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4 ファンタジーと言えばファンタジー。

手が冷たすぎる!

そっと玄関を開けて外を見た俺はショックを受けていた。



俺の住んでいるワンルームマンションは高台に建っていて、俺は4階の部屋に住んでいるので、玄関を出た廊下から街を見渡せるのだが……。



所々煙が上がっていたり、遠くに見える高層ビルやマンションの一部が欠けていたりしていた。

一軒家や小さいビル等も窓が割れて煙を出している所もあれば、綺麗に残っている所もある。

そうだ、それが少し違和感を覚える。

高いビルやマンションの中にも、綺麗に残っている物があるんだけど……。

「いや、おかしいだろ」

ついそういう言葉が口から出てしまった。



そういう綺麗に残っているマンションやビルには『明かり』が点いてるのだ。

周りにある高層ビルやマンションには点いていない電気の明かりが、綺麗な建物には残っていた。

あそこに人が居るのか?

避難してる人達が……いや、それなら学校等に行くだろ。



って、此処で考えていても分からないので、とりあえず向かってみる事にした。

ちなみに今は7月……じゃない、8月になってるのか。

1月気絶してたからな。




生温い風を肌で感じながら廊下を歩いて階段で下りると、3階のフロアに下りた時、廊下に人が立っているのを発見した。

「あっ、すみません、何があったか分かりますか?」

近付きながらそう聞くと、振り返ったそれは明らかに人ではなかった。



片目が無く、口元は皮膚が剥がれて乾いた歯茎が見えている。

腹から腸がはみ出し、腕は所々肉が無く骨が見えていた。

そう、映画や漫画でよく見るあれ……。

「って、ゾンビかよ!」

左手で鞘を掴んでいた刀の柄を右手で握り、そのまま抜き放ちながら下から斜めに斬り抜いた。

ドッとゾンビの胴体に当たり半分程斬るがそのまま振り抜いたせいでガキンッと、廊下の柵の途中にある上まで伸びている柱に刃が食い込んでしまった。



「くっ……やべっ」

ゾンビが斬って少し後ろへ下がったが、意に介さず手を伸ばしながら向かってきた。

「ちょっ……このっ!」

右手で刀を柱から抜こうとしながら、左足でゾンビの腹を蹴って下がらせると同時に、その衝撃で刀が柱から抜ける。

建物側ではなく柵がある方へと刀を横に振り抜いて、ゾンビの首を斬り落とす。

初心者なので顔半分の辺りから斬れてしまった。



「うげぇ……気持ち悪」

刀に付いた赤黒い血を見て、脳味噌が飛び出した光景を見てそう呟く。

ゾンビ映画によくあるように頭を狙ってみたけど、それで正しかったようだ。

死体に近付いてよく見てみると、この顔は偶に見かける女性だった。

工場の仕事が終わって夕方帰ってきた時に、夜の仕事をしてるような派手な服を着ていつも出掛けてたな。



死体の服で刀の血を拭いて鞘に納めると、急いで自分の部屋に戻って玄関の鍵を閉める。

ズルズル玄関に背を預け座り込んで深いため息を吐いた。

「はぁ~……マジかぁ」

こればっか言ってるなオレ。



ゾンビって……ゲーム要素があるならファンタジーだと思ってたのに……。

普通ゴブリンとかオークじゃねぇの!?

そんでオーク倒してオーク肉うめぇええ! って流れじゃないのか!?



……くそっ、魔物を倒して食料にするつもりだったのにさ。

流石にゾンビは食えないぞ。



自分の手を見て思う。

以前の俺なら確実に死んでるし、吐いてる自信がある。

しかし、さっき頭の中は結構冷静だった。

これも最適化のお陰なのだろうか。




落ち着いたので立ち上がり外に出る。

「ゾンビだけじゃないかもしれないしな」

食料になる魔物が居るかもしれない……そうだ、メールで魔物が出たって書いてあったし、まだ諦めるのは早い。

とにかく魔物を殺してレべルを上げないとな。



気を取り直して再び階段を下りていくと先ほどのゾンビの死体が目に入る。

「死体は消えないのか……」

ラノベだと結構消えるのが多いんだけど、リアルだとそうはいかないかぁ。

先ほどは遠くの街並みばかり見て近くをちゃんと見てなかったな。

そう思って下を覗いてみると、所々にゾンビが徘徊していた。

まあ、ゾンビは動きが遅いから倒しやすいけど……正にバイオでハザードだな。




下まで来ると、そこら中に血の跡が目に入る。

結構悲惨な状態だったんだな。

ゾンビに噛まれると俺もゾンビになるのか?

これがウイルスによるゾンビならありえる。

……こんな時、鑑定とかあれば便利なのに!



とにかく見える範囲のゾンビは全て倒していこう。

そう思ってマンション前の道路を、ノロノロ歩いているゾンビの首を斬り落とす!

落とす!

落とす!

落とすぅう!!



「おかしいな」

4体のゾンビを倒したのにレベルアップのお知らせが来ないぞ?

ステータスを確認すると……。

「えっ……上がってるのかよ」

レベルが3になっていた。

「あの時の声が教えてくれるんじゃねぇのか」

何かこう……モヤモヤするのは何だろう?

まあいいか。



それよりも、やっぱ刀は広い所で思いっきり振る方が斬りやすいな。

まあ初心者なもんで。

しかし、斬る時はもっと強く握った方が良さそうだ。

偶に刀が手から抜けそうになる。

硬い物を斬るにはそれだけ力が必要なんだろう。

俺が下手くそなだけだろうけどね!



近くにゾンビはもう居ないので、このまま西へ向かって道路を進めば坂の下にコンビニがあるのでそこへ向かう。

遠くにゾンビ達がウロウロしてるのは見えてるので、倒しながら向かうとコンビニに到着。

外から見たコンビニは正面のガラスが割られ、店内は暗くなっていた。

「うわぁ……やっぱそうか」

コンビニは既に荒らされて、食料は少しの缶詰くらいしか無かった。



「これは……一応持っていくか」

それは食料ではなく、文房具やシャンプー、嗜好品等の類である。

食料以外は結構残っていた。

バックヤードを覗いて見るが食料は無かったので、代わりに生活用品と嗜好品を貰っていく。

ちなみに此処で言う嗜好品とはタバコの事である。



「うおっ」

事務所の方へ行くと、頭の潰れた死体が1つ転がっていた。

ゾンビになったこいつを倒した者が居るって事だな。

いや、生きた人間の時かもしれないけど。

そこまで俺には分からんので放置!

事務所には特に何も無かった。



アイテムバッグ便利だなぁ。

触れて収納を念じるだけで次々入っていくのは気持ちが良い~。

レジのカウンターに座って少し一服する。



「ふぅー……職業はどうすればいいんだろう?」

そう、ずっとステータスの職業を何か変えられないか試しているのだが、うんともすんとも言わない。

くそ、ラノベ知識なら此処で忍者とかに就けるはずなのにな。

そうは問屋が卸さないってか。



まさかダー〇神殿みたいな所があるのか?

そこへ行かないと職業に就けないみたいな……ラノベなら教会かギルド?

そして可愛いシスターや受付嬢がお出迎え……って今はそれどころじゃないか。

それっぽい所があれば寄ってみよう。




そんな事を考えながら次の場所へと移動を開始した。

もし、偶に投稿が無い時は凍えてるんだと思って下さい。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「おかしいな」 4体のゾンビを倒したのにレベルアップのお知らせが来ないぞ? ステータスを確認すると……。 「えっ……上がってるのかよ」 レベルが3になっていた。 「あの時の声が教えてくれるん…
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