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18 皆で相談。

山波さん視点です。

Side:自衛隊1等陸尉・山波涼太。




はぁ~、とんでもない人物だな。

まさか1人であのダンジョンに入るとは凄い強者だ。

「で、決まりました?」

稲垣さんがそう聞いてくる。



現在進藤さんは、大学の設備を借りたいと言って部屋を出ている。

電気が無いから使えないと言ったら。

「魔道具があるので大丈夫です」と言っていた。

どう大丈夫なのか全く分からないが、堀の奴が「魔道具があるなら大丈夫ですね」と返事をしていた。

2人にしか分からない話なんだろうと、直ぐに俺はリストへと視線を戻した。




その後、俺達は誰がどの職業に就くか選んでいる所である。


まあ、俺達は基本戦闘職の方が良いだろうな。

堀が魔導士になりたいと言っているし、なら俺は武闘家になるか?

進藤さんのあの攻撃は凄かったからな。

あれが俺にもできるようになるなら、ダンジョンの探索も楽になるだろう。

なんせもう銃弾が底を突いてしまった。

駐屯地に行っても既に銃弾等は運ばれた後だったし。



今後魔物と戦うなら素手で戦えるようになるのは良い。

銃弾が尽きて戦えないなんて事も無くなる。

まあ、俺もちょっと魔術には興味があるけど、今はチーム全体のバランスを考えるのが最優先だな。


俺が武闘家。

堀が魔導士。

しかし戦闘職が少ないな。



「すみません、ちょっといいですか?」

考え込んでいると稲垣さんが声を発した。


皆の視線が稲垣さんに集まる。

「私達って……進藤さんを逮捕しないといけない立場ですよね? 武器商人は立派な犯罪ですし、他にも色々と……どうします?」

あぁ、確かにこんな状況じゃなければ即逮捕なんだけどな。


「稲垣君、今はこういう状況だ、人の弱みにつけ込んでの商売だが、そのおかげで我々は助かる」

「ですが、彼は店の物を盗んだ窃盗ですよ? それを買うというのは……」

なるほど彼女はそこを気にしているのか。



俺は帰ってくる間に進藤さんから聞いた話を彼女達にした。


彼が持っている物は全てダンジョンから得た物で、デパートから盗んだという物ではないという事を。

最初聞いた時は俺もビックリしたがな。

なんせ回収して部屋を出るとまた現れるとか、無限回収できるだろって話だ。

説明すると稲垣さんも風間さんも驚いている。


「本当にゲームみたいなダンジョンですね、それが本当なら窃盗罪にはならない? のかな?」

まあ、ダンジョンを何処が管理しているかなんて、今の状況だと決まってないからな。

落ち着いたら国が管理する事になるだろうけど……先の事は分からん。



「彼が自分で危険を冒して手に入れた物を商品にする、ってのは別におかしな事じゃないな」

とは風間さんの言葉だ。


「それより早く職業を選びましょうか」

そう言って皆で相談して決まったのがこちら。


堀は魔導士。

稲垣さんが騎士。

風間さんが鍛冶師。

そして俺が武闘家だ。



風間さんは元々鍛冶に興味があったらしいので鍛冶師にしたらしい。

「それにもう歳だからね、現場は若い者に任せるよ」と言った。

まだまだ現役の警官でしょうが。

ただ趣味に走ったな?


他の部下達から他の職業に興味がある者を後で選抜しないといけない……時間が掛かりそうだ。


我々の職業が決まって話をしていると……。

「決まりましたかぁー?」

視線を向けると扉を開けて頭を覗かせている進藤さんが居た。


自分達の職業は決まった事を伝えると、他に戦闘職が欲しい時は支払ってくださいねと言われた。

ソファに座った進藤さんが突然テーブルの上に紙束をドサッと置いた。

「何ですかこれ? ……ってリスト? もう貰いましたよ?」

「これは民間人の人達に配って下さい、商売の宣伝です、宣伝してくれたらお安くしときますよ?」

なるほど、民間人に物の売り買いをさせるためか。



「それと……山波さんちょっといいですか?」

進藤さんがソファを立って皆から少し離れた場所へと移動する。

人に聞かれたくない話か?


席を立ち近くへ行くと小声で話始める。

「山波さんにはこちらの証を差し上げます」

と言って手渡されたのは、ピンポン玉程の変な模様が入った球だった。

「何ですかこれは?」

「……暗殺者の証です」

「はっ? ……今何と?」

「ですから、暗殺者の証です」

やっぱり聞き間違いじゃなかったのか。



暗殺者の証って、俺が暗殺者になるのか?

って言うか何故今これを?

いや、これをリストに載せるのを躊躇うのは分かるが。

それをどうして俺に?


「山波さんは信用できる人だと思ったからです、勿論山波さんが信頼できる人に渡してもいいですから、それはもう山波さんの物ですから」

そう言ってニヤッと笑う進藤さん。



なるほど、これは確かに出し渋る物だ。

これを渡した相手が何かやれば自分の責任に感じてしまう。

かといって使わないのも無駄になる。

これは難しいな。

自分で使うか……。



進藤さんとソファに戻ると進藤さんが「それから……」と話し始めた。

まだ何かあるのか。


「3ヶ月後か半年後とかもって来年の夏までだと思います。証がこれだけ出るのも」

『っ!?』


「それはどうして?」

「これはたぶんですが、世界がこうなったための処置だと俺は思っています」

処置? どういう事だ?

「人間が生き残るための……」

「……なるほど、人類が生き残るためのボーナスタイムって訳ですね?」

堀の答えに進藤さんは頷いた。

「隊長、直ぐにでもダンジョンへ潜らないと、後が厳しくなる可能性があります」

はあ~、俺でも今の会話で分かるよ。



職業を得られなくなる人が出て来るって事だろ?

それは確かにヤバいな。

…………仕方がない。



「進藤さん、他の証を全部買わせてくれ……」

他の部下達も職業を与えてダンジョンへ潜らないと、国が無くなる可能性がある。

明日からはまた1日1話に戻ります。

12月は何処も忙しいんですかね?


今日はこれが最後です!

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「すみません、ちょっといいですか?」考え込んでいると稲垣さんが声を発した。皆の視線が稲垣さんに集まる。「私達って……進藤さんを逮捕しないといけない立場ですよね? 武器商人は立派な犯罪ですし、他にも色々…
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