25 成長した皆1
評価、登録、いいね、感想をして頂きありがとうございました。
誤字脱字報告ありがとうございました。
Side:平木雄太
さて、ヨウの準備が終わるまでに俺がこいつをブッ飛ばしてやろうか。
俺も異世界ダンジョンで鍛えたからな。
俺は全身に気を巡らせ身体強化すると、地を蹴り跳び上がってブルドラの腹に蹴りを全力で打ち込む。
ちなみに俺の身体にある気は、元々魔物の物なので普通の人間のそれとは質が違う。
これは異世界ダンジョンで訓練している時に気付いた事だ。
どう違うかと言えばそうだな……例えば、人間の気はバランス型とすれば俺の気は強化型と言えば分かるかな?
とにかく強化に特化している。
この特性は魔物が持っている物だが、俺の身体は魔物から作られてるから自然とそうなるのだ。
どの魔物も基本身体が硬いのは、気も影響しているとヨウが言っていた。
なので俺は結局、漫画のように気を飛ばすって事ができなかったんだよなぁ。
しかし、まだ諦めてないぞ!
更に職業が成長したからな!!
今の俺は気功師じゃない、俺の職業は……。
『気闘術師』
ブルドラの腹を蹴るとドゴンッ!! と衝撃音が鳴り響き、ちゃんと気が浸透する手応えを感じた。
『GURUOOOOOO!!!』
どうやら効いてるようだ。
「ハハッ!! どうだこの野郎!?」
俺は続いて空中に気で足場を作り飛び上がると、渾身の一撃を打ち込む。
気闘術師になって訓練している時に編み出したオリジナル技。
気闘魔衝撃!!
すると俺の右拳が奴の硬い鱗を貫通し、赤い血が噴き出す。
まあ、この巨体だから大した怪我にはならんだろうが、体内は違う。
気闘魔衝撃は俺の強化に特化した気と魔力を混ぜて作り上げた、全く新しいエネルギーと言える。
気に比べると浸透率は5倍、破壊率は10倍という優れものだ。
ある時ふと思った、気と魔力を混ぜるとどうなるのか?
初めてやった時は腕が吹っ飛んで由奈が大騒ぎしていたな。
ヨウに治してもらい、それからも何度か吹っ飛んでは治してもらいを繰り返していると、いつの間にか自然と出来るようになり、職業も気闘術師に変わっていた。
いずれ必ず、気を飛ばしてやるからな!!
と思っていると、俺が吹っ飛ばされ地面に叩きつけられた。
「ぐふっ……何だ?」
アンデッドなので痛みは無いが衝撃はある。
地面にめり込みながら空を見ると、奴の尻尾が戻っていくのが見えた。
尻尾か!
滅茶苦茶速いな。
全然気が付かなかったぞ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Side:平木奈美
「あっ、ユウったら無茶して」
私も頑張らなくちゃね!
異世界ダンジョンで私も成長したんだよ。
「先ずはこれなんてどうかな?」
ヨウ君に作ってもらった無骨な杖を突き出し、先端へ魔力を集めイメージすると発動させる。
蒼閃!
すると、杖の先から3メートル程の魔法陣が展開し、魔法陣から2メートはある太さの蒼いレーザーが発射され、100メートル程離れているブルドラの胸辺りに直撃するが、ダメージを与えている様子は無い。
「ム~、やっぱりもっと集束させないと貫通はしないかぁ」
範囲が広いと威力が落ちるね。
大抵の魔物ならこれで倒せるんだけど流石ドラゴン!
なら私も全力でいこうかな。
異世界ダンジョンで訓練していた時に私の職業も成長した。
元々魔導士だったけど今は違うんだよね。
今の職業は『大魔導師』なのです!!
これの前に『魔導師』で、そこから更に成長して今に至る。
では、私オリジナル魔術をお見舞いしてあげよう。
杖の先に魔力を集め、イメージを固める。
全開魔術くらえ!!
グラビティダウン!!
すると、ブルドラの全身に50倍の重力が掛かり、ブルドラは地上へと落ちていく。
「このまま潰してやる!!」
ズンッ! と更に重力が掛かり、地面が円形に沈む。
『GURURURURU……』
しぶといわねぇ!?
その瞬間、ブルドラから青い光の球が飛んでくるが、速過ぎて避ける事ができず当たる事を覚悟し目を瞑る。
しかし衝撃はこない。
目を開けて見てみると、そこには母さんが立っていた。
「もう、なっちゃんは危ないわねぇ、油断し過ぎよ?」
「母さん!? ありがとう~!!」
大好きな母さんに抱き付く。
あれ? 母さん、胸が大きくなってる?
「フフ、由奈ちゃんに色々作ってもらってるからねぇ~……どう? 売れると思わない?」
「たぶんめちゃくちゃ売れると思うよ」
うん、欲しがる女性は多いかな?
男も居そうだけど。
母さんはいつも私たちのサポートをしてくれる。
自分が前に出て戦うって事は滅多に無い。
それでも母さんの魔法にはいつも助けられてるよ。
母さんは魔法使いだったけど、今は違う職業に成長してるんだよね。
その職業はなんと『回復魔法師』という回復や補助魔法専門の職業!!
ヨウ君がそれを聞いて母さんを心配してたね。
『美晴さん、成仏するんじゃね!?』って……私もそれは思った!
だって母さんアンデッドホムンクルスだよ!?
まあ、普通のアンデッドじゃないから大丈夫みたいだけどさ。
それに私やヨウ君がゲームやラノベ知識で、回復魔法は神聖な物とか浄化系とかって思い込みがあっただけで、回復魔法はただ魔力を使って細胞を活性化させたりそのまま魔力が細胞になったりと、他の魔法と変わらないという事が分かった。
確かに浄化系のイメージが強い私は、回復魔術が得意じゃないんだよね。
擦り傷程度なら治せるけど、母さんは部位欠損まで治せる凄腕ヒーラー!
いつも母さんのサポートのお陰で助かってます。
「さてと、次はあの人の所へ行かなくちゃね」
相変わらず仲の良い両親だね~。
私とユウも負けてないけど!!
「私は由奈の所に行くね」
「由奈ちゃんも年頃だから過干渉にならないよう気を付けなさい?」
「分かってるよ! 母さんのようにどっしり構えて、偶にサポートしてあげてるから大丈夫!!」
「それなら良いんだけど……あら、あの人ブルドラちゃんの上に乗っちゃったわ、そろそろ行くわね」
「気を付けて~……」
はぁ~流石母さん、あの余裕はどこからくるのか。
さてと、由奈はどこに居るのやら……。
読んで頂きありがとうございました。
めちゃくちゃ寒い!




