5 今頃気付いた。
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魔物が出たと言う声でこのエリアに居る人たちが警戒する中、こちらへ逃げてくる人たちも居た。
俺は声がした方を見て魔力感知すると、確かに5体の魔物を感知した。
商品棚の間を通って走っていくとそこには、スタッフの服を着た全身メタリックな人間? が数人で一般人を囲って立っていた。
「もしかして、あれがカルマの完全体か?」
服以外、髪も何もかもがメタリックと言うか更に硬そうで完全に金属じゃね? って感じだ。
しかも筋骨隆々な全身金属まで居るんですけど。
一瞬何かのCMが頭を過った。
そして今回は顔がちゃんとある。
顔は色々居る、白人のような顔立ちやアジア系も居れば、地球には存在しないはずの耳が長い者まで居やがる。
もしやエルフですか!?
既にこの地球にもエルフが存在するのか!?
是非会いたいです!!
って、それどころじゃないか。
「やるぞ」
そう言って俺は走り出し、手前に立っているカルマへ気を込めた掌底を背中に打ち込む。
「せい!」
するとゴンッ! と重い音が鳴った。
「重っ!?」
見た目通り金属になって重くなってるのか!
カルマの身体は少し前へ動くと固まったように動きを止めると、ゆっくりこちらへ振り返った。
未来からきた殺人ロボットか!?
他の数体もこちらへ振り向く。
どう動くのか見ていると、攻撃したカルマが最初に動き始める。
以前は結構速い動きだったが、金属になって動きが遅くなったのか?
カルマは静かに右手を上げると、その場で物凄い速さで振り下ろす。
「っ!?」
俺は咄嗟に左へと少し身体を逸らして『何か』を避けた。
そのまま後ろを見ると、商品棚と床に穴が縦に幾つも空いていた。
まるでマシンガンで撃ったような後だ。
えっ、手からマシンガンでも撃ってるの?
以前と全然違うんですけど。
すると周囲に居る人の中から声が掛かる。
「気を付けろ! カルマは手先から金属の弾を飛ばしてくる!!」
おう、自分の身体を消費して飛ばしてるのかな?
完全体になって遠距離攻撃が出来るようになったとは厄介だねぇ。
って言うか今あのおっさん、カルマって言ったよな?
既に魔物の名前は周知されてるのか?
後で聞いてみよう。
更に他のカルマも腕を振り上げ始めたので、俺たちは全員一気に動き始めた。
ユウは懐に入ると貫手でカルマの鳩尾に突き刺し、直接魔石を抜き取った。
ユウの貫手は気を纏うと鉄を貫く程の硬さがある。
なっちゃんは杖の先から雷を走らせ、カルマの身体を貫くと同時に魔石を砕いた。
由奈は棒をスッと振って蒼い火の矢を飛ばし、カルマに突き刺さるとカルマの身体が溶けだしていた。
恐ろしい魔法だな。
おっちゃんは剣に闘気を纏わせカルマを縦に真っ二つ。
美晴さんは光の槍を飛ばしてカルマの腹に突き刺すと、カルマの身体が徐々に膨らんでいきカルマは弾け飛んだ。
そして俺は、指先で弾き飛ばした小さな光の球をカルマに撃ち込み、すぐさま拳を握り締め根源崩壊をさせた。
ちなみに以前の根源崩壊は魔力を2万程つかっていたが、今回の魔力は5万程使った。
そのうえ、範囲は個体に絞ったので威力がかなり上がっている。
種族進化して魔力が豊富になったので、節約せずに使えるのは有難いね。
全てのカルマを俺たちが倒すと、周囲の人たちはシーンと静まり返っていた。
すると先ほど声を上げたおっさんが、こちらに寄ってきて話しかけてくる。
「凄いなあんた、大分レベル高いんじゃないか? っと、人のレベルを聞くのはマナー違反だな、忘れてくれ」
「ははは、個人情報ですからね」
「確かにそうだな」
俺はそれよりなぜカルマが出てきたのかが気になった。
彼に聞くとどうやら、新たに人がエリアに入ると魔物が出現するらしい。
何そのシステム!?
今までエリアに人が入ってくるなんて無かったから全然知らなかったな。
ユウたちもいつも最初からエリアに入ってたし。
そこで俺はおっさんが手に持っている物に目がいった。
「それって……自衛隊の人ですか?」
「おっ、よく分かったな、今日は非番だから家族のために食料でも集めようかと思ってな」
彼が手に持っているのは刀である。
この刀は俺が以前山波さんに売った物だ。
なぜ分かるのかって?
勿論デザインが作った物だからだ。
確かこの刀には斬撃強化の付与がしてあったな。
「その刀、よく斬れるでしょ?」
「ん? ああ、普通の刀がどんな物か知らないけど、確かに魔力を流すとよく斬れるぞ、カルマもスパッと斬れるしな」
そうだろうそうだろうと俺は頷く。
「知ってるのか?」
「それ、私が山波さんに売った武器ですから」
「あっ! あんたが進藤さんか!?」
と、物凄く驚いている。
「ええ、そうですが?」
「進藤さん」
急に真剣な顔になるおっさん。
告白とか止めろよ?
「この刀の作り方を教えてくれないか?」
ほう……しかし。
「それは企業秘密です」
「あっ、やっぱり進藤さんが作ったんだな!?」
「げっ……まあ、そうですね」
今まではダンジョン産という感じで通してたが仕方ない。
「仲間に鍛冶師の奴が居るんだが、そいつが同じような武器を作れないかずっと悩んでいてな、どうかそいつに教えてやってくれないか? この通り、頼みます!!」
そう言って最後は深々と頭を下げる。
ふむ……俺のはクラフトで作った武器だからなぁ。
そもそも鍛冶で作れるのか?
一応俺も鍛冶のスキルは持ってるけど、これはクラフトで武器を作る時のイメージ補助のために取ったような物なんだけど……。
「すみません……」
「やっぱりだめか?」
「いや、少し時間を下さい」
「じゃあ!?」
「教えられるかは今の所分かりませんが、少し時間を頂ければ答えは出ますので」
俺がそう言うと納得したようで、連絡先を交換した後、俺達は食料を収納していった。
別れる前にどうして魔物の名前を知ってるのか聞くと、俺が山波さんに貸したリュックのリストで分かったらしい。
それからは魔石は一旦リュックに入れて魔物の名前を確認していると言っていた。
徐々に魔道具カメラで撮った写真と名前で情報を纏めていってるとの事。
俺が言った通り、魔物図鑑を作ってる人が居た!!
食料を収納している間も他の人たちからお礼言われたり、仲間にならないかと誘われたが丁寧に断りました。
教えるかどうか返事に時間を貰ったのは、鍛冶スキルの情報をじっくり探って付与ができないか調べるためである。
ちなみにあの人の名前は『葛城省吾』と言うらしい。
付与できる方法があるのかちゃんと調べないと、時代が変わった今の世の中。
以前の武器のままだと生きていくのは難しいからな。
新時代を生き残るために!
読んで頂きありがとうございました。




