1 戻って来た東京。
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4章スタートです。
どうも、北海道から大体3ヶ月程掛けて約……3年半ぶり? 地球上では約2年弱? ぶりに東京へ戻ってきた進藤です。
俺たちはブルドラを倒したあと数日間、北海道でダンジョンを見つけては探索をして、商品の仕入れをしながら青森へと戻り、三橋さんから売り上げの一部を払ってもらい、宮本さんからは魚を仕入れたりと充実した旅をしてきた。
ちなみに北海道から青森へは、峪舘の漁師さんに船を魔導化して運んでもらいました。
宮本さんと同じで漁に出られなかったらしいが、魔導化した事で漁に出られると喜んでたよ。
今回は岩手じゃなく秋田の方から南下していき、秋田、山形を通って凛久が居る新潟は寄らずに、福島県、茨城県、栃木県を経由して帰ってきた。
前回寄らなかった県を通って商売をしてきたのだ。
そうそう、全ての県にはちゃんと壁で囲まれてセーフティエリアができてたな。
山形、福島、茨城は海沿いと内陸部にも壁で囲った大きな街があった。
どれも壁は木製だが、今後コンクリートに変わっていくだろう。
どうしてこんなに復興が進んでいるのか?
それは勿論、殆どの人が職業を得ているからだと思う。
建築士に就いている人は、スキルで建築物を建てられる。
まあ、ざっくり言ってるから簡単に聞こえるだろうけど、実際はもっと大変だ。
でも、以前よりは全然楽になっているだろうけどね。
そして、栃木から南下して東京へ戻ってきたんだけど、栃木の街は殆どが崩壊していた。
原因はあのスタンピードだ。
全てのダンジョンから魔物が溢れて、南側に居た人たちは殆どが巻き込まれて亡くなったと聞いた。
その後俺たちは、平木家の家で1日休んでから東京へと向かって現在、約50メートルはある大きなコンクリートの壁を見ながらゲートへ向かって車で走っている所である。
まだ全部は完成していないようで、壁の途中から足場が組まれ壁を木製からコンクリートに変える工事をしている。
ゲート付近はコンクリートだが数百メートル先はまだ木製だ。
「やっと東京に戻ってきたな」
とはユウの言葉である。
「俺たちにとっては約3年半ぶりかな?」
「異世界ダンジョン行ってたからねぇ」
なっちゃんが後ろからそう言う。
「他の異世界にも行ってみたいね」
由奈がそう言うが美晴さんが否定する。
「由奈ちゃん、異世界に行ったとたん死んじゃう可能性もあるのよ?」
その通りだ。
異世界は危険な所である。
ラノベ知識だと良い世界のはずなんだけどな。
それに、現在世界中で異世界の存在を知っているのは俺たちだけだと思う。
いや、既に異世界に行ってる人が居るかもしれないが、帰ってくるのは至難の業だ。
なので異世界の存在を地球側が知るのはまだまだ先の話だろう。
俺たちが言わない限りはね。
だがしかーし!
実は俺も異世界には行ってみたいと思っている。
それは何故か?
決まってるだろう?
異世界に行けばエルフちゃんが居るかもしれないのだ!!
と、そんな事を考えているとゲート前に到着した。
横に人が通るための普通の扉が開き、自衛官が出てきて小走りで近づいてくる。
窓を開けると自衛官の男が声を掛けてきた。
「すみません、身分証はお持ちですか?」
俺は免許証をアイテムボックスから取り出し、指に挟んでピッと見せる。
「……あぁ、貴方が怪しい商人の進藤さんか」
おや?
俺の事を知ってる?
「話は伺ってます、えーっと……車を収納して付いてきて下さい、今ゲートは開閉できないんですよ、すみません」
「何かありました?」
「それが…って、それは後で上の人に聞いて下さい、自分が余計な事を言えば問題になるので」
うむ、そりゃそうか。
そういう訳で俺たちは車を降りてキーに車を収納すると彼の後ろを付いていき、彼が出てきた扉から中に入った。
「おお~……現代とファンタジーが混ざったような感じだな」
中に入ると広がる景色に俺はそう感じた。
ゲートの近くはまだ更地のままで、所々にマンションが建ち、そう思えば横に中世ファンタジーに出てくるような一軒家が建っている。
すると自衛官が説明してくれた。
「建てる人にも色々居て、折角ファンタジーな世の中になったからってああいうのをね……はは」
そう言って苦笑いを浮かべていた。
なるほど、その気持ちは痛い程分かるぞ!!
それならちゃんと区画整理してファンタジー感ある一画を作れば良いのにね。
現代とファンタジーがごちゃ混ぜの街になるぞ?
その後、ゲート横にあるパーキングエリアに停まっている、自衛隊の車に乗り込んでそのまま街の中へと入っていった。
数分走るともう着いたのかと車が停まる。
停まった所はあのT大学だ。
なんだか物凄く懐かしいが、結構中は変わっていた。
校舎? が増えて以前あった周囲の鉄柵が無くなり、10メートル程のコンクリートで作られた壁になっている。
また何かあった時の避難所にするために壁を頑丈にしたんだろう。
そして既にT大の周囲にも、マンションや家が建てられている。
あんなに瓦礫があったのに、その瓦礫は何処にも落ちていない。
流石早いねぇ~。
ちなみに俺が作った結界がまだ残っていた。
こんなに長く持つはず無いんだけどな?
誰かが魔力を注いでいるのかもしれない。
以前拠点になっていた会議室では無く、新しく建てられた校舎? に案内され、応接室のような部屋に通され、ここで少し待つように言われた。
「何か随分と変わったな」
「そうなのか?」
そう言えば、俺以外は前のここを殆ど知らないのか。
俺はここに来るまでの間に見た変化を皆に説明した。
「ほう~、それは随分変わったんだな」
「大学じゃなくなったのかな?」
「学校ってもう始まってるの?」
「なら由奈ちゃんも学校行かないとねぇ?」
「由奈は既に高校の勉強を済ませてあるだろ? 洋介らが教えてたからな」
「あなた、学校は勉強だけじゃありませんよ、友達ができる場所でもあるんですから」
「おぉ、友達は大事だぞ」
「でも私、既に皆より年上になってるんだけど?」
あぁ、異世界ダンジョンで3年程居たせいで同級生だった子よりも、3つ? いや2つ年上になったな。
見た目はそんなに変わってないが。
そんな話をしていると扉がノックされると直ぐ開かれ、山波さんが入ってきたのでソファから立ち上がった。
「おお! 山波さん! お久しぶりです」
「進藤さん久しぶりですね、もう……1年半くらい経ちますか?」
そう言いながら山波さんは対面のソファに座った。
するとまた直ぐに扉が開かれ、今度は俺の同志……じゃなくて堀さんが入ってきた。
「お久しぶりです進藤さん!」
「堀さんも元気そうで、魔道具の方も頑張ってるようですね?」
俺はそう言って部屋の天井に吊るされた明かりを見た。
「あっ、分かります? あれ自分が作った魔導ランプです、魔石の魔力をそのまま電気に変換してありますよ」
「おっ、流石ど…堀さん! 腕を上げましたねぇ~」
「いやいや、進藤さんには敵いませんよぉ、ドラゴンを倒したそうじゃないですかぁ~」
「コホン……その話もしたいんだが、そろそろ良いかな?」
おっと、同志と話が盛り上がってしまって山波さんを忘れてた。
俺はソファに座り先ずは皆の自己紹介をした後、話を聞く姿勢になる。
右側には由奈が座っている。
他の皆は壁際に置かれていた木製の椅子に座って話を聞く。
すると山波さんが真剣な表情をして口を開いた。
「現在、東京は滅びそうです」
俺たちはその言葉にキョトンとして固まってしまった。
……東京が滅びる?
読んで頂きありがとうございました。




