13 証の仕組み?
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ゲート前で自衛官に身分証を見せてほしいと言われたので、車の免許証を見せた。
勿論クラフトで顔写真は今の俺にしてある。
「37歳……若いですね」
絞り出した言葉がそれか。
まあ、何て言えば良いか俺も分からないが。
「よく動く車を見つけましたね」
免許証を返してもらいそんな話をしてくる。
フッフッフッ、チャーンス!
「これは俺が作った車ですよ」
「自分で作った!? ……よく作れたなぁ」
そう言いながら車を眺める。
「しかも燃料は魔力です」
「なっ!? 魔力で動くって事は……君は魔導士かな?」
ほう良く分かったな、もしかしてこの街にも魔導士が居るのか。
今の職業は武闘家という事にして話を合わせた。
転職方法は既に知れ渡っているようで驚きは無かったが、魔導車には驚いている。
「注文を頂ければ作りますよ? 少し高いですけどね」
「はは、個人的には欲しいけどそんな金無いよ……と、どうぞ通っていいですよ、今開けます」
そう言ってゲートの方を向いて手を上げた。
すると高さ10メートル程あるゲートがガコッと音がしてウィーンッと左右に開いていく。
自動ですか!?
魔導士頑張ったな!
「東と西にダンジョンがあるので行ってみてください、あと宿なら海沿いにあるので……魚料理が美味いですよ」
「ありがとうございます、何か入用なら言って下さいな、お安くしときますよ」
「はは、その時はよろしく」
そう言って俺達は街の中へと入った。
街中は活気がある雰囲気だ。
街中を歩く人達や立ち止まって話している人達はどこか明るい。
買い物帰りの自転車にのった奥さんや、小さな子供と手を繋いで歩いてるお母さんなど、以前のような風景が見られた。
しかし……。
「滅茶苦茶見られてるな」
「そりゃ他に車が殆ど走ってないからだろ?」
「走ってるの自衛隊の車だけだもんね」
「そんな中、軽ワゴンが走ってたら目立つよねぇ」
信号も復活してるので交差点で停まってると、歩行者に滅茶苦茶見られるのだ。
そりゃ目立つよね。
しかも、自衛隊の車は殆どがディーゼルで動いているので、以前のような音を出しているが、俺のは完全に魔力なので滅茶苦茶静かなのだ。
ちなみに、車が動かなかったのは電気系統に魔力が干渉していたので動かなかったが、ちゃんと魔道具で魔力から電気に変換して電気系統に流しているので動くようになっている。
その後、俺達は海沿いに昔からあるという良い雰囲気の宿に泊まり、明日からダンジョンに入って仕入れをする事にした。
食料はまだ半分以上残っているが、商人として品切れはさせたくないので仕入れだ!!
職業の証も仕入れないといけないしな。
異世界ダンジョンで仕入れたのでは? と思うだろうが、異世界ダンジョンでは1つもでなかった。
俺も最初はただ運が無いだけかと思ったけど、1月経っても出ないのはおかしいと思い世界の図書館で調べたのだ。
すると面白い事が分かった。
まあ、面白いかどうかは人それぞれだけどね。
あの世界で証が出なかったのは、あの世界に『人が居ない』からという事が分かったのだ。
それは何故か?
勿論調べた。
結果、職業の証は人のために作られた物で、人が居ない世界というか星では出現しないというのだ。
それは神がそうしているのか? いや、それが世界の理らしい。
ではその世界の理を作った者は誰か?
世界の図書館で調べようとしてもその先は閲覧禁止なのか、情報を引き出せなかった。
おそらくその、世界の理を作っている者が神といわれる存在なのかもしれない。
それから、職業の種類は誰が作ったのかについても調べたのだが、これは正にその世界に存在する『人』によって変わるらしい。
なので世界中の人が、知らない職業は出現しないという事だ。
逆に言えば、知っている職業は全て存在するという事。
なので大賢者は必ず存在する!!
って事はだ、勇者も存在するって事になるし、魔王も……魔王って職業になるのか?
ラノベ知識によると職業の場合もあるけど……こういう場合どっちになるんだろうね?
まあ、そこは出たらッて事でいいか。
種族が魔王ってのもあったからな。
あの鑑定結果に出てた『ラミデルト』っていう神は、この理を作った神ってことかもしれないな。
他にも神は居るのか?
って今はどうでもいいか。
翌日俺達は東にあるというダンジョンへとやってきた。
「マジか」
「これは……大変だな」
「魔法で行けるよ」
「殆ど誰もいないじゃん」
「私達は大丈夫だけどねぇ」
「洋介がおるから大丈夫だろ」
いや、おっちゃん……流石にこのダンジョンはねぇ。
宿を出てダンジョンがあるという場所までやってきた俺達は、港に停泊している船を眺めながらそう言った。
これは船がダンジョンって訳じゃないぞ。
船の下がダンジョンになっているのだ。
そう、海の中です!!
とうとうやってきました海の中のダンジョン。
俺はゲームでも水の中のエリアが嫌いなのだ。
その理由は何か?
勿論、攻略しにくいからである!!
しかしこのダンジョンでは、魚が豊富に獲れるらしい。
今では殆ど人はきてないけど。
定期的にちゃんと人が入ってるようでスタンピードの心配は無い。
水中ダンジョンかぁ……。
そんな所に入るモノ好きは居ないよね。
まあ魔術や魔法、魔導でも使えば大丈夫だろうけど……水死だけはしたくないな。
息苦しい中でお陀仏は御免被る!!
俺達はさっそく準備に取り掛かった。
魔術や魔法で呼吸をできるようにするのは可能だが、魔力の消費を考えると根源魔導でやる方が良いだろうと、俺と由奈に水中呼吸を根源を弄ってやってみる。
それが上手くいき、何とかこのダンジョンに入れそうだと安心していると……。
「おい! 俺達は!?」
「私は魔術があるからいいけど」
「あっ、私も魔法があるね」
「ワシと雄太はどうするんだ?」
と4人が言い出す。
いやいやいや、ちょっと待て。
「お前ら全員アンデッドだろうが!!」
アンデッドが呼吸してるなんて聞いた事ないぞ?
すると4人共キョトンとする。
「いや、それは分かってるけどさ……普段も呼吸は一応してるんだし」
「呼吸しなくても良いって言われても何か気分的に……ね?」
「まあ、呼吸する事に慣れてるからねぇ」
「そうだな、今更呼吸しなくても良いと言われてもなぁ」
と言うので結局全員水中呼吸ができるようにした。
おかしい、4人共アンデッドホムンクルスなんだけどなぁ……。
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