11 条件。
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俺にギルドの設立とついでに学園の設立をお願いしてきたおっさん、森山総理。
話の途中でそんな雰囲気は感じていたが、なぜオレに?
もしかしてと思い、山波さんに視線を向けると頭を少し申し訳なさそうに下げた。
やっぱりそうか。
この人たちに俺が賢者だと話したんだな。
まあ、それは良いんだけど、賢者だからって俺に頼むか?
……俺でも頼むか。
何てったって賢者だもんなぁ。
うん、他の人が賢者なら俺でもその人に頼めよって思ってしまう。
ん~しかしなぁ……。
「私は商人ですよ?」
そう、俺は商人なのだ。
物の売り買いをする商人。
いや、普通か?
「ええ、それは勿論分かってますよ、進藤さんが普通の商人じゃないことくらいは……商人でも他所の組織のトップをしていたりする人も居ましたよ?」
えーっと確かCEO(最高経営責任者)だっけ?
確かにいるけど……ん?
いや、待てよ?
それなら俺が教師の基準も決められる?
「……条件がいくつかあります」
「条件? なになに? 言ってみて」
「では……」
そうして俺の出した条件とはこれだ。
1:運営に関する事は全てこちらが決める。
2:委員会などは関わらせない。
3:どの組織や国からも独立した組織であること。
4:全ての基準をこちらで設定する。
5:税金は全て5%。
「……と、これが条件になります」
話し終わると総理と大臣は腕を組んで考え込んでいた。
ちなみにこれは、ギルドと学園両方の条件だ。
(税金はギルドのみ)
そこで総理が口を開く。
「1から4は分かったけど、税金は全て5%っていうのは、億を超えてもって事かな?」
「勿論です、じゃないと大きな組織を運営なんてできません、ただ……過剰にお金が溜まり過ぎると経済にとって悪いので、もしそうなった時は国に『貸す』か何かに使います、他の事業とか?」
俺がそう言うと総理は苦笑いを浮かべた。
「はは、また借金か……ところでギルドは外国にも広がると思う?」
最後は真剣な表情をして聞いてきた。
ふむ、海外か……どうだろう?
「条件を全て受け入れる国があればその可能性もありますが……A国とかC国は難しいでしょうね、特にC国は」
「確かに、C国は絶対何か関わろうとするだろうね」
全てをコントロールしたがる国だからな。
「で、税金なんだけど、もうちょっと何とかならないかい?」
ふむ……。
「なら一度従来どおりの税金でやって、運営していけるならそのままで、無理ならまた税金を減らしてもらうという事でどうですか?」
「ん~……そうだね、それで頼めるかな? 前例が無い事だからどうなるか分からないから、慎重に頼むよ?」
「まあ、適当にやりますよ」
「ギルドと学園、これは世界を変える事になるかもしれないからね?」
「勿論分かってますよ」
とうとうあの冒険者が現実に!!
と思ったが。
「あっ……」
ギルドカードとかどうしよう……ラノベみたいなカードって作れるのか?
「どうした?」
すると大臣が聞いてくる。
俺はギルドカードをどうしようかと伝えると……。
『ギルドカード?』
総理と大臣が揃って首を傾げた。
2人にラノベのギルドカードを説明中……。
「それは流石に無理なんじゃないかな?」
とは総理の言葉。
「そんなハイテクなカードは作れないだろ」
と大臣が言う。
確かにそうなんだけどさ~。
やっぱギルドカードは便利な物にしたいよねぇ。
「少し時間を下さい、考えてみます」
「じゃあ、一週間後……国会で民間に任せる事が決まったと発表するから、それまでに詳細を纏めといてもらえるかな? カードもできればその時に」
ん?
「勝手に決めて良いんですか? 採決とかやらないんですか?」
「あぁ、現在全ての議員が集まっていない状態なんだよ、殆どがうちの議員ばかりで、採決をとっても結果が決まってるからね、だから実際に見せて納得させる方が今はいいんだよ」
なるほどね。
与党とか野党とか言われても俺には分からないから助かる。
総理は更に言った。
「そこで決まれば全国に広めるからよろしく頼むよ?」
おお、もう広めるのか。
「って、ちょっと待ってください? ギルドも学園も箱がまだありませんよ?」
「聞いてるよ? ビルを1日で建てたって」
「なるほど、私に建てろと……高くつきますよ?」
「そこは君が運営する所だから、国は金を出す必要は無いよね?」
「いえいえ、何言ってるんですか、建てるのに金は要りませんが『土地』は必要ですから」
俺がそう言うと2人は納得した顔をして答えた。
「土地は壁の外ならどこでも好きな所で良いよ」
マジで?
「本当に良いんですか?」
「壁の中にドンッと建てるのは問題があるけど、外ならどこでもオッケー」
そう言って親指を立てる。
軽い総理だな。
ふむ、どこに建てようかな……皆に相談して決めるか。
ギルドの本部も建てないといけないな。
「ギルド支部を壁の中に建てるのは良いんですよね?」
「その場合はちゃんとお金払ってもらうからよろしく」
「それは当然ですね」
ふむ……ちょっと忙しくなりそうだな。
その後、総理と大臣に他の県はどうなっているのか聞いたりして、俺たちは店を後にした。
山波さんにゲートまで送ってもらい、そこから自分たちの車で拠点まで戻った。
結構話込んでいたのでもう昼を過ぎていた。
ビルに着くと、由奈たちはダンジョンに行ってるのか誰も居ない。
ユウとなっちゃんと飯を食っているとスマホが鳴る。
「はいもしもし?」
『あっ、ヨウ君? 話し合いは終わった?』
電話は由奈からだった。
「ああ、少し前に終わっていま帰ってきて飯食ってる」
『思ってたより早かったね、ところでこのダンジョンさ』
「ん? 資源が無かった?」
『いやいやその逆! 滅茶苦茶資源豊富だよ!』
マジか!?
詳しく聞くと、どうやらダンジョンは本当に街がダンジョンになっていて、そこらにあるコンビニや色んな店から食料なども手に入るとの事。
しかーし、店の中に入るには必ず魔物を倒さないといけないというおまけ付き。
魔物も見た事無い種類がいるそうで数体素材として狩ったそうだ。
まだ普通の家などには入っていないらしいが、そこにも色々ありそうだと言っていた。
ラノベに出てくるような宝箱は無いのかな?
今まで宝箱をダンジョンで見た事がない。
そもそも存在しないのか、それとも見つけ難い場所にあるのか。
飯食ったら俺たちもダンジョンに行ってみよう。
読んで頂きありがとうございました。




