14 海の中。
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俺達は海の中でも呼吸ができるように根源魔導で身体から1センチ程空気の層を作り、呼吸と服や身体が濡れないようにした。
これで服以外の所も寒くならない。
港から海へ飛び込みそのまま底へと沈んでいくと、なんとまあ綺麗な景色が広がっているのでしょう。
色とりどりのサンゴ礁があり、微かに光っている水草まである。
これは……スゲー綺麗だなぁ。
水中だがスマホでパシャリと1枚撮影する。
防水も付与してあるので大丈夫!
するとユウやなっちゃん、由奈も写真を撮っていた。
これは撮るよねぇ。
以前だとこんな景色は見れなかっただろうな。
俺は入り口を探すためにキョロキョロと辺りを見回すが、入り口らしき物は見当たらない。
この景色はダンジョンのはずなんだけどな~……。
すると後ろから誰かが俺の肩をポンポンと叩く。
振り返るとユウだった。
ユウはそのまま指でとある場所を示すので視線を向けると、不思議な光景が目に入る。
海底に水面があるのだ。
流石ダンジョン!
ラノベ知識によるとあの下は空気のある空間になっているはず。
漫画やアニメでは見る光景だが、現実だと頭が混乱しそうだ。
逆に混乱してすんなり受け入れてしまうな。
考える事を放棄してるようなもんだが。
俺達は水面へと向かい、俺がまず入ってみるが……通れなかった。
「ってガラスかい!!」
此処は普通、通れる所だろうが!!
「通れないのか?」
「ああ、見えない壁かガラスのような硬い物があって無理だな」
ちなみに、水中なので声は籠った感じに聞こえている。
おそらく別のルートか、此処を通れるようにする方法があるんだろう。
水面の下はふんわりと明るい。
人工的な通路のようになっているみたいだが、周囲に入れるような所は見当たらない。
横でユウが殴って割ろうとしているがビクともしない様子。
腕を組んで考えていると由奈が声を上げる。
「こっちに穴があるよー」
視線を向けると港の下に直径2メートル程の暗い穴があった。
近付き覗いてみると、どうやら自然洞窟のような穴になっている。
俺は暗視があるのでよく見えるのだ。
穴の中を進むとその先はなんと、船の中だった。
もうね、ダンジョンだから仕方ないけど、混乱するわ!!
どうやら漁船のようで地上にある船の情報を元に構成されてるみたいだな。
最近の船っぽい感じがする。
狭い船内を進み、本来甲板に出る階段を上がると今度は、大きな船の中になっていた。
しかも空気がある。
「これは、何かの施設か?」
「海の中にある施設……良いねぇ~」
なっちゃんが何か言ってる。
「ここってたぶん、魚市場じゃね?」
ユウが辺りを見てそんな事を言う。
どうやらユウは魚市場に行ったことがあるらしい。
俺は無いので分かりません!
でも確かにここは倉庫っぽい感じだ。
とりあえず探索してみますか。
上がってきた場所は特に何も無い倉庫っぽい空間だが、右側の壁が途中で切れて隣へ行けるようになっている。
覗いてみるとさっそく発見。
「あれはもしやマグロでは?」
「おお、あれはマグロだな、しかも他の魚介まであるぞ!」
大きなゴロっとした魚が左側の壁沿いに大量に積まれているのが見えた。
右側には発泡スチロールの入れ物に入った魚介が大量に置かれている。
ついでに変な生き物まで発見!!
「あれは人? じゃないよな」
「あの格好は魚市場に居そうだが、あの身体はどう見ても魔物だろ」
ですよねぇ~。
頭にタオルを巻いて、黒いロングTシャツに青いエプロン? それに白い長靴。
よく見る魚市場の服装だが身体が筋骨隆々でデカい!!
2メートルはあるな。
後ろ姿なので顔は見えないが帽子も被っている。
しかし、そこで俺は違和感を覚えた。
「魔物の魔力を感じないんだけど?」
「新種の魔物か?」
「いや、普通に人では?」
「こんな所に?」
確かにこんな所に人が居るのはおかしいが、別に変じゃないよな?
魚を獲りにきた漁師ならありえる?
「すみませーん」
「おい! 魔物だったらどうすんだよ」
「まあまあ、魔物でも……」
すると魔物? が振り返って返事をする。
「なぁんだ? こんな所にめずらしぃなぁ、人がくるなんてよぉお?」
(本当はもっと訛っている)
滅茶苦茶訛ってる!?
地元の人か?
やっぱ魔物じゃなかったのか……魔術を撃たなくて良かった。
しかしデカいな。
「地元の漁師さんですか?」
「んだ、船が出せねぇんで仕方なぐなぁ」
よくここまで来れたな。
すると隅っこに酸素ボンベなどが置かれていた。
なるほど、あれでここまで来たのか。
話を聞けばどうやらここで魚を捌いて持って帰ろうとしていたらしい。
まんま持って帰るのは荷物が多くなるからと……逞しいねぇ。
見た感じ、30代って感じの身長以外は普通の男だ。
いや、筋肉が普通じゃないか。
彼がここで魚を捌くなら俺達は他の所で仕入れようと軽く挨拶をして、更に隣へと進んでいった。
すると直ぐ隣は魚を冷やすための氷が積まれていたが、その更に隣の部屋には鯖や鮭などのサイズの魚介が大量に発泡スチロールのケースに入れられ積まれていた。
が、今度は人ではなく、れっきとした魔物が立っていた。
「なんで地球の魔物は気持ち悪いのしか居ないんだろうか?」
「確かに、異世界ダンジョンは比較的カッコいい魔物が多かったよな」
そこに居た魔物は縦に大きな口? のように割れていて、大量の鋭い牙が付いている。
身体の半分がその口なのだ。
カエルのような足に、腕は子供程のサイズしかなくて短い。
足以外が肌色なのも更に気持ち悪いんですけど!!
何かのホラーゲームの情報から生まれてるんじゃねぇの? って思う程、気持ち悪い魔物が多い。
ダンジョンさん、魔力さん、どうか可愛い魔物やカッコいい魔物を生んで下さい。
そう願いながら俺は刀を抜いて歩き始めた。
他の誰も動かないから俺がやるしかないよね。
「あれは殴りたくない」
「気持ちワル!」
「何でも食べそうな口だね」
「見てると結構可愛く見えてくるかも?」
「あんなペットは要らんぞ」
若干1名、ズレている人が居るが気にしない。
さて、お前はどんな戦い方をするんだ?
確かめるために俺は近づいていった。
魔物の情報は大事だからね!!
読んで頂きありがとうございました。




