26 成長した皆2
評価、登録、いいね、感想をして頂きありがとうございました。
誤字脱字報告ありがとうございました。
Side:加藤弘
うむ、雄太の奴もやるようになったな。
次の瞬間、雄太が尻尾で吹っ飛ばされる。
「ほう、トカゲの分際でワシの息子によくもやってくれたな」
ワシは剣を抜き放ち闘気を解放する。
さて、奴の所までどうやって近づこうか……。
そんな事を考えていると、奈美が奴を地上へ落としてくれた。
「ナイスだ奈美!」
全力で地を蹴り奴に接近すると跳び上がり、トカゲの背に乗る。
ふん、ワシの剛剣を喰らえ!!
闘気を纏った剣を奴の背に振り下ろす……ガキンッ! と金属のような音を響かせて弾かれる。
「むっ、硬いのぉ」
では、まだ使いこなせていないがあれをやってみるか。
ワシの職業は剣士を経て剣豪のままだ。
未だに成長はしていない。
洋介が言うには、ハイジョブは成長に時間が掛かるのかもと言っていた。
確かに洋介も未だに賢者のままだ。
それとも他に何か条件があるのか……まあ、ワシが考えても分かるはずないか。
「フンッ!!」
闘気を更に上げ剣に纏わせると、そこへ魔力を混ぜていく。
雄太が気と魔力を混ぜていたのを見て、ワシも試しているんだがこれが中々……。
すると黒いエネルギーが剣に纏わり付き、闘気で青く微かに光っていたが紫色の光に変わる。
この状態を維持するのが難しい。
剣を両手で振り上げ全力で振り下ろす。
「ぬぅおおおおらぁああああ!!!」
ズバッ!! と硬い鱗を斬り裂き赤い血を僅かに噴き上げる。
「はは!! どうだトカゲ!!」
『GUOOOOOO―――――!!!!』
「ぬっ!?」
いつの間にか周りに青い光の球が出現していた。
こいつの攻撃か!!
間に合わん!
しかし攻撃はワシに来る事は無かった。
「あなた、無茶ばかりして……何かあったらどうするのよ」
空から最愛の妻が降りてきた。
「おお、相変わらず綺麗な美晴がきてくれたか」
「あなたったらもう……ほら、行きましょ」
「そうだな、そろそろ洋介の準備も終わる頃だ」
後は洋介に任せれば大丈夫!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Side:平木由奈
あっ、やっとお爺ちゃん下りた。
じゃあ私がブルドラを仕留めてやる!
私は魔法使い、魔物使い、薬師を経て魔女になった。
魔女は普通のジョブストーンだけど条件があって、魔法使いと薬師をマスターしないと成れなかったんだよね。
そして現在は成長して『青の魔女』っていう職業になってる。
そう言えば、魔物使いの後にヨウ君から『死霊術師になるか?』と聞かれた事があったなぁ。
最初意味が分からず首を傾げてると『パパやママと一緒に居られるぞ?』と言われて気付いた。
そうすれば一緒に居られるけど、パパとママを子供の私が従えるのはやっぱ嫌だなって単純に思ったのを覚えている。
そう答えるとヨウ君が。
『そっか、実は俺もそう思ってた。 親を従わせる子供ってどうなんだ? ってな、由奈がそう答えてくれて逆に良かったよ』
ヨウ君のその言葉を聞いて再確認させられた。
父さんや母さん、お爺ちゃんやお婆ちゃんはヨウ君に従う死霊なんだなって、普段は友達のようにしてるけど、何時でも命令して動かす事ができる関係なんだって……。
そう思うと段々ヨウ君に申し訳なくなって、泣いた事は今でもハッキリ覚えてる。
まあ、その後皆に滅茶苦茶慰められたんだけど。
その時に言われたヨウ君の言葉はずっと忘れられないね。
『はは、由奈は優しい子だなぁ……安心しろ、最初の頃はユウを魔物に突っ込ませようとか頭を過ったけど今じゃ皆俺の家族だぞ、なんたって血で繋がってないけど魔力で繋がってるからな!!』
『私も?』
『当然! 俺の家族の家族は皆家族だ!』
そう言って胸を張ってたヨウ君の姿が、今でも鮮明に思い出せる。
あの言葉が切っ掛けで、私もヨウ君の事をお兄ちゃんみたいって思うようになったんだよね。
するといつの間にかヨウ君って呼んでたな。
その後、父さんが教えてくれたんだけど、ヨウ君の家族は既に誰も居ないと聞いて更にお兄ちゃんって思うようになった。
そして皆にはまだ言ってないんだけど、実は私も魔女になって不老スキルを習得しちゃったんだよね~。
ヨウ君なんて私が成長しないのは魔力の影響か最適化の影響かって、色々調べてくれてるんだけど心配させちゃったかな。
まあ、その内話すよ!
なんで言わないかって?
この年で不老をゲット! なんて言えばヨウ君が余計に自分が魔女を勧めたからだ! って自分を責めると思ったからだよ。
私は不老になっても別に気にしないんだけどさ。
だからサラッと言おうと思ってます。
それより今はブルドラだね。
「さて、私の魔法を受けて立ってられるかな?」
ヨウ君が作ってくれた棒をブルドラに向ける。
私が魔女になって習得したスキルは【原魔】というスキルだった。
これがどういうスキルなのか、スキルと向き合い情報を探ると分かった事は、魔法が生まれる前よりもっと昔に生まれた魔法の先駆け? みたいな物で、魔術と魔法が合わさったような感じかな?
ちなみに生まれた順番は、原魔、魔法、魔術、魔導となっています。
これはヨウ君に教えてもらったよ。
世界の図書館で調べてくれた。
原魔を使うのは最初は恥ずかしかったんだけど、今は結構ノリノリになってる。
と言うのもこの原魔……呪文を使うんだよ。
ヨウ君に言えば『いい感じの呪文を考えてやろうか?』とノリノリだったけど。
それは丁重にお断りしました。
だって、イメージするとその現象に合った呪文が浮かんでくるんだもん。
ただこれは、呪文を使わなくても発動させる事ができる。
呪文を口にするのは100%の威力を出したい時だけ。
結構便利なのだ。
というわけで、頭に浮かんできた呪文を魔力を乗せながら口にする。
『明けるは世の闇、猛る赤き雫よ、我が血の元へ集い、全てを照らし焼き尽くせ……怒り狂う炎の槍よ!!』
呪文が進むにつれ、頭上数十メートルに形成さていく太さ5メートル程で全長10メートルはある炎の矢。
最後まで言い切ると周囲の景色を熱で歪めながら、音速で飛んでいき青い炎の軌跡を残す。
矢はブルドラの左肩辺りを貫通し少し飛んでいくと、霧のように溶けて消えていった。
ブルドラの肩には大きな穴が空き、肉を焦がし逆に血が出てこない。
しかし、傷口の周囲がまだ少し燃えていた。
『GYAAAAOOOOO―――――!!!!』
ブルドラは右手で傷口を押さえながら悲鳴を上げる。
うん、ちょっと位置がズレたかな? テヘッ!
すると次の瞬間、世界が真っ白になった。
ドラゴンブレス!?
やられると思ったら、私の耳に声が届いた。
「こら由奈、最後まで油断しちゃダメでしょ!」
そんな言葉がしたと思ったら視界が徐々に色を取り戻していく。
色が戻るとそこに立っていたのは、若くて可愛くなったお母さんが腰に手を当て、頬を膨らませながら怒っていた。
「えーっと……ありがとう? 何があったのいま?」
「ドラゴンブレスを撃たれそうだったけど、ヨウ君が止めてくれたんだよ」
そう言ってお母さんが振り向きブルドラを見る。
私も一緒に視線を向けるとそこには、地面に横たわるブルドラの姿があった。
「あっ! 準備終わったんだ」
地面に横たわるブルドラの横に立っているヨウ君の姿が目に入った。
流石お兄ちゃん!!
読んで頂きありがとうございました。




