12 住人?
評価、登録、いいね、感想をして頂きありがとうございました。
誤字脱字報告ありがとうございました。
メンテナンス中で投稿が出来ませんでした。
遅れてすみません!
俺たち3人は少し遅めの昼食を食べた後、橋の向こう側にある街ダンジョンへと向かった。
以前は由奈のレベルが低くて引き返したが、異世界ダンジョンで鍛えた由奈なら大丈夫だろう。
今回は由奈たちが資源調査をしているので、俺たちは宝箱を探そうと思っている。
ラノベではよく出てくるダンジョンの宝。
今まで一回も見たこと無いんだよね。
魔導具とか武器とか回復アイテムすら無い。
ただ、生活に必要な物はダンジョンから見つかっているけど、全部地球に存在している物ばかり。
アーティファクト的な物は見たことが無い。
そこで俺は一度、世界の図書館で調べたことがある。
するとダンジョンは、コアがある周囲の情報を吸収してダンジョンを生成するとあった。
なら宝は無いのか?
とも思ったがどうやら違うようで、ダンジョンのアイテムや資源は魔物を生み出す仕組みと同じらしい。
それは、ダンジョンが周囲の情報を基に生み出しているだけで、俺も調べてビックリしたんだが魔物は『周囲の生物の情報を基に生み出された生物』というのが答えだった。
つまり、ハイズールが猿みたいなのも、人間の情報と他の生物の情報が混ざった結果ああなったということだ。
魔物の基になる情報はそれだけじゃない。
人の想像や妄想、こういう生き物がいればなぁと考える『思考』自体も情報になるそうで、それを基に生まれたのが『魔物』である。
それら全ての元が『魔力』という未知のエネルギーだ。
ちなみに、魔力について世界の図書館で調べると『高次元エネルギー』ということだった。
というわけで、ダンジョンに宝はある! ……はず。
人によって宝が何かは変わるからなぁ。
金銀財宝や特殊なアイテム。
滅多に手に入らない代物など。
そして……。
『人が想像した物』
ダンジョンがその情報を基に生み出している可能性は十分にあるだろう?
今までは生活に必要な物を中心に探していたが、これからはそういった物も探していこうと思う。
まあ、ほとんどの物はクラフトできるだろうけど、自分に無い想像は当たり前だけど作れないからね。
橋を渡って進んでいくと、以前のようにハイズールが襲ってきたが、ユウが一撃で仕留めた。
そのまま暫く街中を歩いているとスマホが鳴る。
由奈からだ。
「どうした?」
『えーっと、街の住人? が居たんだけど……どうしようかな?』
ん? 住人?
「って、この街の住人?」
『たぶん?』
「どうするとは? って言うか住人は無事だったの?」
『無事……とはちょっと違うかな? いや、無事なのかな?』
要領を得ない。
由奈たちがどこにいるのか聞いてその場所へと向かった。
場所は俺たちが入ってきた反対側で、そこに到着すると住宅街の道の真ん中に由奈たちが立っていた。
「おーい……どこに居るんだ?」
周辺を見回すが見当たらない。
「あそこ」
と、由奈が指す方へ視線を向けると、そこには3人の男女が住宅の中を漁っている様子が窓から見えた。
「ほう……なるほど」
チラチラ見える姿はどう見ても魔物じゃなく人間だが……。
「あれはこの街の住人じゃないな」
「えっ? じゃあ……」
俺は何も言わず彼らがいる家に向かっていき、玄関から中に入ってすぐ左の部屋を覗き込みながら声を掛けた。
「すみませーん、何してるんですかー?」
すると彼らはピタッと動きを止め、ゆっくり振り向いた。
「hしづgっまpしfjkdhぎるskf!?」
男が慌てた様子で手を前に出して何かを言っているが、言葉は全く分かりません。
俺は玄関から外を見て皆に言う。
「この人たちは異世界の人たちだぞー!!」
「異世界!?」
「まあ、俺たちも行ってたからその可能性はあるよな」
「おお、初異世界人」
「危険な人たちじゃないの?」
「異世界人か、どんな人物か楽しみだ」
俺がどうして異世界人と分かったか?
それは頭に猫耳が付いてるからだ!!
男2人に女1人で女の頭に耳が付いている。
喋った男はボサボサした蒼い髪で、身長は俺が172だから……180くらいかな?
使い古され傷が付いた革鎧を着ていて腰に剣をぶら下げている。
ハリウッド俳優のようなイケメンだ。
もう1人の男は金色の短髪で、顔に大きな傷跡がある厳つい感じの大男。
たぶん身長は2メートル程はあるな。
黒い革? 鉄? の鎧を着て背中に大剣を背負っている。
こっちもハリウッドのごついイケメン俳優っぽい感じだな。
猫耳ちゃんは黒いセミロングの髪に緑の猫目? あの瞳孔が縦のやつね。
服装は身軽な服装で上が白いシャツ? 黒のピチッとした革のパンツっぽい物。
薄く赤い胸当てと籠手をしているが、素材は分からないな。
金属っぽいが、地球に無い金属かもしれない。
あと、可愛い。
完全な猫じゃなく人間に猫の要素があるラノベにも出てくる所謂獣人だ。
大男は背中の大剣に手を伸ばした状態で構えている。
猫耳ちゃんは腰を落とし腰の後ろに手を回している。
蒼い髪の男は腰の剣に手を伸ばした状態でこちらを警戒している。
ふむ、戦い慣れている様子。
このまま戦闘か? んな訳ないじゃん。
せっかくの異世界人。
是非話を聞きたい!!
俺が覗き込みながら飯を食うジェスチャーをして手招きすると、彼らはお互いに見ながらどうするか考えている様子。
なので俺はドンッとウイスキーの瓶を床に取り出した。
彼らがこちらに視線を向け酒に目がいく。
俺はニッと笑いながらクイッと飲む仕草をして外を指す。
これで伝わるかなぁ~。
すると彼らは武器から手を離し頷いた。
良かった~。
外に出た所で俺は彼らに向けて手を出して止まるように伝えると、彼らは止まった。
「ちょっと周りの警戒しといて、アイテム作るから」
由奈たちにそう言って俺はクラフトする。
こんな時に何を作るのかって?
当然、言語翻訳用のアクセサリーだ!
ラノベみたいにそんなスキルがあればいいんだけどね。
そして完成したアイテムは腕輪にした。
他の装飾だと戦闘中邪魔になりそうだったからね。
さっそく自分で装着して彼らに向かって口を開いた。
「どうも、異世界へいらっしゃい、俺の言葉分かる?」
そう言うと彼らは目を見開いて固まった。
何とか口を開いたのは蒼い髪の男だった。
「……ここは、グエンルダンジョンじゃ、ないのか?」
グエンル? 流石異世界、全く分からん!
とりあえず、話を聞くために拠点へ連れていくことにした。
読んで頂きありがとうございました。
もう一話投稿する予定です。




