20 商売をする。
評価、登録、いいね、感想をして頂きありがとうございます!
モチベが上がり続けていますっ!
頑張ります!
今回の食料はタダであげる事にした。
次回からはちゃんと支払ってもらいます。
後の事は皆さんにお任せして俺はそろそろ旅に出ようと思い、皆さんに挨拶をして部屋を出た。
「あの進藤さん」
すると後を追って山波さんが出てきた。
「はい?」
「もし可能でしたら赤霧駐屯地へ配達の依頼ってできますか?」
「何を配達するんです?」
「手紙をお願いしたいのですが」
まあ、それくらいなら良いか。
了承すると、準備をするので少し待つ事になった。
廊下を歩いていると人が慌ただしく動き始める。
「食料が届きましたー! 順番に取りに来てくださーい」
今後どうなるのかねぇ。
食料を貰って喜んでいる子供や大人を見ながらそんな思いが頭を過った。
少し経って手紙ができたようで、受け取ると挨拶をして俺は大学を後にした。
山波さん達は直ぐダンジョンへ向かうらしい。
そろそろ寒くなる季節。
俺は北へ向かう事にした。
途中でダンジョンがあれば入って商品を補充。
と、その前に駐屯地へ行かないとな。
やっぱり外はゾンビしか居ないなぁ。
こうやって歩きながら街中を見ると、結構街中は綺麗だ。
以前のような騒がしくない街中を歩いていると、心が落ち着く。
「よっしゃあー! レベル上がったぜ!」
「マジで!? 俺まだだぞ!? お前ばっかずりぃーぞ!」
と、そんな賑やかな声が聞こえてきた。
うるせぇ……。
交差点の真ん中に立ち止まり右側の道路を見ると、若者2人がゾンビを倒してはしゃいでいた。
中学生くらいか?
まあ頑張って生きてくれ。
そのまま進んでいく途中、結構街中に生存者がちらほら居るのが見える。
自分の家に閉じ籠ってるのか。
食料とか大丈夫かねぇ?
「これは商売のチャンス?」
ん?
歩いていると、スーパーの中から女の子と男の子がコソコソ出てきた。
小学生高学年と低学年くらいかな?
ちなみに女の子が低学年の方。
スーパーのカゴに一杯物を入れて運んでいる。
すると男の子と俺の目が合った。
ジーっと見ながら歩いている俺を、男の子もジーっと立ち止まって見てくる。
「ちゃんとお金置いてきました!」
いや、俺何も言ってないじゃん。
罪悪感があったのね。
近付いて声を掛ける。
「家は近いの?」
2人はカゴを地面に置いて手をプラプラさせる。
「あのマンション」
そう言って100メートル程先にあるマンションを指した。
親は居ないのか聞いたら、家で寝込んでいると言う。
何があったのか聞くと、ゾンビに噛まれたけどゾンビになる事は無かったが、怪我が酷くて動けないらしい。
まあ、救急車も呼べないしね。
そもそも山波さんの話では病院がヤバいらしいし。
「よし、家まで案内してくれ」
「なっ、何で!?」
「親の怪我を見てやるよ」
「お兄さんは医者?」
おお! この年になってお兄さんって呼ばれるとは!!
「まあそんな感じかな? ほら、行くぞ」
そう言って2つのカゴを収納する。
『消えた!?』
もう一度地面に出してやると。
『出た!? 手品だ』
「はははっ! さあ行くぞ!」
子供のリアクションは素直で面白いな。
2人はスーパーで絆創膏や包帯、消毒液の他にインスタント麺等をカゴに入れていた。
お湯があるのか?
その後、黙々とマンションへと向かい、階段をひたすら上がっていく。
彼らの家は6階だった。
まあ、今の俺には余裕ですけどね。
「あっ、そこの廊下にゾンビが居るからこっそり行かないと」
男の子がそう言うのは、5階の廊下だ。
今後の為にも始末しておこう。
「ちょっと待ってろ」
廊下を進んでいくと、ゾンビがこちらに振り返りノロノロと手を伸ばして迫ってくる。
その姿を見てふと2ヶ月前の事を思い出した。
そんなに経っていないのに、なんか懐かしいな。
ゾンビが間合いに入った瞬間、抜刀して首を斬り落とし、鞘に納める。
残心が大事……チン。
2人のもとに戻ると口を開けてポカーンとしていた。
「ほら行くぞ」
2人はチラチラ俺の方を見ながら階段を上がっていく。
「ただいまー」
「ただいまー」
「お邪魔しまーす」
そう言って入っていくと『誰ですか!?』と奥から女性の声がした。
廊下を歩いていき、リビングの扉を開けると、足に血だらけの包帯を巻いた女性がソファに座っていた。
「えっ……と、自衛隊の人ですか?」
お母さんが俺の服装を見て困惑中。
知らない人が見ればそう見えるのか?
「いえ、俺は商人です」
「えっ、医者って言ってたじゃん!」
「医者? 自衛隊の商人? ん?」
おお、お母さんが混乱した。
俺はお母さんの横にしゃがみ、初級ヒールポーションを取り出す。
「これを飲むと傷は治ります……が、高いです。 どうしますか?」
「お、おいくらですか?」
「本来1本10万ですが、緊急時なので1万円になります」
どこの悪徳商法だよって感じだな。
怪し過ぎる。
しかし……。
「払います……はい」
「ではこれを、飲めばいいですからどうぞ……ちゃんと治る所を見てから行きます」
この状況で断るはずがない。
電話も電気も無い病院にも行けない、しかし元気な子供だけは居る。
母親ならどんな事でもして生き残ろうとするものだ。
まあ、断る奴も居るだろうけど。
なのでちゃんと飲んで治るまで動かない。
詐欺ならお金を貰って直ぐ帰るからな。
効くまでに時間が掛かりますとか言って帰るんだろうな。
と、考えている内にお母さんが瓶の先をパキッと折って、一気に飲み干していた。
「あれ? 痛くない?」
そう言うとソファから立ち上がり足踏みをして確かめる。
「どうですか? 治りましたでしょ?」
「自衛隊ではこんな凄い薬を使ってるんですね」
「いや、私は自衛隊の人間じゃないですから、一般の商人ですよ、今のはダンジョンで手に入れた物です」
「あっ、やっぱりダンジョンあるんですね……あの、もう1本ありますか?」
ん? そう言えば両親とも動けないと言っていたな。
旦那の分か。
「ありますよ、どうぞ」
「あの、これは無くなった足は…治りますか?」
足を食われたのか?
だとすると、初級では無理だな。
その薬では無理だと伝え、中級を取り出し伝える。
「欠損ならこちらの中級ヒールポーションですね……緊急時なので1本100万になりますが、どうしますか?」
タダであげても良いんだけどねぇ。
しかしそうすると、他の人達にも無償で渡さないといけなくなるしな。
ここはしっかり商人として支払ってもらおう。
「お金以外で払う事もできますよ?」
「えっ……それは……」
そう言って胸を隠すように身体を抱きしめる。
いや待て待て待て、子供の前でそんな事を言う訳ないだろ!
「えーっと、珍しい物や魔石、鉄類でも大丈夫です」
「あっ、それならコウ、あれ持ってきてくれる?」
すると男の子がリビングから出ていき、直ぐに箱を持って戻ってきた。
それをお母さんに渡す。
「これならどうですか?」
腕時計用の箱を受け取り蓋を開けて中を見るとそこには、職業の証が入っていた。
収納してリストで確認するとそれは……。
『剣士の証』
基本職キタ――!
後1話か2話で1章が終わる予定です。
読んで頂きありがとうございます。




