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21 霧島真吾1

評価、登録、いいね、感想をして頂きありがとうございました。

誤字脱字報告ありがとうございました。

今回から2話程、別視点になります。

Side:一等陸尉・霧島真吾




あの怪しい商人、進藤と言ったか?

彼から買った武器はどれも現代には無い物ばかりだった。



部下が試しに使ってみたが、本当にイメージで弾の威力が変わったのだ。

しかし、彼はこうも言っていた『魔力を1000以上込めると銃身が破裂するので気を付けて下さいね』と……彼の魔力は1000以上あるのかと内心驚いたのも記憶に新しい。


俺や部下で魔力が1000を超えている者は居ない。

一番多くて400程だ。


雑談の中で彼は、ダンジョンの中に1年半程籠って訓練をしていたと言っていた。

いったい彼のレベルが幾つなのか気になり聞いてみたが『個人情報なので言いません』と躱されてしまった。

まあ、確かにレベルやステータスは個人情報になるよな。

迂闊に聞いてしまって謝ったよ。




俺は現在、部下達とヘリで北海道の中心にある夕岳ゆうだけへと向かっている。

彼から買った武器があればドラゴンを倒せると確信した俺達は、すぐ準備をしてこうやって討伐へと向かっているのだ。


『見えてきました!』

ヘルメットの無線機から操縦士の声が聞こえてきた。


窓から地上を見下ろすと、雪が積もり白銀の世界になった山の至る所に数匹のドラゴンが確認できる。

デカいな。

あんな生物が存在しているなんて未だに信じられない。



全身緑色の鱗に覆われ、全長約30メートル程の大きな身体に大きな翼。

尻尾の先には大きな棘があり、あれで殴られると簡単に死ねるぞ。

映画やゲーム等で見たドラゴンがまさにいま、目の前に居る。

街を1つ滅ぼした魔物。

必ず倒してやる!!



まだ200メートル程の距離があるにもかかわらず、2匹のドラゴンが空へ飛び上がった。


『ドラゴンが2匹向かってきます!』

さっそく来たか。

無線で他のヘリや地上に居る部下達にも通達する。


『迎撃準備! 射程内に入れば一斉に攻撃するぞ! ……ここで迎え撃つ』

操縦士にそう言うと、機体を止め横に向いて固定する。

俺は扉を開け魔導銃である、魔導ロケットランチャーを構え魔力を充填させ始めた。


『佐川、100で右、俺が左を狙う』

『分かりました!』

100というのは魔力の量を表している。


一応どれ程の威力があるのか山で試したが、100でも以前あったどの兵器よりも強力なのは間違いない。

これで倒せれば良いんだが……。



そんな事を考えていると、緑のドラゴン2体が射程内に入った。


『撃てぇ!!』



絞るように引き金を引くと、銃口から黄色味を帯びた光が溢れる。

その瞬間、ドウンッ!! と光の弾が発射された。

弾は楕円形に形を変え、従来の銃火器と変わらない速さでドラゴンへと着弾する。



貫け…貫け!!

以前の兵器で撃った時の映像がフラッシュバックする。

50口径さえも効かなかったドラゴンの身体をジッと見つめていると、着弾したその瞬間、赤黒い血が飛び散った。


『よしっ! 効いてるぞ!! このまま撃ち落とせ!!』

すると地上部隊も魔導銃ライフルで撃ちまくる。



魔導銃ライフルは以前のようにマガジンを変える必要が無いので、連射銃撃には持ってこいだ。

まあ、魔力が続く限りだがな。

1発魔力1でも以前の銃より威力がある……と言うのは言い過ぎか?

しかし、魔物に効くという点では以前以上だ。



だがドラゴンには魔力1の弾丸は効かないようで、1発魔力10にしないと効かないらしい。

それでも魔物に、ドラゴンに効くという事が大事だ。

ここでドラゴンを倒せば、北海道の復興が更に進む。


『GUOOOOOO――――!!!!』



そんな事を考えながら俺もロケットランチャーを2発撃って魔力が切れた頃、ドラゴンの1体が唸り声を上げ力なく地上へと落下していった。


『もう少しだ!!』

いや違う……まだドラゴンは残っている。


チッ、全部のドラゴンを倒すには魔力が足らないか……他のドラゴンが動く気配は今の所無い。

すると、少ししてもう1体のドラゴンも地上へと落下していった。

こうして2体のドラゴンは、抵抗する間もなく倒れた。



他のドラゴンが来るのを警戒していると、他のドラゴンより少し身体が大きな緑のドラゴンが息を吸い込み、大きな咆哮を上げる。


『GURUOOOOOO―――!!!』


『ぐあっ!?』

何だこれは!?

身体が動かない!?


すると、ヘリの魔導で動かしている電気系統がバチバチと火花を散らし、全てが停止した。


「……系統が…れました!!」

無線機までやられたようで操縦士の声がハッキリと聞こえない。

そんな中、ヘリは回転しながら地上へ向かって落ちていく。


「掴まれ!!」

俺は振り落とされないよう天井に手を突き、力を入れて身体が動かないように押さえる。


墜落するっ!

ヘリは木々にぶつかりながらそのまま山へ墜落した。





凄い衝撃だったな。

以前なら確実に怪我をしているか死んでるぞ。

レベルが上がって身体が丈夫になったお陰で助かった。

雪が積もってたのも幸いか。


「大丈夫か?」

身体を起こし操縦士に声を掛ける。

「すみません……ちょっと動けそうにありません」

「どこかぶつけたか?」

そう言って操縦席へ行き操縦士を見ると、太い枝が腹に刺さっていた。



これはマズいな。

抜けば失血死するし、抜かずに居れば動かす事もできない。

枝が腹を貫通して背中側から出てシートにまで刺さっている。


「……動かずに暫くそのままでいろ、必ず助けを呼んでくる、絶対死なせないからな」

「へへっ、気長に待って…ますよ」

そこで俺は、助けを呼ぼうと動き出す前にふと思い出す。


そう言えば彼が、あの怪しい商人が言っていたな。


『魔力感知と魔力制御はしっかりやって下さいね、ちなみに魔力を身体に纏えば細胞が活性化しますから、武器に纏えば魔物にも効きますよ』

確かにそう言っていた。


『細胞が活性化しますから』

……ダメ元でも良いか。



操縦士に魔力制御で傷口辺りに魔力を纏えと説明する。


「あぁ…確かに、そんな事…言ってましたね、やってみます」

すると目を閉じて集中しだした。


様子を見ていると、傷口辺りが微かに光っている。

「ぐっ……これは、確かに効きますね……これならまだ持ちます」

「よし、すぐ戻ってくる」

そう言って俺は墜落したヘリを出て、部下が居る場所へと向かった。



必ず助けるからな!!

読んで頂きありがとうございました。

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