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14 山波涼太2

誤字脱字報告、本当に助かります!

ありがとうございますっ!

Side:自衛隊1等陸尉・山波涼太。




グラグラグラ……と揺れで目が覚めた。

「また地震か」

昨日の地震で世界が変わった。

「今回は何も起きないよな?」

ふと窓の外を見ると朝日が昇って少し東の空が明るくなっているが、部屋の中はまだ薄暗い。


ん? おかしいな。

いつでも動けるように、明かりは点けたまま寝たはずだが。

俺は司令部の隅で椅子を並べて寝ていた。



そこで部屋に誰かが入ってきた。

「すみません隊長!」

直ぐに起き上がり答える。

「どうした?」

報告によるとどうやら停電したらしい。

しかし、その後の調べでただの停電ではないと分かった。





「燃料は入ってるんですか?」

「はい、災害に備えて常にチェックはしてありますので、燃料は満タンのはずです」

と、大学の職員が答える。



俺達は今、自家発電機の前に居るのだがうんともすんとも言わない。

壊れているのかとも思ったが、職員が言うには先週のチェックの時には異常は無かったと言っている。

「今朝の地震のせいじゃ……」

掘がそんな事を言う。

馬鹿野郎が、地震があったからって何故発電機が点かない事になるんだよ。



それにもし同じ事が世界中で起きてるなら……っ!?

「マズいぞ! もしこれが世界中で起きてるなら、病院はどうなる!?」

「あっ! 直ぐに人を向かわせますか?」

「あぁ、様子を見てきてくれるか?」

もし病院で電気が止まれば失われる命が多い。

それだけは何としても避けなければ。



掘が走っていくのを見送り、機械に詳しい部下に発電機を見てもらうように指示をして司令部へと戻った。



部下の報告では通信もできなくなり本部と連絡さえ取れなくなった。

「どうなってんだぁ~」

椅子に座りながら天井を見上げ呟く。

自衛隊で想定している災害にこんなのは無かったぞ~。

まあ、こんな事を想定してたら頭がおかしいと思われるだろうけどな。

するとまた部下が報告をしてくる。



どうやら近くの警察署から避難してきた人達がやって来たようで、数十人の民間人と警察官が大学へと新たに加わった。



そして直ぐ、警察官の中の皆を纏めていた年配の男性の刑事と、補佐をしている若い女性の刑事の2人と俺は会議室で話をしていた。



「なるほど、つまり国は民間人を殺す許可を出したと?」

そう言うのは、40代後半は行ってるであろう男性刑事の風間さん、警部らしい。

白髪交じりの短髪に眉間に深い皺がある、厳つい人だ。


「これは被害を広めないための処置ですので」

「まあ、あれはもう人とは思えないですからね」

そう言うのは若い女性刑事、巡査部長の稲垣さんと言う。

肩まである黒髪に、意志の強そうな力強い大きな目をした可愛らしい人だ。



彼らも最初は新種の病気かと思ったようだが、直ぐに殺す事を決断したようだ。

最近はゾンビのゲームや映画等で慣れている部分もあるんだろうが、やはり現実は違うようで、躊躇ってゾンビになった警官も多いとの事。

既に街はパニックで、暴動と言うか火事場泥棒のような事をしている若者や外国人も一部にいるらしい。

これは国を立て直すのに時間が掛かるぞ。



我々も今日生きるのに必死だ。

この状態で民間人を助ける事ができるのか?

食料はどうする?

政府の中枢は機能しているのか? と色々考える事が多すぎる。

「風間さん」

「はい?」

俺は真剣な表情で話始める。



「貴方に此処を纏めてもらいたいのです」

「はい? あなた方自衛隊が纏める方が良いのでは?」

「まあ……それはあると思いますが、私より人生経験が豊富な風間さんにお願いしたい、我々は実働部隊として動きます」

暫く考えた風間さんが答える。

「実働部隊とは『外へ行く』という事ですかな?」

「はい、その通りです……現在この大学には数百人の民間人が居ますが、このままでは食料が持ちません」

「それは確かに」

「ですので我々が外で食料を集めてきます、なので中の事をお願い出来る人物が必要なんです」

「それが私だと……はぁ~、分かりました、他の警察官と自衛隊とも連携して、乗り切りましょう」

「ありがとうございます」

そう言ってお互いに握手をした。



そうして話が纏まり、俺達は少数の部隊に分けて街へと食料確保の為に動き出した。

駐屯地へと1部隊送り状況を確認させる。

準備をして俺達も食料確保と救助者の探索へと出ようとしている所に、堀達が帰ってきた。

直ぐに報告を聞く。



「何だと……くそっ!」

掘達が病院に到着した時には既にゾンビが溢れていたようで、一応中を確認したらしいが生存者は居ないとの事。

停電で既に亡くなった人達も居るんだろう。

それよりも、停電により混乱した隙にゾンビが入り込んだ模様。

掘達が中の状況を確認して分かった事だ。

今じゃ病院はゾンビの巣窟になっていると掘が言っていた。



日本はもう終わりなのかもしれないな。

そんな言葉が頭をよぎった。

頭を振ってその考えを追い出す。

俺が弱気になってどうする。

「とにかく、俺達は食料確保と救助者の探索に出動だ」

通信機は使えないので、太陽が沈む前に戻るように徹底させる。



今朝の地震以来、スマホも使えないのだ。

民間人に聞いても全員のスマホが使えなくなっていた。

更には腕時計までもが止まっていたのだ。

やはりただの地震ではなかったのか。



電気が使えなくなるだけで現代では生きるのが難しくなる。

それを嫌と言う程理解した。

何の映画か忘れたが、太陽フレアが引き起こした世界中での停電ってのがあったな。

今回もそれなら時間が経てば復旧するんだが、如何せん化け物ってのがなぁ。

もしや他国の生物兵器か?

いや、昨日世界中で何かが起こっていると連絡が駐屯地にあった。

なら他国の線は無いか……分からん。



それにステータス。

こんな事が現代の技術で可能なのか?

そこで俺はふと空を見上げる。

もしかして宇宙人の侵略?

いやいや、俺も大分堀に毒されてきたのかな。

何にしてもとりあえず生き残る事が先決だ。

必ず食料は確保してやる。



そんな事を考えながら街中へと進んでいった。

あと1話、山波さん視点が続きます。

今日中にアップできると思いますっ!

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