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2 現在の状況。

評価、登録、いいね、感想をして頂きありがとうございました。

誤字脱字報告ありがとうございました。

東京が滅びると言った山波さんに、詳しく話を聞いた。




「なるほど? ……堀さんは何も言わなかったんですか?」

俺は堀さんに視線を向けて聞いてみた。

「自分も考えたけど中々……」

うむ、同志よ、魔術や魔道具作りで他の事に頭が回らなくなっているのかい?



先ず聞いた東京の現状はこうだ。


発電方法をちゃんと魔力から変換して電気に変えているが、供給が間に合っていないとの事。

俺はそこで頭に?が浮かんで詳しく聞いてみると、そのまま魔石の魔力を電気に変えて発電していると言うのだ。

なので魔石の消費が供給を上回り、現在魔石が全く足りていない状態と……。


「はぁ~、そんな事ですか、驚かさないで下さいよ」

「そんな事じゃありませんよ、現在も街中では電気が送られていない所の方が多い状態です」

「そうですそうです、このままだと去年同様、凍死する人も出てきます」

なんと、凍死者が出てるのか、そりゃマズいな。



俺は発電方法を変える事を提案する。

現在の方法だと、そりゃいくら魔石があっても足らないよって話だ。


「どう変えるんです?」

同志に新潟で教えた方法を伝える。




「なるほど……確かにそれなら魔石の消費は抑えられますよ!」

「あと、魔石を集める機関……ギルドを作るべきです」

「ギルド?」

山波さんは首を傾げるが、横で同志はあっ! って顔をしている。


「ん? どうした堀? 何か知ってるのか?」

すると同志は申し訳なさそうに身体を小さくして言う。

「すみません隊長、ギルドの事すっかり忘れてました」

「だからそのギルドって何だ?」

そこで堀さんが説明する。


ラノベによくある冒険者ギルドの説明をすると、山波さんは腕を組んで考え込み始めた。



俺は同志になぜギルドの事を忘れていたのか聞くと……。

「ラノベに出てくるギルドは冒険者ギルドが基本ですから、現代の日本では無理だろうなぁって思ってたので、頭にありませんでしたね」

との事。


「堀さん、以前の世の中でもギルドは全然ありだと私は思いますよ?」

「そうですかぁ? 無理だと思いますけど」

例えば、派遣社員が冒険者として考えれば簡単だ。



派遣会社が企業から依頼を受け、それを派遣社員が選んで受けて達成すると報酬を貰う。

それだけでも冒険者ギルドと殆ど変わらない。


そこで派遣社員たちにランクカードなんてあったらまんまギルドだ。

俺自身よく想像してた事だしな。

身分証にもなり、ランクによっては報酬が上乗せされるとか色々考えてたなぁ……懐かしい。


Sランクの派遣社員になれば社長と同等の扱いを受けるとか、まあそれは無いだろうけど、そうやってテンション上げてたのを覚えている。



「なるほど、確かにそれならありかな? って、今はまったく環境が変わってますが? それでも可能だと?」

「むしろ今の方が作りやすいでしょ」

まあ、ラノベみたいに国の管轄を外れるって事は難しいだろうけどね。

いや、むしろ国が運営した方が良いんじゃね?

王政ではない現代なら全然ありだと俺は思うが……どっちもどっちかな?



その辺りはお偉いさんたちが考える事だしまあ良いか。

すると考え込んでいた山波さんが口を開いた。


「そのギルドというのは確かに現在の世の中には需要がありそうですね、個人でも依頼を出せる組織、しかし……それを国が運営するのか国とは関係無い組織が運営するのかは、難しい所ですね」

そうでしょうねぇ~。

「それはお偉いさんたちが考える事なので、私はノータッチです」

まあ、どっちでも問題は必ずあるだろう。


頭が固くて視野の狭い人間は確実に居るからね。

あれはどうするんだーとか的外れな事言ったり、こうなるからダメだーとか言う奴は必ず出てくる。

俺なら放置するだろうけど。

もっと頭柔らかくして視野を広く持てと言いたい!

って、今はいいか。




「それは後ほど上に相談します……では、進藤さん」

「はい?」

「ドラゴンを倒したという兵器を、国に売ってくれませんか?」

ほう、そうきたか。


「えーっと、霧島さん? という人に売った兵器なら、国に売っても別に良いですよ?」

そう言うと山波さんの表情が緩んだ。

「良かった、それが我々にも必要だったので……」

と、心底安堵している。



ん? ちょっと待てよ?

「山波さん」

「はい?」

「どうして兵器が『必要』なんですか? まさかドラゴンでも出ました?」

すると山波さんは微妙な表情をして答える。


「これは、一般には公表していない事なんですが実は……」

そうして話し始めた山波さんの話は、かなりマズい事になっていた。



山波さんたちは電気が復旧して最初に通信を復活させた。

そして復旧した頃はまだ連絡がつかなかったようだが、2ヶ月程前に海外と連絡が取れるようになったそうだ。

しかし、その通信で聞いた状況は悲惨なものだった。


A国は大都市が殆ど壊滅し、シェルターに籠っているらしいが食料が尽きる寸前らしい。

なぜそうなったのか最初から詳しく聞くと、やはり銃社会なのか。

魔物を銃で殺そうとして倒せなかったのが原因である。


C国も殆ど似たような感じだと連絡がついたとの事。



しかし、通信が出来るようになってるって事は、誰かが魔導士になったんじゃねぇの? って疑問が浮かんだ。


「職業を得た一般人がコミュニティーを支配している状態だと、最後の通信で言っていたそうです」

おう……ポストアポカリプスですか。



まさか海外がポストアポカリプスになっているとは思わなかったなぁ。

順調に復興しているもんだと思ってた。


それで連絡がついた国から応援要請がきて、自衛隊が行く事になったのか。

なので兵器が必要だと。



そこで山波さんが一言付け加える。

「しかもA国にもC国にも、ドラゴンが居るそうです」

マ・ジ・で・す・か!?

「はぁ~……なるほど、兵器の話は分かりました、1日時間を頂ければ用意します」

「ありがとうございます、では進藤さん……」

「まだ何かあるんですか?」

俺は苦笑いを浮かべながら聞いた。



「是非ドラゴン退治の話を聞かせて下さい」

そう言って山波さんと堀さんは目をキラキラさせていた。

それを見て俺が言った言葉は勿論。



「企業秘密です」

そう言って俺は代わりに、報酬で貰える土地の話を切り出した。

読んで頂きありがとうございました。

寒すぎる。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 企業秘密ではだめなのでは? 【兵器】を使った状況や結果を情報として一緒にセットで売らないとそれがどういう状況で使えるのかとか適切なタイミング等を分かる以上、企業秘密では通用しないかと?…
[良い点] 更新お疲れ様です。 [一言] A国はドラゴンだと思います。 C国はドラゴンでなく龍であろうと想像します。 龍なら神ですから退治しちゃ拙かろうな、と。
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