22 霧島真吾2
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すみません遅れました!
Side:一等陸尉・霧島真吾
俺は1番近くに居る部下の所へと全速力で走り数分で到着した。
ドドドドドドドッとライフルを連射している部下の後ろで、後方支援をしている者に声を掛ける。
「おい! 衛生班は居るか!?」
「隊長!? ハッ! 後方に控えてます!」
「すぐ呼んでくれ、操縦士の腹に枝が刺さって動けない」
俺が状況を簡潔に伝えると、部下は直ぐに動き出した。
「衛生班直ぐに……!」
衛生班を呼んでいる間俺は、墜落した後どうなったのかを近くの部下に聞いた。
すると、あの一際大きいサイズのドラゴンが咆哮した瞬間、全員が動けなくなったらしいが、ここの者達は1番遠いからなのか直ぐ動けるようになったようだ。
その後、大きなドラゴンが飛び上がってこちらへ向かってきた所を、迎撃している最中だと言う。
やはりあの咆哮は動けなくする効果があるのか。
厄介だな。
話を聞いている間に衛生班がきたので、一緒にヘリの墜落現場まで走って向かった。
「おい! 大丈夫か!? 呼んできたぞ!」
「あ…りがとう、ございます」
顔色はかなり悪いが何とか持ち堪えてくれたようで良かった。
寒さで血もそんなに出ていないのが幸いしたのかもな。
「直ぐ見ます!」
「頼む」
衛生班が処置し出すその瞬間、空から物凄い光が放たれた。
「何だ!?」
眩し過ぎて直視できない。
すると耳に大きな音が響いてきた。
ズドォ――――!!! 何だこの音は!?
聞いた事の無い音。
少しして光が収まり音も聞こえなくなる。
目を開け周囲を見渡すと……。
「嘘だろ……」
俺達から50メートル程離れた地点から先の地面が抉れてクレーターのようになっていた。
反対側までは200メートルは離れている。
「あっ!」
あの辺りにはまだ部下が居たはずだぞ!?
『GUOOOOOO―――――――!!!』
ドラゴンが咆哮を上げるのでそちらに視線を向けると、ドラゴンは頭を上げて勝どきを上げるかのように吠えていた。
もしや、今の一撃で街も吹っ飛ばしたのか?
だがそれより、よくも俺の部下達を……。
俺はヘリからロケットランチャーを持ち出し、魔力を充填させる。
少しだけ回復した魔力を注いでいく。
50にも満たない魔力だが、少しでも奴に……。
すると、衛生班の肩に摑まりやってきた操縦士と衛生班が、ロケットランチャーに触れ魔力を注いでいく。
俺は操縦士に視線を向ける。
「傷にさわるぞ」
操縦士はニッと笑うだけで何も言わない。
そんな彼を見た衛生班の1人が答えてくれた。
「彼の傷は自分の薬で応急処置したので大丈夫です」
そう言って彼も笑う。
「薬?」
「はい、自分職業が薬師なんで、色々作ってあるんですよ」
なるほどな。
以前聞いた事がある。
薬師はどんな薬を作れるのかと言うと、従来の薬は勿論の事だが、何でも魔法薬に近い薬も作れると言っていた。
所謂回復ポーションだ。
既に世界が変わって1年以上経つこのご時世、流石にポーションの事は知っている。
従来の傷薬に薬師スキル【薬効強化】を使うだけで、軽い傷なら直ぐ治る薬になると言うし、更に調合は魔力によって変わった植物や、ダンジョンから採れる植物を使い、ポーションを作る事も可能だと言う。
彼が使った薬は効果の高いポーションだったって訳だな。
「よし、魔力は十分だ、これ以上注ぐと破裂してしまう」
「お願いします! 皆の仇を……」
「最後まで付き合います」
「俺もどうなるか分からん、だがこれなら……離れていろ」
皆が離れた事を確認して俺は片足の膝を突き、ロケットランチャーを肩に乗せ構えた。
魔力100で山を吹っ飛ばせる程の威力があるんだ。
1000に近い魔力を注いだらどうなるのか……少し使う事に躊躇いはあるが、奴を殺すためだ仕方ない。
「ふぅー……よし」
飛んでいるドラゴンに照準を合わせると、引き絞るように引き金を引いた。
その瞬間、銃口にとんでもないエネルギーが集まっているのが感じられ、少し腰が引けてしまうが、銃弾は直ぐ発射される。
ドゥッと静かに放たれた光の銃弾は、ドラゴンの胸に着弾した。
死ね……死ね、死ね!!
部下達の仇だ。
「死ねぇ――!!!」
着弾したドラゴンの胸からは大量の赤黒い血が噴き出す。
『GUOOOOO――――!!!』
ドラゴンは身体を捩りながらもなんとか耐えていた。
「クソがッ! あれでも無理なのか!?」
するとその瞬間、他の所から光の銃弾がドラゴンを襲う。
「なっ!?」
あいつら生き残れたのか!?
そう思っているとドラゴンが悲鳴のような鳴き声を上げると、力なく地上へと落ちてきた。
「よっしゃあーっ!!」
おっと、思わずガッツポーズをしてしまった。
こんなに熱くなったのは久しぶりな気がする。
その後、残り2体のドラゴンも他の所から撃たれる光の銃弾によって討伐された。
はぁ~……あんなのとヤルのは二度と御免だな。
今後のためにもちゃんと対策を練らないと人類は生き残れないぞ。
俺達は他の部下と合流するため、光の銃弾が撃たれた方角へと歩きながら向かっていた。
その道中、最初に落としたドラゴンの死体を発見。
「デカいな」
近くで見ると本当にデカい。
これは何かに使えるのか?
皆に聞くと1人の部下が「ドラゴンの素材は何でも使えるってのが定番ですね」
と言われた。
なるほど、とりあえず持ち帰って研究しないと分からないか。
近付いて鱗に触れてから軽く叩いて見る。
「硬いな!?」
鉄とは違う質感だが鉄より硬そうだ。
そんな事をしていると突然、茂みから人が出てきた。
「……あれ? あっ、隊長! 無事でしたか!」
「ん? 佐川!? お前こそ無事だったんだな!? ドラゴンの攻撃で吹っ飛んだかと思ってたぞ」
「いや、私も死んだと思いましたけど、助けてもらいました」
「ん? 他の隊員にか?」
そう言うと首を横に振って答えた。
「あの怪しい商人ですよ」
「何故あの商人が?」
って言うか、あの商人も来てるのか。
そんな話をしていると聞きたくない声が聞こえてきた。
『GUOOOOOO―――――!!!!!』
ここに居る全員が顔を見合わせ身体が固まる。
まだ居やがったのか……。
読んで頂きありがとうございました。




