニルが言う。
「それは『ラドゥ』の事じゃないのか?」
ラドゥ?
流石異世界、呼び方が全然違うな。
するとアニルが掌の上に水球を作り出した。
「おお、アニルは魔法が使えるんだな、俺もだけど」
そう言って俺も作る。
「洋介もラドゥを使えるんだな」
「俺たちはこれを魔法って呼んでる、そしてラドゥの事は魔力だ」
「魔法、魔力……つまりゲムはラドゥの塊という事か?」
俺は頷く。
納得したようなので俺は話を進める。
「ラドゥ石? 魔石でいいか、魔石を通貨にするのはおすすめしない、別の通貨を作った方が良い、例えば……金とか」
以前俺が言った通りに魔石を通貨にしている世界があるとはねぇ。
あの時の俺も魔石を通貨にって考えてたけど、魔石は生物の近くにあると自然と少しずつ吸収されいずれ消えるのだ。
これは世界の図書館で知った情報ね。
そしてテーブルに置いた金のインゴット。
これは異世界ダンジョンで手に入れた物です。
を見たアニルが口を開いた。
「それなら街にもあるし、街の周辺には大量にある」
マジか!?
まさかの黄金都市ですか?
これは商売のやりがいがありそうだぞ!
読んで頂きありがとうございました。




