28 動き出す。
新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
評価、登録、いいね、感想をして頂きありがとうございました。
新年早々モチベ上がりますっ!!
アンデッドホムンクルスについて説明すると、2人は何とか納得したのでさっさとユウを中にぶち込む。
「じゃあ行くぞ」
『痛くないように頼むぞ?』
「女子か!」
俺が死霊術を発動させると、素体とユウの上に魔法陣が展開する。
すると死霊であるユウが光の粒子になり魔法陣に吸い込まれていく。
『えっ、消えるのか?』
「素体に定着させるための工程だな、直ぐ済む」
そして完全に消えると素体の魔法陣が強く光り出し、光の粒子が素体へと降り注ぐ。
あの光一つ一つがユウって事なのかな?
そして素体の魔法陣とユウの元居た場所にある魔法陣も空中へと四散して消えていった。
スキルが成功した事を教えてくれる。
しかしユウが中々起きない。
俺は腕を組みながらユウを見下ろし。
「…………さっさと起きろよ、成仏させるぞ?」
するとパチッと目を覚ますと身体を起こした。
「やめろよ!? ちょっと起きるのが怖かっただけだ」
「怖いって、既に死んでるじゃん」
ユウは立ち上がり身体を動かしたり触ったりして確かめている。
「付いてないけど一応服着るか?」
「当たり前だ! って言うか、前の身体より引き締まってるな、身体も軽い」
俺は服をクラフトしながら答える。
「それもサービスだ、以前の身体よりかなり丈夫で強くなってるはずだ」
あの大きな犬を丸々一体使ったからな。
「サンキューな」
「お前はその身体でしっかり由奈の肉壁をしてやれよ」
「肉壁って……まあその為の身体でもあるのか、分かった」
すると由奈がユウを見ながら首を傾げて言う。
「パパがちょっと若い?」
「えっ、本当か!?」
「それもサービスだ、大体ユウが結婚した時くらいじゃないか?」
「それは有難い」
そしてユウの服が完成したので着させた。
ユウの服は一般的な緑色の迷彩柄のズボンに、上は黒の戦闘服で俺達と同じサバゲー装備だ。
勿論俺が改良してある。
バックパックも由奈と同じ物にした。
その後、身体を手にした事によってユウも戦闘の訓練をする事になった。
ユウは職業を武闘家にして訓練を始めたのだが、アンデッドホムンクルスでも職業を得る事ができるとは思わなかったな。
しかし、付いてた物が無いので物凄く違和感があると言う。
それは諦めろ。
ユウの奴、これが女の感覚なのか? とか言ってちょっと楽しんでる所もあった。
その内慣れるだろう。
由奈もユウもレベルが低いのでまだもう少し、此処でレベル上げだ。
そして俺達はその後、2週間程神社ダンジョンに籠っていた。
「じゃあ、そろそろ行くか」
「おう」
「どっかに犬とか猫が居たらテイムするからね!」
そう、由奈はこの2週間で魔物使いになっていた。
俺が楽しそうにユキと話しているのが羨ましかったそうだ。
話していると言っても、ユキが言葉を喋る訳でもないけどね。
偶にユキが寂しがって俺と一緒に寝る事がある。
やっぱ子供なんだなぁと思う。
それも羨ましがってる由奈が居たけど。
そしてもう1つ狛犬…魔石を調べたらケルミアという名前だった。
その死体を確保した。
なっちゃんの為だ。
居ないかもしれないが、もし居てなっちゃんが望めばユウと同じように身体を作ろうと思ってね。
俺達は2週間ぶりにダンジョンの外へと出た。
顔に当たる風が更に冷たくなっていた。
もうすぐで11月か。
石畳を歩いて長い階段を見下ろす。
「今度は降りるのかぁ」
「上りより楽だろ、レベルも上がってるし」
「おんぶしてやろうか?」
ユウがそう言うと由奈は首を横に振って断った。
「自分で行く」
「そうか」
ユウは微笑ましい顔をしてそう言った。
何そのやりとり?
これが親子なのか?
そんな事を考えていると由奈がどんどん階段を下りていく。
俺達も後を追い階段を下り、此処から山形県を通って宮城県仙台を目指す。
山道を歩いて只管仙台を目指す中、偶に山の中から魔物が出てくるようになっていた。
「あっ、蝶々が飛んでる」
と、由奈が言うので目線の先を追うと確かに木々の間を飛んでいた。
おぉ、綺麗だな……。
「って、デカいわ!」
見た感じ蝶々は1メートル程はある巨大蝶々でした。
「あれも魔物か」
とユウが言う。
「だろうな」
地球の生物が巨大化したとか無いよな?
一瞬嫌な想像をしてしまった。
地球の昆虫が巨大化した世界を……巨大なGが押し寄せてくる映像はホラー映画より怖い。
あれが魔力溜まりから生まれた魔物だと信じて進もう。
俺達は3日程掛けてもうすぐ仙台と言う所まで来ていた。
此処に来るまで人とは会わなかったな。
まあ、山の中を進んでるんだし会う訳無いか。
今日も良い天気の中歩いていると、何処からか以前はよく耳にしていた音が聞こえてきた。
「この音は……」
「よく聞いた事のある音だな」
「もしかして?」
そう言って俺達は顔を見合わせ自然と口角が上がり笑顔になっていく。
同時にその音がする方へと視線を向け、現れるのを待った。
バタバタバタバタ……と遠くから聞こえてくる音。
ワクワクしながら空を見上げていた。
すると木々の隙間からその姿を現すと。
『ヘリだー!!』
3人同時に言った。
とうとうヘリが飛べるようになったんだなぁ。
「あれは自衛隊のヘリか」
とはユウの言葉。
「そうだな……何処に向かってるんだろうな」
「この方角だと……岩手とか青森の方かな?」
そんな話をしていると、4機のヘリが更にやって来た。
これは、仙台にも向かってるヘリがありそうだ。
復興の兆しが見えて来た今日の事は忘れないだろう。
日本は今まで常に復活を遂げてきたのだ。
これからは復興の時代がやって来るのだろう。
何年掛かるのかは分からないが必ず復興する。
俺はそんな確信を持っていた。
まあ、以前と全く同じとはいかないだろうけどね。
しかし、更に良くなる可能性もある。
楽しみだ!!
読んで頂きありがとうございました。
2章はこれで終わりです。
次回からは3章に突入しますので今後ともよろしくお願いします!!




