11 王様?
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全員が合流した所で、アニルたちと堀さんが手に入れたスキルを鑑定してみると……。
【擬態】
【透明化】
【繁殖】
【分解】
【合成】
【暴食】
となっていた。
うん、どれも要らないかな。
内容を説明すると同志は、さっそく透明化を取得していた。
覗くつもりだな?
何をとは言わないが。
シュアは合成と分解を取得し、アニルは何も取得しなかった。
なので、俺が手に入れたスキルから1つ選ばせると、分身を取得する。
前衛のアニルなら、数を増やして攻めるには丁度良いスキルだろうな。
ガムロにも選ばせると硬化を選んでいた。
なぜかガムロに似合っているスキルだなぁと思ったけど、言わなかったぞ。
俺に透明化は要らないのか?
俺には根源魔導があるので必要ない。
それに、透明化のスキルを商品にすれば確実に、悪い事に使うだろ?
そんな物は売らないよ。
全員集まったのでさっさと先へ進む事にする。
1つだけ誰も通っていない通路を進んでいくと、3つ魔物が居る部屋に当たるが、全て瞬殺し先へと進んだ。
ちなみにスキルは既に手に入れている物なので無視する。
そうして4つ目の部屋が見てきたと思ったらそこには、あの上で戦った大量の騎士が並んだ部屋だった。
部屋は体育館程の部屋と同じような作りだが、1つだけ違うのは部屋の奥に大きな両開きの白い扉がある事だ。
あれはボス部屋じゃね?
そんな事が頭を過ったが、今は目の前の騎士に集中しないとな。
まだ部屋には入っていないので騎士は動いていない。
数は上の時よりは少ないが、それでもびっしり部屋の中に居る所に入るのはな……。
中に入るともみくちゃにされるイメージしか湧いてこない。
ふむ……ここは新しいスキルを試してみるか。
皆で入ってもまた上の時みたいに乱戦になるだろうから、今回は俺一人で入る事にする。
「どうするんです?」
美香の問に俺はニッと笑うだけで答えない。
入り口の前で魔力を練り分身を10体作ると俺と分身たちは、縮地で部屋の中に散らばる。
次の瞬間にはあっちこっちで騎士たちが塵のように崩壊していき、一気にその数を減らしていく。
俺も右手に魔力を集め、強靭になった魔力を手から剣のように5メートル程伸ばし、その場で回転斬りして騎士たちを切り裂く……訳ではなく、剣に触れた騎士たちは崩壊していった。
この魔力を伸ばして作った剣は『根源崩壊』の魔導を込めてあるので、触れた物は全て崩壊するのだ。
強靭があるからこそできる事だな。
取得してよかった強靭!
ものの数分で騎士たちは全て塵と化した。
「ふぅ~……滅茶苦茶魔力を消費するなぁ」
これは多用できないね。
源魔人になって増えた魔力でさえ、半分以上消費したのだ。
他の人にはできないだろう。
部屋の中には数百という魔石が転がっているので、皆で手分けして収納する。
「分身はいいな、俺も多対一の時はああいう使い方をしてみるか」
とアニルが言うので、魔力がすぐ枯渇するぞと教えてあげる。
アニルなら2体くらい分身を作れば、大抵の敵は倒せるだろう。
その後、魔力が半分以上無くなったので、大きな扉の前で一旦休憩する事にした。
「このダンジョンは何階層まであるんですかね?」
と堀さんが言うので、俺はたぶんそんなに深くは無いだろうと予測を言う。
「どうしてっすか?」
「今までのダンジョンで、階層が深いダンジョンってさ、1階層のエリアがもっと狭かったんだよね」
「あぁ……なるほど、じゃあこのダンジョンは?」
「かなり浅いと思う」
騎士たちが居た上の階層でさえも滅茶苦茶広かった。
そして今いるこの階層……がどの階層か分からないけどかなり広い。
深さではなく、横に広いダンジョンなんだろう。
だがここは異世界、地球とはまた違う法則があるかもしれないけどな。
1時間程休憩して魔力が戻ったので扉の先へ進む事にした。
ダンジョンの中は魔力の回復が早くて助かる。
扉に触れるとゴゴゴゴゴゴ……と音を鳴らし開いていくその先には、100メートル以上はあるだろう部屋が広がり、等間隔に綺麗な柱が並んでいる。
本当に何もかもがデカいダンジョンだな。
こんな広い部屋を作って何するんだ?
そして床にはこの扉から続いている、赤色の絨毯が敷かれているように見えるが、他の素材と同じ床で色が赤いってだけのようだ。
……謁見の間。
何となくそんな感じがした。
赤い床の上を進んでいくと直径10メートル程はある柱にぶつかり、それを迂回して柱の裏に回ると前方に、祭壇? のような物が見える。
辺りに魔物は居ないみたいだが警戒しながら祭壇っぽい物に近付いていくと、徐々に見えてくるその正体は……。
「玉座?」
「みたいですね」
「王様っすかね?」
祭壇っぽい物はまさに玉座といった具合に豪華な装飾が施され、床から5メートル程高い位置に、これまた豪華である椅子が置かれていた。
そして、その椅子に座る存在。
「無断で他人の城に入るとは、どこの賊だ?」
そう言ったのは椅子に座り、右腕の肘を掛け拳で頬杖している人物?
腰辺りまでありそうな長い白髪で、前髪まで長いので顔に髪が被さり隙間から鋭い瞳がこちらを覗いている。
見た目は人間に見え、顔には皺があってそれなりに歳がいってそうだが、こいつから感じる雰囲気は老人のそれではない。
目も力強さを宿している事から、見た目の年齢ではなさそうだ。
魔力を感じてもこいつが人間なのか魔物なのかすら分からない。
強いて言えば……。
『ダンジョンの魔力に似ている』
こいつは階層ボスなのか?
人間の見た目をした階層ボスなんて初めてだな。
しかし先ほどの言動からするとここは……こいつの城って事になるが。
まさか……ダンジョン、マスター?
読んで頂きありがとうございました。




