3 制作者。
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転移して美香を助けた後は縮地で動き回り、レインズを次々と倒していった。
合計22体のレインズを倒し終わるとアニルたちは、疲労困憊の様子で地面に座り込み、息も絶え絶えだ。
俺は倒したレインズたちを全て収納し、一旦ベースキャンプへ戻る事にした。
近くの建物内で少し休憩した後出発する。
「レインズを持って帰ってどうするんだ?」
道中アニルが小声でそう聞いてきた。
「色々調べようと思ってな……弱点は胸にある動力源の破壊だけど、もっと簡単に停止させられる方法があるかもしれないだろ?」
そう言うと「なるほど」と納得する。
すると前を歩いているシュアがこちらに振り向きながら……。
「レインズが倒されてるところ初めて見たわ、流石洋介ね」
「あぁ、俺も初めて見た」
ガムロまで言う。
照れるだろ!
「たぶん、歴史上初めて倒した人間になるんじゃないか? 洋介が」
とアニルまで言う。
ふむ、初めて倒した人物として異世界の歴史に名を遺す事になるのかな?
……いいね。
少し胸を張る。
「っていうか進藤さん、あの転移を使えるなんて羨ましいっす! 俺も使えるようになりたいですよ」
と堀さんがテンション高めに小声で言い出した。
「そうそう、私も使えるようになれるんですかね?」
「そりゃ美香も賢者から成長すれば習得できると思うけど? でもな……」
俺はそう言って転移について説明する。
説明が終わると全員首を傾げていた。
「な? 意味不明だろ? 普段使いするにはちょっとややこしいんだよなぁ」
「でも、慣れれば便利ではありますよね?」
「まあ……そりゃ離れた場所に一瞬で行けるからね」
「進藤さんの身体に触れていれば一緒に転移できるっすよね? 帰りは楽そうっすねぇ」
あぁ、ラノベ知識ならそうなるが、この転移は違うんだよなぁ。
一応誰かと一緒に転移する事は可能だ。
だがしかーし!
現実はそんなに甘くはない。
俺の身体に触れている人は、術者、この場合俺だな。
俺とは逆に、遠ければ遠い程魔力消費が多くなる。
そして近ければ近い程魔力消費は少ない。
そう、一緒に転移する人もしっかり魔力を消費するのだが、それが俺とは逆になるのだ。
つまり、ここから地球に転移する場合、触れている人の魔力消費は大体……1万くらいだ。
「……って、感じかな?」
「マジっすか……でも、魔力が満タンならギリギリいけるっす!」
ほう、もう1万超えたのか。
この転移の仕組みのせいで、閉じ込められた人を転移で救出!なんて事は簡単には出来ないのだ。
まあ、裏技的なものはあるけどね。
そんな話をしながら街の中を進みベースキャンプに到着すると、入り口の前でユキがお座りしていた。
「ここで待ってたのか」
『あのおじさんがここで待ってた方がいいぞ、って言うから待ってた!』
おじさん?……あぁ、タックの事か。
ユキも一緒にベースキャンプへと入り、皆で一息つく。
タックたちは調査に出かけたのか居ないみたいだ。
ちなみに、ユキの首輪にはギルドリングと同じ付与がしてあるので、言葉が分かる。
休憩してから俺は、奥の武器が置いてある部屋でレインズの一体をテーブルの上に取り出した。
「どうやって調べるんだ?」
とアニルが言う。
俺はニッと笑って、鑑定スコープを取り出した。
それでレインズを覗くと……。
『【種族】兵器レインズ
【特徴】特殊合金で作られた自律型兵器。
【詳細】全身に武器が仕込まれている兵器で、遠距離近距離両方の戦闘をこなす兵器として作られた物。製作者シュリバスによって管理され、ただ生物を殺戮する兵器と化している状態。』
ほうほう、なるほどなるほど……やっぱり誰かに指示されていたのか。
「って、製作者が何でまだ生きてるんだよ」
「製作者?」
俺は鑑定スコープで見た内容を皆に説明した。
「シュリバスだと!?」
「知ってるのか?」
アニルたちが凄い驚いている。
「当然、グエンルに住む者は全員、歴史を教えてもらう時に必ず出てくる名前だ……まだ生きてる? 1000年以上?」
「まさかその名が出てくるとはな」
「洋介みたいに不老って事かな?」
じゃあ、シュリバスは賢者って事になるぞ?
他の職業の可能性もあるが。
ふむ……。
「とりあえず原因は分かった、後はあのダンジョンに行ってコアを破壊するだけだな」
「レインズは止めないのか?」
「いや、ダンジョンに行くついでに止めるつもりだけど?」
そう答えると、全員が呆れた顔をした。
なぜ!?
「レインズをついでにって……流石洋介だな」
「流石だ」
「男前だねぇ」
「あれをついでにって……私も言えるようになりたいです」
「自分もっす……」
と、それぞれが言う。
何だよ、倒し方は分かってるんだから簡単だろ?
動力源を……。
「あっ、そう言えばアニル」
「なんだ?」
「ゲートの動力がきてないとかレインズが来る前に言ってたよな?」
アニルは少し考えて答える。
「……あぁ、確か正面から行けないかって聞かれて、動力がきてないからゲートは開かないって言ったな、それが?」
俺はニヤっと笑い答えた。
「動力が無いゲートなら、自分で開くゲートを作れば良いんだよ」
そう、俺にはクラフトがあるのだ!
レインズを警戒して静かに行動していたから頭に無かったが、レインズの倒し方が分かった事で余裕が出たのか、ふと思った。
正面から玄関作って入れば良いんじゃね?
両手をパンッと合わせてバシッと玄関を作る、某錬金術師のようにクラフトでやれば簡単に入れる事に気付いたのだ。
説明すると皆があっ、なるほどという顔で納得していた。
今日はもうすぐ昼になる時間だ。
なので明日の早朝ベースキャンプを出発し、ダンジョンへ向かう事を決めた。
クラフトがあって良かったぁ~。
この日は早めに寝ると翌日。
俺たちは昨日通った道を進み、ダンジョンがある都市の中心へと向かった。
待ってろよダンジョン、必ずコアを破壊してやる。
読んで頂きありがとうございました。




