表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/160

23 ドラゴン吐息。

評価、登録、いいね、感想をして頂きありがとうございました。

進藤視点に戻ります。

時は大きなドラゴンが咆哮を上げた瞬間まで戻る。





「おいおい、今のはまさかドラゴンの咆哮って奴か?」

とユウが走りながら言う。

「だろうな、ここまで聞こえるって結構デカいんじゃね?」

今の咆哮はかなり距離があったように聞こえた。

「とりあえず急がないとね」

なっちゃんが反対側からそう言う。


「そうだな、ちょっとスピード上げるか」

俺はそう言って強化魔法を全員に掛けた。



「うわっ!? ビックリしたぁー、急に掛けないでよ!」

と、後ろを走っている由奈がクレームを付けてきた。

「悪い悪い、ちょっと急ぐぞ」

うむ、由奈も段々と遠慮が無くなってきたな。


そりゃ3年も一緒に居ればそうなるか。

まさか反抗期って奴かな?

思春期だしねぇ。




木々の間を縫うように雪が積もった中を走り抜けると林が途切れ、木が無く本来なら岩肌が広がる場所だろうが今は白銀の世界が広がる場所へと出た。


「おお!! ドラゴンだ!!」

本当にドラゴンが居た!!

「緑のドラゴンか、他の色もあるのか?」

俺はラノベ知識の中から、赤、青、黄、緑、白、黒、銀、金のドラゴンが居ると説明した。


「そんなに居るのかよ、黒と白の竜ってのは知ってるが」

「まあ、金が一番強いってのが定番かな? ラノベだと」

そんな話をしながら走っているとなっちゃんが声を上げる。

「見て! 何かするつもりだよ!」

視線をグリドラに向けると、頭を上げ深呼吸するかのような動きをしていた。



まさか出るのか!?

あの攻撃が!!

「ドラゴンブレス!!」

見ていると、俺たちが向かっている先に向けて撃とうとしているのが分かった。



この先に自衛隊が居るのか。

「先に行く!」

俺はそう言って縮地でその場から姿を消すように移動を始める。



縮地を使うと移動は早くなるんだけど、俺の思考速度が追い付かないので中々難しい。

ちょくちょく止まりながら行先を決めて移動しないと、どこかにぶつかって俺が潰れてしまう可能性がある。


ダンジョンで籠っている時に初めて使った時は、ビルの壁に突っ込んで大怪我をした事があった。

それからも何度か怪我をしながら訓練して、やっと怪我をしない程度には使えるようになったのだ。


ちなみにおっちゃんも剣豪なので使えるが、まだ慣れていない。




しかし、あのドラゴンブレスを現実で見られる日がくるとは思わなかったな。


そんな事を考えながら移動していくと少し先にある林の中に、自衛隊の人たちがドラゴンを見上げて固まっているのが見えた。


「ボーっとしてんじゃねぇよっ!!」

そう言って縮地で彼らの前へ移動し、即座に魔導書を出現させ発動させた。

その瞬間、視界が真っ白になる。



ズォオオオオ―――!! と世界が唸っているような音が響き渡る中、魔導書を発動させ結界を張っているが、風圧で飛ばされそうになる。

「チッ、仕方ないか」

後ろを見ると自衛隊員が数人風圧で後方へ飛ばされているので、魔導書を発動させたまま、魔術で風の結界を張る。


しかし、風の結界は直ぐに破壊され、また風圧が押し寄せてきた。

「こんの…ボケがぁ!!」

異世界ダンジョンで鍛えた俺を舐めるなよ!!


今度は根源魔導を発動させ、風圧の根源を破壊する結界を張った。

やっぱ根源魔導は魔力の消費がキツイな。


ちなみに根源魔導は、維持に魔力は必要無いが発動には結構な魔力が必要になる。




暫くすると音が徐々に止んでいき世界に色が戻り始める。


「うわぁ……マジかよ」

ブレスが収まったので魔導書を解除し、他の結界も解除して周囲を見回すと地面が抉れ所々岩や土が溶けて溶岩になり、また周囲の雪が近い所は土が溶けて冷めるのが早いのか、ガラス化している場所もある。

更に周囲にあった木々が風圧で綺麗に無くなっていた。


これがドラゴンブレスか。

まさに化け物だな。



そんな事を思っていると後ろから声を掛けられる。

「あ、あの! ありがとうございました!!」

振り返ると1人の男が頭を下げて立っていた。

「いやいや、あの状況で何ボーっと突っ立ってんの? 普通に死ぬよ?」

戦場でボーっとすんなよ!


と、ちょっと俺も興奮状態で、いつもは言わない事を言ってしまった。


「すみません……貴方は怪しい商人の人ですよね?」

おっ、怪しい商人として定着してるのか。

良いね!


「コホン……そうですが何か入用ですか?」

突然の商人顔です。

「あ、いえ……貴方も来てたんですね」

「まあ、そりゃドラゴンを……見てみたい気持ちもありますから」

あぶねー、ドラゴンを狩りに来たって言いそうになったよ。



『GUOOOOOOO――――!!!』

ドラゴンの咆哮に視線を向けると、勝ち誇ったように雄たけびを上げていた。



気が早いんじゃないかい?

「さっさとあのドラゴンを倒した方が良いですよ?」

俺が倒しても良いけど彼らが戦っていた相手だ。

横取りはしませんよ?


「あっ……すみません、武器を貸して頂いても?」

キョロキョロ周囲を見回しそう言う。

なるほど、武器も飛ばされたのか。



俺は残っている最後のロケットランチャーと数丁のライフルを地面に取り出した。


「どうぞ、今回は『貸す』だけなので、ドラゴンの素材を1つ頂ければいいですよ」

ロケットランチャーを手に取ろうとしていたが止めて少し考える。

「貴方は……」

「まあ、それより先に倒してしまいましょう」

ニッコリ笑いながら話を遮ってとりあえず使わせる。


早くしないと俺が倒すよ?




そんなやり取りをしていると、他の所から光の銃弾がドラゴンに着弾した。

「あっ、他の自衛隊の人がやってますね」

少しの間見ているが、次の攻撃が起こらない。

もしかして魔力切れ?


俺は自衛官に視線を向ける。

次は貴方の番ですよ……と。

汲み取ったのかロケットランチャーを手に取り魔力を充填させると、狙いを定めて発射!!



「おお、我ながら凄い兵器を作ったな」

しかし、彼が2発撃った所で攻撃が止まった。

ん? 魔力切れかな?

そう思い視線を向けると膝に手を突き肩で息をしていた。


あぁ、魔力切れだな。

ってか少なくね!?

2発で終わりって!


しょうがないなぁ、と思いながら俺が魔力をMaxまで充填させる。

「ほら、ちゃっちゃと撃ちましょう!」

その間も他の人たちはライフルで撃ち続けている。




その後、彼がロケットランチャーで止めを刺してドラゴン討伐は終了した。

と思いきや、直ぐに彼が隊長を探しに行くと言って皆でこの場所を離れていく。

俺は皆が来るのを待って暫くすると、新たな脅威が近づいてきた。



『GUOOOOOO――――――――!!!』



俺はその声にニヤっと笑う。

「まだ居たのか」

こいつは俺が貰うぞ!!

読んで頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ