16 報告。
評価、登録、いいね、感想をして頂きありがとうございました。
誤字脱字報告ありがとうございました。
俺は同志含め、皆に神と呼ばれる存在と話した事を説明した。
「……じゃあ、可愛い子とダンジョンで一緒に暮らすとかは出来ないって事っすか?」
どんだけラノベ好きなんだ、同志よ。
俺は首を横に振る。
「このダンジョンは残ったままになる?」
アニルの問に俺は首を横に振って答える。
「出たら解除するから、そしたら崩壊すると思う……たぶん」
俺がそう言うとアニルたちは考え込んでいた。
とりあえずダンジョンを出る事にした俺たちは、俺の迷宮支配によって即出口へと転移する事ができ、無事ダンジョンを出る事ができた。
この転移は賢師スキルの転移とは違い、迷宮支配に含まれるものなので、次元も関係なく魔力もそんなに必要としない。
ただし、ダンジョンの中だけの事だけどね。
あの庭園ぽい場所に来た俺たちは、入り口を振り返り中を見る。
そこにはあの騎士たちがまた並んでいた。
「どうしたんですか?」
ジッと騎士たちを見ている俺に、美香が聞いてきた。
「ダンジョンは理外の存在って事はさ、ダンジョンから生まれた魔物も理外って事なのかなぁって思ってさ……不思議な存在だ」
すると美香が少し笑って答える。
「フフッ、そりゃ理外の存在ですから不思議ですよ」
それもそうだな。
ダンジョンが生み出した存在……不思議だ。
城を出て地下の階段前まで戻ってくると振り向き、皆で城を眺める。
「こうやって見ると本当に綺麗ですね」
「これは景色として残してもいいんじゃないっすか?」
「いや、コアが無くなったダンジョンは消える運命だ。そんな物を俺が維持してると世界の理に何かされそうで嫌だね」
そう言うと皆苦笑いを浮かべる。
城を眺めながら俺は、迷宮支配を解除した。
その瞬間、地響きが起こり地下空間の空が崩れ始め、城に落下して破壊していく。
「ほら、走るぞ!」
そう言って俺たちは階段を駆け上り、古代都市ダンジョンを後にする。
階段を上っている途中で後ろを見ると丁度、城の中心に瓦礫が落下し、城が完全に崩壊する瞬間を見る事ができ、心のどこかでなぜかホッと安心してる自分がいた。
地上に出るとそのままゲートまで走り、ゲートまで来ると皆立ち止まり振り返ると、都市の中心に建っている大きな建物の下層が崩れていくのが見える。
暫くすると崩壊は止まり、建物全体からすると下層部分が少し崩れた程度なのだが、大きな穴が空いていた。
「規模が桁違いだなぁ」
「あれで建物が崩れないって、すごいですね」
「これはこれで、良い景色っすね」
確かに。
下層部分の一部が壊れた建物は、それでも立派に建っているのが良い感じだ。
「レインズが出てこないな?」
アニルが周囲をキョロキョロ見ながらそんな事を言う。
「レインズはダンジョンコアによって生み出されていたんだ、コアが無くなって支配を解除した今、レインズは二度と出てこないよ」
そう言うとアニルはなるほどと言い納得していたが、シュアが横から言う。
「レインズは兵器庫にあるのが動いていたんじゃないの?」
「あれは調査した人の勘違いっていうか、シュリバスがそう見えるようにしていたんだろ」
そう言うとシュアも納得していた。
古代都市に魔物は居ないと言われていたが、その実、レインズが魔物だったって事だな。
俺たちは何も居なくなった古代都市を堂々と歩き、侵入した出入り口から都市を出た。
正面玄関にゲートと同じように出入り口を作ろうかと思ったが、今は魔力が完全回復していないので諦めたのだ。
古代都市ダンジョンの攻略は4日? ちゃんと数えてないからハッキリとは覚えてないが、結構早く攻略できたなぁ。
あの騎士が飛ばしてくれたお陰でもあるね。
そんな事を思いながら俺たちはグエンルに到着し、その足でコルトバさんに報告しに向かった。
ちなみに今は、昼をちょっと過ぎたくらいだ。
「……なるほど、あのシュリバスがコアになっていたのか」
「ええ、ダンジョンコアは破壊したのでもう安全ですよ」
俺たちは前回来た、コルトバさんの執務室でソファに座り、報告を済ませた所である。
「本当にありがとう……報酬は、金と技術を知りたいのと後は、商売の許可だったかな?」
「はい……大丈夫ですか?」
するとコルトバさんは頷いて答える。
「勿論だとも……だが、技術というのはどういった?」
俺はこの街で使われている、色んな技術について知りたい事を伝える。
勿論古代都市の技術もな。
「分かりました、全て許可します。古代都市の方は少し待って頂きたい、調査をして危険な物が無いかを確認してからになりますが良いかな?」
そりゃ当然だな。
「ええ、それで大丈夫です」
「既に調査が完了している場所はいつでも好きな時に見て頂いて結構ですよ」
「それは有難い、では数日滞在して、街と古代都市を見て回ろうと思います」
そうして報告会は済み、挨拶をした後俺たちは、前回行った食堂へと向かった。
なんとか無事? 攻略が終わった事を祝して乾杯し、少し遅めの昼飯を食っていると、見知った顔の男が声を掛けてくる。
「よっ! 無事だったんだなって、あんたらなら大丈夫か」
そう言って笑うのはタックだ。
隣の席から椅子を持ってきて同じテーブルに着き、注文すると話し始める。
「ギルドで聞いたぜ?」
「何をだ?」
アニルが聞く。
「お前ら、古代都市ダンジョンを攻略したんだってな? マジでスゲーよ!」
そう話していると酒がきたので、タックがジョッキを掲げて言う。
「おいお前ら! ここに居るアニルたちが古代都市ダンジョンを攻略したんだ! こんなめでたい事は無いぞ! 長い戦いを終わらせた英雄に……乾杯!!」
『乾杯っ!!』
いきなり店の客を巻き込み乾杯をするとは、こいつは盛り上げるのが上手いな。
その後は色んな人に挨拶されたり褒められたりと、今までの人生では無かった程に持ち上げられ、逆に怖くなったのは忘れないだろう。
ちょっと恥ずかしい思いをしながらも宴会は進んで、日が沈んでも途中から参加する人で遅くまで盛り上がっていた。
今回もアニルの家に止まらせてもらい、ゆっくり寝て翌日からは街を見て回り、技術や地球には無い物を取引していくつもりだ。
どんな物があるのか楽しみだねぇ。
そう言えば、地球に居る皆とは念話が繋がらないので状況は分からないが、偶に転移で戻って様子を見るのも良いかもしれないな。
そんな事を考えながら俺は、久しぶりのベッドで眠りに就いた。
読んで頂きありがとうございました。




