3 家族。
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ユウと由奈がおっちゃんとおばちゃんを従えるようにと、期待の籠った目で見て来た。
「いいのか? 普通に成仏させた方が良いと思うけど?」
2人は黙って頷く。
はぁ~、仕方ないな。
俺はおっちゃんとおばちゃんを死霊術で縛った。
『あれ? ヨウ君じゃない、何だか久しぶりねぇ』
『おう、洋介か久しぶりだな』
「おばちゃん久しぶり、おっちゃんは相変わらず威厳たっぷりだな、義理の息子と孫も来てるよ」
そう言って横で突っ立っている2人を紹介する。
「お義父さんお義母さん……すみません! 奈美を……守れなかった」
そう言ってユウは頭を下げた。
ユウにはおっちゃんとおばちゃんが見えている。
それは何故か?
3人は俺が死霊術で縛っている仲間みたいなもので、繋がりが出来ているので見えるようになっている。
なので由奈ちゃんには見えていない。
『ユウ君、貴方も死んじゃったのね』
『由奈ちゃんを守ったんだろ? なら問題無い、ワシらも死んじまったしな』
「すみません……」
「お婆ちゃんお爺ちゃん……死んじゃったんだね」
「ちょっと待ってろ……よし、これで由奈とも話せるよ」
俺は2人に魔力を流し実体化させた。
『由奈ちゃん更に可愛くなったねぇ、元気にしてたかい?』
『両親もワシもお婆ちゃんも死んじまってすまんな』
「ううん、こうしてお話が出来たから大丈夫! 進藤さんのお陰で元気だよ」
『進藤さん? って誰だい?』
『婆さん、洋介の事だ』
『あぁ、いつもヨウ君って呼んでるから苗字を忘れてたよ』
「あのね、パパとママがね……」
由奈が今までの事を説明しだしたので俺はユウに声を掛けた。
「なぁ、なっちゃんが居そうな場所に心当たりは?」
「ん~……あいつが元々使ってた部屋かな? それか畑だと思う」
ふむ、なるほど。
地道に探すしか無いか……何か死霊術で出来る事は無いかなぁ?
そう思って俺は死霊術スキルの情報を探る。
………………ん?
これは何とかなるか?
「おばちゃん、なっちゃんが使ってた物って残ってる?」
由奈と話しているおばちゃんに聞くと由奈が首を傾げる。
「ママが使ってた物って?」
「使ってた物なら何でも良いんだけど」
『何かあったかしら?』
『奈美の昔の物なら置いてあるが』
すると由奈がバッグから何かを取り出した。
「これならどうかな?」
それは銀色の指輪だった。
「これは?」
「ママの結婚指輪だよ」
「なんで由奈が持ってるんだ?」
横で聞いていたユウが話に入ってきた。
由奈が言うには食料を探しに行く前、なっちゃんが由奈に指輪を預けたと言う。
ちゃんと帰ってくるからという約束をして……死亡フラグを立てたのかなっちゃん!?
それはやっちゃダメでしょうが!!
まあ、今回はそれでなっちゃんを呼べるから良いけどさ。
「使わせてもらうぞ」
受け取ると由奈とユウが何をするのか聞いてきたので説明する。
「死霊術で死霊を召喚? 口寄せみたいな事をできるらしいんだ、本来これは過去の英雄等の死霊を召喚する死霊術らしいが、これならなっちゃんを召喚できそうだし、探す手間が省ける」
しかし、これはかなり魔力を消費するみたいだ。
俺の今の魔力量は3万近くあるが足りるか微妙な所だな。
さっそく居間で死霊術を発動させると魔法陣が床に展開する。
そこへ指輪を置きイメージをしながら魔力を流していく。
「なっちゃんの死霊よ、今こそ我の前へ!!」
すると魔法陣が光出し足元から徐々に光が人型になっていき、頭まで来ると光が弾けてなっちゃんが姿を現した。
『やっほー! ヨウ君久しぶりだねぇ~! 私を呼んだみたいだけど、ってここ何処? あっ、実家じゃん! そうだ、母さんは大丈夫!?』
いきなり現れて滅茶苦茶元気な死霊、ってのもおかしいけどとにかく元気だ。
「なっちゃんはいつも通りだな」
『って、母さんも父さんも死んじゃってる!? 母さ~ん!』
そう言っておばちゃんに抱き着こうとしてお互いスカッと空振りする。
お前ら死霊だぞ? おばちゃんは実体化してるがなっちゃんは実体化していないので触れない。
『あっ、由奈! 由奈が居る~、生きてたぁ~! ……いやぁ~ん触れないよぉ~』
そう言って涙目で俺を見てくる。
俺は黙って実体化させた。
触れられるようになって由奈を抱きしめている。
由奈も涙を流しながらなっちゃんに抱き着いていた。
ちなみに、どうしてなっちゃんがいきなりこんな元気になっているのかと言うと、死霊術で召喚すると自動的に召喚者が従える事になるのだ。
それよりも今回、何故魔力がそんなに減っていないのか?
と、俺はそこが気になる。
スキルの情報によると結構な魔力を消費するらいしんだけど、殆ど減っていないぞ?
何かのバグかな?
そこでスキル情報を探っているとある事に気が付いた。
なるほどねぇ……過去の英雄の死霊を召喚した訳じゃないので魔力がそんなに必要なかったのか。
なっちゃんは最近の死霊でしかも一般人である。
まだ成仏していなかった事も要因の1つだと分かった。
過去の英雄の死霊とか強い死霊を召喚するには大量の魔力が必要という事だな。
英霊召喚! みたいな?
それはそれでやってみたい。
いつかやってみよう。
そんな事を考えながらなっちゃん達を見ているとユウが近づいてきた。
「なあ」
「何だよ?」
「奈美を呼ぶときの掛け声って要るのか?」
「そこかよ!? ……いや、特に必要なかったけど何か?」
俺はさも当然のような顔をして言う。
「いや、それなら良いんだが……あいつの身体も作ってやってくれ頼む」
ははは、勝ったな!
ユウは苦笑いを浮かべながら言うと最後は頭を下げてきた。
「言われなくてもそうするつもりだ、既に従えてるからな、それに……」
なっちゃんの身体を作るのだ。
当然『細部までしっかり想像』しますよ~。
まあ、ユウと同じ仕様だけどね。
『ユウも死んじゃったんだね』
「ああ、奈美が死んだのを見て直ぐ俺も殺されたな」
『ゴメンね、私が無理を言ったから』
「それは違う! お前のせいじゃない、ただ……運が悪かっただけだ」
『そっかぁ~運か~……まあ、由奈は無事でこうして再会できたし良いか!』
「奈美のそういう所好きだぞ」
『もう、皆が居るのに何言ってんのよ……バカ』
えーっと、お前ら成仏させてやろうか?
その後、落ち着いた皆になっちゃんの身体を作る事を伝えると、おっちゃんとおばちゃんも欲しいと言うので2人の身体も作る事になった。
材料が足らないので何処かで魔物を狩らないといけないため、なっちゃん達死霊組にダンジョンを探してもらう。
ちなみにおっちゃんの名前が『加藤弘』でおばちゃんが『美晴』と言う。
あっ、女の魔物の死体は使わないぞ?
元人間でしかもアンデッドだからな。
新鮮? な魔物の死体の方が良い身体を作れそうな気がする。
という訳でちゃちゃっと狩ってきますか!!
読んで頂きありがとうございました。




