27 人体錬成?
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誤字脱字報告誠にありがとうございます。
49部と中途半端に年を越すのは気持ちが悪かったので、何とか書き上げました。
翌日の午後、俺達はあの狛犬を狩りに出かけた。
かなりデカい。
あれで動きが速いとそれだけで脅威になる。
「由奈は入らなくていいんだぞ?」
「ううん、私も行く……パパの身体を手に入れるためにね」
その言い方は誤解を招くぞ。
そこはパパの新しい身体を作るためにって言わないと。
それだけ聞くとマッドでサイエンティストだな。
そして前回来た障子へと到着した。
障子を開けると以前と同じ位置に狛犬が居たが、今回は起きてる。
えっ、来るの知ってたの?
まさかダンジョン内の会話を聞かれてるとか無いよな。
……気にしないで行こう。
俺が先に入ってどれ程の魔物か確かめる。
一歩入ると頭をグルっとこちらに向け、顔に皺を寄せて威嚇をしてくる。
スゲー牙だ。
あれに噛まれると一発で終わりだな。
んー、どうしてもあのフサフサに目が行ってしまう。
もしかしてそういう仕掛けがあるのか!?
この隙をついて攻撃をしてくる魔物か。
そんな事を考えていると畳に爪痕を残しながら物凄い速さで走ってきた。
軽トラが迫ってくるようで圧が凄い。
まあ、この程度の速さなら俺は大丈夫だけど、由奈は危ないかもしれない。
狛犬が頭を下げ頭突きをしようと突進してきたので、畳を蹴って左へと躱した。
他の攻撃方法を確かめるためにこちらからの攻撃は控える。
すぐに止まって方向転換すると、そんなに離れていないので畳を蹴って飛び目前へと迫ってきた。
瞬発力はゴブリン以上だな。
流石四足歩行。
今回は頭突きではなく、右の前足を振り上げての爪攻撃。
間合いを見切って少し後ろに下がり、ギリギリで躱す。
するといきなり、後ろ脚を蹴り距離を詰めながら左前足を振り下ろしてきた。
こいつ!?
「やるなぁ!!」
後ろにも横にも避ける事が出来ないので、前へ出て奴の懐に入り胸の辺りに右手で掌底を打ち込む。
ん?
奴の身体は後ろ脚で立ち上がるように浮いた。
しかしそのままバック転して地面に着地する。
こいつの反応速度は異常だな。
しかも、掌底を打ち込んだ時の感触からして奴に気功は効かないようだ。
あの身体の毛が気を通さないようになっているのか。
それだと魔力も通さないだろうな。
「由奈は来るなよ! こいつに魔法は効かないかもしれない!」
するとしょんぼりして通路で待つ事にしたらしい。
俺は奴の上に魔法陣を展開させると、火球を撃ってみる。
ドゴォーンと大きな音を立て白煙が舞う。
晴れて奴の姿が見えると全く効いていなかった。
やっぱりかぁ。
こうなると刀で斬るしか無いよな。
…………よし。
俺は奴の動きを思い出し、斬る場所を決めた。
刀の鞘を左手で持ち右手で柄を掴むと腰を落として構える。
少しの間、奴との睨み合いが続いたが瞬間、同時に動き出した。
奴は口を開けようとしていたが、俺は縮地で奴の右側へと一瞬で移動し、移動途中で浮いている奴の身体に居合切りの要領で斬り上げ一閃。
すると奴の上半身がそのまま前へと飛んでいき、下半身は少し進んだ畳にドサッと落ちる。
刀を振って血を飛ばし鞘に納めた。
「凄い!! 移動が全然見えなかった!!」
すると由奈が入ってきてはしゃいでいる。
「先に魔石を抜こうか」
そして納めた刀で胸を切り裂き魔石を抜いた。
ちなみに、魔物によって魔石の位置は違う。
まあ、魔力感知で何処にあるかは分かるので苦労はしない。
切断した上半身? と下半身? の死体を収納する。
『それで作るのか?』
「ああ、最高の身体を作ってやるよ」
『狼男みたいにならないよな?』
「それは俺の匙加減だ」
『ヨウ様、どうかイケメンでお願いします!』
「お前は十分イケメンだろうが! 喧嘩売ってんのか!」
このボケ!
「って言うか、見た目を変えすぎるとお前って分からなくなるぞ、良いのか?」
するとユウはキョトンとして首を傾げる。
『何か問題があるのか?』
「はぁ~、これから仙台に向かうって言うのに、義理の両親にどうやってお前だって説明すんの? ねぇ?」
俺がそう言うとユウは腕を組んで考え込み始めた。
どんだけ唸っても答えは無いだろ。
お前1人ならな。
拠点に戻るまでずっと唸って考えているユウに1つ提案をしてやる。
「そのままのお前で作って、両親の前で最適化すればいいんじゃね?」
それでハッ! となり漸く落ち着いた。
拠点に戻ってきたがまだ3時にもなっていないので、さっそくユウの身体を作る事にする。
『とうとう俺の身体が』
「……これって死者蘇生になるのかな?」
俺は2人の言葉を無視して魔物の死体を畳みの上に取り出すと、さっそくイメージを固める。
幸い、見本は目の前に居るのでイメージしやすい。
しかし、ちょっとサービスで弄る。
イメージが固まったので発動させる。
「クラフト」
すると真っ二つになった魔物の死体が光で包まれる。
その光が徐々に人の形に変わりようやく経つと光が消え、そこにはユウの身体が横たわっていた……裸で。
「よし、さっさと入れ!」
『って、ちょおっと待てぇ!!』
「どうした?」
『俺の大事な物が付いてないぞ!? どうなってる!?』
「あっ、マネキンみたいになってる」
フッ、やはり気付いてしまったか。
さっさと入れば良かったモノを。
由奈もしっかり見ている。
って、それよりもギャーギャー文句を言うユウに説明してやる。
「当たり前だろうが、お前は生き返る訳じゃないんだぞ?」
すると由奈もユウもキョトンとする。
分かってなかったか。
「ユウはあくまでもアンデッドだ」
『アンデッド……』
「……ゾンビって事?」
「まあ、ゾンビとは違うが似たようなもんかな? いや違うな」
ユウは既に死んでいる。
身体を作り魂を入れてもそれは蘇生ではない。
死霊術で縛ったユウの魂は蘇生できない。
蘇生方法があるのかは調べていないので知らないが。
では今回の身体はどうなのか? それはアンデッドホムンクルスという種族になるのだ。
これは死霊術スキルからの情報ね。
アンデッドホムンクルスは生きた生物とは違う。
人としての三大欲求が無いのだ。
「なので付けなかったって訳だ、必要無いからな」
横で四つん這いになって落ち込んでいるユウを見ながら伝えた。
『小便もしないのか』
ユウが床を見ながらそう言う。
「飲み食いは出来るように作ったぞ、それはサービスだ」
飲み食いした物は全て魔力に変換されるように作った。
更に、寝なくていいのに寝られるようにもしたのだ。
俺って天才だな!!
読んで頂きありがとうございました。
あと1時間で終わりですが、良いお年を!




