23 属性溜まり。
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誤字脱字報告誠にありがとうございます。
全てをほったらかして寝たいですがモチベ上がりますっ!!
講義の後、俺達は凛久の家で一晩泊めてもらった。
晩飯の時には東京がどうなっているかや、スタンピードの話をした。
そこで分かった事だが、ここら辺はスタンピードは来ていないと言うのだ。
その話を聞いて頭に浮かんだのは、あの大きな穴である。
スタンピードの魔物はあの穴から出てきたのでは? と思ったのだが、今は確かめる方法が無いので流した。
ちなみに世界の図書館でそういう事を調べるには数年かかる。
無数にある情報の中から無数にあるダンジョンの情報を調べるのは、極めて困難な事だ。
俺達は翌日に街を出る事にした。
あまり人が集まっている場所に長居するのがちょっとね。
なんせ俺、イケメンになったし!
って、そうじゃなくて……1番の理由は由奈ちゃんがアイドルより可愛いから、アホに目を付けられると面倒だからね。
それに早く仙台に行ってなっちゃんの死霊を探したい。
という訳で俺達は今、街を出るために前回通ってきた門の前に居る。
「では、また近くに来たら寄って下さいね」
凛久が見送りに来てくれた。
海はあのインクを買って色々やってるようだ。
「ええ、私は商人ですから、しかも今は行商ですよ、近くに来たらまた寄らせてもらいます」
お互いに頭を下げて俺達は振り返り、門を出ようとした所で遠くから声が響いてきた。
「…………いっ! おーい!! 東京の自衛隊と連絡がついたぞぉー!!」
ん? 『連絡がついた』?
マジか!?
あのト〇ロ、もう発電機作ったのかよ!?
って、東京の方でも誰かが発電機を作ったようだな。
よしよし、ちゃんと復興に向かってるようで安心した。
すると走ってきた自衛隊の人、俺から刀を買った須和さんが膝に手を突いて肩で息をして、整えてから続きを話した。
「山波1等陸尉と連絡がつきました、以前会った事があるので間違いないですよ、現在順調に復興が進んでるようです」
「おお! 山波さんは元気でしたか?」
「ご存じで?」
「東京で色々お世話になりましたしお世話もしましたよ、勿論商売も」
「あぁ、貴方の事でしたか」
そう言って苦笑いを浮かべた。
山波さんが何か俺の事を言っていたようだ。
俺が首を傾げていると「どうやら俺は奴隷になるかもしれん」と山波さんが言っていたらしい。
山波さん、あれ本気なのか?
此処日本ですよ~。
安心してくれ山波さん、俺がきっちり国に払ってもらうからな。
詳しく聞くと現在、車等移動手段を動かすために奮闘いているらしい。
通信は真っ先に復活させたようだ。
ちなみに人工衛星は地球の外にあるので魔力の影響は受けていない。
これは世界の図書館による情報である。
「では、もう少しすれば車やヘリが来るんですね?」
「はい、日本の現状を把握するのが最優先になります」
そりゃそうか。
ま、そういう事なら俺はのんびり商売させて頂きましょうかね。
「進藤さん? 行かないの?」
と、由奈ちゃんが声を掛けてきた。
今回は商売と講義が殆どだったので、由奈ちゃんは大人しくしていたようだ。
ユウもね。
「では、私達は先を急ぎますので」
「進藤さん、山の魔物に気を付けて下さい」
「はい、ありがとうございました」
そう言って俺達は北東へ向かって歩き出した。
俺が急いでいる理由はもう一つある。
それは山の中にあるダンジョンを見ておきたかったからだ。
魔力溜まりが出来て魔物が生まれているならどんな魔物が生まれているのか気になった。
ふと思ったのだ。
海にもダンジョンはあるのか?
海に魔力溜まりができて、陸の魔物が生まれたら溺れるんじゃね?
と思って世界の図書館で調べると、どうやら魔力溜まりには属性があるようで、場所によってちゃんと生まれる魔物は適性がある魔物が生まれるようになっているらしい。
例えば火山の魔力溜まりだとサラマンダーとかが生まれ、海なら海の魔物が生まれるという事である。
なので北東にある山の魔物は何が生まれてるのか気になったのだ。
陸の魔力溜まりは属性が色々だ。
なので人類にとって最悪な魔物が生まれる可能性だってある。
確認して、もしそうなら直ぐ対処しないと日本が終わるのだ。
人が居なくなった街中を歩きながら乗り捨てられている車を収納していく。
そして、30分程で山の麓までやって来た。
「さてと……確かにいくつか魔物の魔力を感じるなぁ」
俺は山を見ながらそう言うと、由奈ちゃんも山をジッと見て魔力を感じようとしている。
魔力は人や魔物等の個体によって違うのだが、どう違うかと言えば大きさや力強さ等他にも色々有るが主にそういった感じだな。
これは魔力感知を鍛えれば誰でもできる事である。
『俺がサッと見てきてやろうか?』
「そうだな……ついでにダンジョンの場所も探してくれ」
『任せろ』
そう言って消えていくユウ。
戻ってくるまでのんびりしよう。
そして数分後、ユウは戻ってきた。
由奈ちゃんは魔力制御の訓練をし、俺は地面に座りバックパックにもたれながらタバコを吸い、コンビニで収納した漫画を読んでいた。
『何だこの落差は? 先生がそれでいいのかよ』
するとユウがそんな事を言った。
俺は漫画を収納して立ち上がり、腰に手を当てて言う。
「漫画も修行の1つである!!」
『何のだよ!』
「勿論、想像力だ」
と、ドヤ顔で言うと溜息を吐かれた。
シュールな死霊がまた出たぞ?
ちなみにシュールとは、非日常的や超現実の表現の事である。
まあ簡単に言えば、現実ではありえない状況って意味だな。
って、今の世の中シュールだらけなんだけどね!
これがその内日常になっていくんだろうなぁ。
で、ユウからの報告を聞くと、どうやら魔物は色んな種類が見られたとの事。
ユウの話では草の生えた目玉の魔物とか、決して面白いって意味じゃないぞ?
全身木で出来た人型の魔物も居たらしい。
そしてダンジョンは山のあっちこっちにあると言うので、一番近い所を案内してもらった。
「これがダンジョンに続く階段?」とは由奈ちゃんの言葉。
「何処かで見た事あるような?」とは俺の言葉。
『この上に神社のような社があって、そこがダンジョンになってた』
神社をダンジョンにするとは罰当たりなコアだな!!
これまでダンジョンを見てきて分かってると思うが、ダンジョンは周囲の情報を基に構成されているようだ。
デパート、マンションの地下駐車場、街、建物等。
しかし、ダンジョンの出入り口は既にある建物等がそうなっている。
つまり、この先にあるダンジョンの入り口は元々神社だったって事だ。
神様がキレてコアを破壊とかしないのかな?
今の世の中、もしかしたら神様もパニック状態なのかも?
居たらの話だけどね。
果てしなく続く階段をひたすら登っていくと、鳥居がやっと姿を現した。
此処まで40分程登ってきましたが!?
どんだけ長いんだよ!!
由奈ちゃんは黙って登っている。
いや、喋る余裕が無いのだろう。
「ほら、もうすぐ着くぞ」
「はぁはぁ……」
顔を上げてまた俯きながら登っていく。
そして現れた神社。
「スゲー」
「わぁ……」
現れた神社は滅茶苦茶綺麗だった。
読んで頂きありがとうございました。




