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評価、登録、いいね、感想をして頂きありがとうございました。

誤字脱字報告ありがとうございました。

堀さんが突然やって来た夜は特に何も無く静かに過ぎていった。



翌日、俺とユウとなっちゃんは車に乗って北ゲートへと向かった。

由奈、おっちゃん、美晴さんには街ダンジョンの資源調査を頼んでおいたので、帰って報告を聞くのが楽しみだ。



ゲートへの道中にある廃車同然の車を全て収納しながら向かったので結構時間が掛かったが、それを見越して早めに出たから問題は無い。


ゲートに到着すると山波さんがゲート横の扉から出てきた。

「おはようございます、時間ピッタリですね」

「そうですか? それは良かった」

俺たちは車を降りてキーに収納しながらそう言う。


すぐ山波さんの案内で街の中に入り、自衛隊の車に乗って総理と大臣に会うための場所へと向かう。


「どこに行くんです?」

「国会議事堂の近くにある喫茶店です」

「喫茶店? 想像してたより普通の場所ですね」

「一部の人間に知られたくないみたいで、今回はこういう形になります」

なるほど、政敵ってやつかな?

映画やドラマの中だけかと思ってたけど、本当にあるんだなぁ。



暫くして国会議事堂の近くまで来ると、狭い道に入っていき少しして車が停まった。

ん? もう着いた?

しかし、周りを見ても喫茶店らしき建物は見当たらない。


「着きました」

山波さんがそう言うので俺たちは車を降りる。


降りて周囲を見ると雑居ビルに囲まれた小さな公園しかない。

公園の向かいはシャッターが下りて閉まっている酒屋?


「こっちです」

そう言って歩き出す山波さんに付いていくと、酒屋の横の路地を入って酒屋の裏に回る。

なんか隠れ家的な雰囲気だな。


裏に回ると周囲の建物の裏に空間があり、そこに小さな看板が付いた木製のおしゃれ扉があった。


『都の森喫茶』


ここか。

なるほど、ビルや家の囲まれた都会の森って事ね。



山波さんが扉を開けると、カランカランと鐘の音がする。

「いらっしゃいませ……来てますよ」

カウンターに居るマスターがそう言って奥にチラっと視線を向けた。

「ありがとうございます、ホットでお願いします」

「あっ、私もホットで」

「俺も」

「私はカフェオレで」

「はい、後ほど持っていきます」

注文をしてそのまま奥へと進み、木製の扉を開けると個室になっていた。



そこには既におっさん2人が座って、その後ろにSPらしき男たちが立っている。

個室は6畳程の広さがあり、この人数でも余裕があった。

俺たちが入るとおっさん2人が立ちあがり、軽く頭を下げ口を開いた。


「どうも悪いね、こんな所まで来てもらって……一応、総理をやってる森山です」

「私は防衛大臣の坂上です」

おお、このおっさんが防衛大臣か。

総理はネットでちょこっと見かけた事があったので知ってるけど、防衛大臣とかは知らなかったな。



「どうも初めまして、商人の進藤です」

「同じく平木です」

「平木の妻の奈美です」

「おお、こんな可愛い人が奥さんとは羨ましいですね」

とは総理の言葉。

笑ってるユウの横でなっちゃんは照れてる。

お世辞だろとは言えない程になっちゃんも可愛くなってるからな。



挨拶も終わり皆が席に着くと丁度飲み物が運ばれてきた。

若い女の店員が飲み物を配り終わり部屋を出ると、総理が話し始める。


「進藤さん、ズバリ聞きます、今後世界はどうなっていくと思いますか?」

いきなりスケールのデカい話を振られたぞ?


「ん~、世界ですか……それは生き残っている人間次第だと思いますけど、そういう事を聞きたいわけじゃないんですよね?」

すると総理は頷いた。


「おそらく総理は世界の理が変わった事でどうなっていくのか聞いていると思いますが、人間は基本変わらないと思いますよ」

「それはどういう?」

「世界が変わっても人間というか、生物は欲のまま生きていくのでその辺はあまり変わらないと思います。 ですが今後、人の生き方は大分変わると思います」

基本は変わらないが、人生は大きく変わる。


勿論それはスキルという力があるからだ。



以前のような格闘技大会でも、体重分けじゃなくレベル分けになったり、スポーツも大きく変わってくるだろう。

レベルが上がって知力が上がれば以前は天才と呼ばれていた人が、大勢出てくる事になる。



「そんな中で一番変わるのは……犯罪ですね」

「犯罪……確かに魔法などを使った犯罪は増えそうだねぇ」

犯罪者というのは、そういう事に滅茶苦茶頭を使うからな。

なので捕まえる方も色々試行錯誤する事になる。


そうなると今までと変わらないよね?


「そこで今までと違うのが『ギルド』ですよ」

「ああ、資料は読んだよ、そのギルドの事でも聞きたい事があるんだよ」

俺は首を傾げる。

聞きたかった事? 同志にでも聞けば同じような答えが返ってくると思うけど?



「もしギルドを国が運営する事になったとしたら、どういう問題が起きると思う?」

なるほど、そもそもギルドが無かったから誰も起こるであろう問題が想像できないのか。


ふむ……国が運営して起こる問題…………。

真っ先に浮かぶのは私利私欲にギルドを利用する輩。

いや、それは国が運営しなくても起こりうる事か。


後は天下り?

それから……。

「あっ、色々対応が遅くなりそうですね、上の許可が必要なので……とか言って対応が遅れて結局は問題が解決できないって感じですかね? ここで言う上とは大臣とか政府の人間の事ですよ?」

役所仕事になりそうだ。



すると総理が目を見開き喋り出す。

「そう! その通りなんですよ~、いやね、私も言ったんですけどね、そういう組織なら民間の方が良いんじゃないかって、でもね、一部の者が国で運営すれば国も儲かるだろうって……何を馬鹿な事を言ってんだって話でしょ?」

「総理、少し落ち着いて下さい」

大臣が総理を宥めている。

総理も色々溜まってるんだなぁ。


政府の中って人間関係が滅茶苦茶面倒臭そうだ!




大臣に宥められ落ち着いた総理が襟を正し口を開いた。


「というわけで進藤君、君にお願いしたいんだよ」

ここでお願いって……。



「君にギルドを作ってほしいんだけどどうかな? ついでに専門学校も」

と期待の籠った目で俺を見てきた。



何を言ってんだこのおっさんは?

読んで頂きありがとうございました。

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「君にギルドを作ってほしいんだけどどうかな? ついでに専門学校も」と期待の籠った目で俺を見てきた。 何を言ってんだこのおっさんは? 対価として、何を提供できるのかな?まあ、主人公はボランティアで活動…
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