1 異世界のちょっとした歴史。
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6章のスタートです。
ベースキャンプで俺たちは、少し休憩をする事になったので、気になる事を聞いてみる。
「銃火器?って、バンバン撃つやつか?」
俺が頷くと、タックたちが説明してくれた。
アニルたちが住んでいる街ができ始めた頃は、そういう銃火器類もあったらしいのだが、すぐ無くなったとの事。
それはなぜかというと。
殆どの魔物に効かず、レインズにはまったく効かないからだ。
しかも簡単に使える事から犯罪が増えたので、全ての街で銃火器類は廃止されたらしい。
更に言えば、この古代都市で銃を使えばレインズが音を感知し、即座に群がってくるので使用禁止にまでなっている。
まあ、そりゃそうだろうなと思った。
それ以来、どの街でも銃火器類は姿を消した……のだが、そこで新たに気になる事が増えた。
「魔物はアニルたちが住んでる街が作られる前は、居なかったのか?」
じゃないと銃火器類がなぜ存在していた?ってなるからな。
すると案の定、魔物はアニルたちの街が作られる前まで居なかったと習ったらしい。
ではいつ頃現れたのか聞くと、はっきりとは分かっていないが、この古代都市が滅ぶと同時期に魔物は現れたんじゃないかと謂われているとの事。
それか、魔物が現れた事で古代都市は滅んだのでは?と、唱える者も居るらしい。
なるほどねぇ……。
俺はそこで世界の図書館にアクセスして情報を引き出してみる。
ほう……魔物が現れた事で古代都市は滅んだのか。
世界の図書館からの情報では、ダンジョンは古代都市が滅ぶ以前よりあったらしいのだが、この世界は街が幾つかあるだけで、国という括りが無い。
街が無い地域のダンジョンが放置され、魔物が溢れ魔力溜まりがあっちこっちに増えた事で、強力な魔物が生まれた事により滅んだ……って事だな。
アニルが言っていた、兵器によって出来たグエンルの穴は、大きな魔物を殺す時に出来た穴だ。
ふむ、いろいろ繋がってスッキリした。
あっ、銃は元々人間同士の争いで使われてたけど、魔物が溢れた事によりそれどころじゃなくなったって感じだ。
世界に歴史ありだなぁ。
スッキリしたところで、目的であるダンジョンはどこにあるのか詳しく聞いてみた。
「都市の中心にある建物の地下だ」
マジかぁ~……絶対レインズと戦う事になるよねそれって。
では当初の目的の1つでもある、レインズを一体捕獲しようと席を立つ。
「おいおい、好き勝手動かれたらこっちにも被害が出るんだが?」
「じゃあ、先に帰って下さい、俺たちはレインズを捕獲して調べる必要があるので」
「レインズを捕獲って……自殺志願者かお前?」
と、タックに呆れられた。
そこで俺はコルトバさんの依頼内容を詳しく説明し、結局レインズと戦う事になるので、弱点を調べないといけない事を話す。
「ダンジョンコアの破壊……なら俺たちも手伝う」
「いえ、それは必要ありません」
即座にお断りする。
「この街に慣れてる俺たちなら役に立つぞ?」
「はっきり言って……邪魔になるからです」
そう言うとタックたちが険しい表情になる。
するとアニルが割って入ってきた。
「タック……洋介の言う通りだ」
「なんだと?」
そこでアニルはタックたちにステータスの事を説明する。
「何だこれ……レベル42?」
「俺は37だ」
「オレ43」
…………。
と、自分のステータスに驚いているところ、アニルが言う。
「ちなみに俺のレベルは87だ、ガムロは91、シュアが85だ」
「倍近くの差……いつのまにそんなに強くなったんだ?」
するとアニルは、異世界に行ってからの話をした。
地球からこちらに来るために攻略したダンジョンの話までし、自分たちも職業に就いている事を言う。
タックたちは驚いていたが徐々に受け入れたのか、アニルの説明が終わる頃には納得した顔をしていた。
「分かった、確かに俺たちじゃ足手纏いになるな……チッ、アニルに大分離されたなぁ」
「お前もダンジョンに潜って大量の魔物と戦ってみろ……嫌でもレベルは上がる」
と、アニルは遠い目をして言う。
何かあったか?
「ちなみに洋介は100を超えてるぞ?」
「マジで!?……装置の故障じゃなかったのか」
……あぁ、試験の。
タックたちが納得したので、俺たちは外に出る準備を始める。
まず、バックパックと武器をアイテムボックスに収納して、動きやすい格好になると、それぞれに巾着袋を渡していく。
「堀さんは地球に戻るまで『貸して』おきますね」
「ありがとうございますっ!」
アニルたちもそれに荷物を収納し、みんな腰に装着。
勿論タックたちには渡してないぞ?
俺も刀を収納してスッキリ。
狭い所を通る時に、刀がどこかに当たって音を出してしまうからな。
映画でよくあるシーンだ。
そうならないように気を付けないと。
準備が終わったので、俺たちはベースキャンプを出た。
周囲に反応は無い。
そう言えばレインズって魔力感知に引っかかるのかな?
まあ、魔力バッテリーを持ってるなら感知できるか。
生物の気配がまったく無い街の中を、静かに歩いていく。
自然に侵食された街って、なんでこんなに綺麗に見えるんだろうか?
スマホで写真を撮りたいが、音が出るので衝動を押し殺しながら進んでいくと、遠くに魔力を感知。
空を飛んでる?
鳥型のレインズか。
そう言えばこの古代都市の中に生物はおろか、魔物すら一匹も存在していない。
居るのはレインズのみ。
ダンジョンから溢れた魔物はレインズによって始末されているそうだ。
レインズがそのままダンジョンコアを破壊してくれれば、早いんだけどなぁ。
命令する人が居ないから無理か。
っていうか、指示する人が居ないのになぜレインズは動いている?
魔力溜まりの影響で起動してるのは分かるが、命令を下さないと動かないはずだよな?
……誰かが命令を下してる?
いや、それは無いか。
フラグじゃない事を祈ろう。
鳥型は捕獲しにくいので無視して、そのまま先へと進んでいった。
読んで頂きありがとうございました。
元々5章で続けようかと思っていましたが、長くなりそうなので章を分けました。




