17 商談からの……。
評価、登録、いいね、感想をして頂きありがとうございました。
誤字脱字報告ありがとうございました。
ギルド長の部屋は縦長で、奥の全面ガラス張りの際に大きな執務机が置かれているのだが、そこまでの距離が20メートルはあるな。
部屋の幅は10メートル程か? 中央の右側にソファが4席と真ん中にテーブルが置かれ、左右の壁には本棚? 資料棚が並び、中にはファイルらしき物がビッシリと入っている。
ここは何階だろうか?
ギルド長らしき人物の後ろの景色が良すぎて見入ってしまう。
上まで続いている建物や、この階層より低い建物もあるのだが、そこから通路が延びていたりと、地球には無い景色に圧倒されていた。
「アニル、やっと帰ってきよったか、もう少し待ってくれ、そこのソファに座って寛いでいてくれ、すぐ行く」
「了解です……ほら、座ろうぜ」
アニルに言われるままソファへ行き手前のソファに腰を下ろすと、ふわっと身体が沈む。
良いソファだな。
俺の右側に美香が座り、左側に堀さんが座った。
左側のソファにアニルたちが座ると、ギルド長が席を立ちこちらへ歩いてくる。
ギルド長の見た目は、真っ白な髪をオールバックにし、鋭い目つきに歴戦というような傷が、顔や首元にもちらほら見える。
目の彫りの深さがあって鼻がシュッと高く白人っぽい、瞳の色は緑っぽいな。
体格も歴戦の戦士って感じでがっしりしている。
服装は白シャツに黒のズボン、靴はごつい黒のブーツを履いているのが見えた。
胸元のボタンは開けて、銀のネックレスをしている。
ふむ……イケオジって感じだな。
顔に皺は少ないがそれなりに歳はいってるようにも思える。
俺の向かいのソファに座り、手に持っていた紙の束をテーブルに置くと話し始めた。
「アニルが戻ったと聞いて安心したぞ……と、失礼、初めまして、私はこの街の長とギルド長を兼任している、コルトバだ、よろしく」
「どうもご丁寧に、私は商人をしている進藤と申します。でこちらが……」
「金森です」
「堀です」
コルトバは頷くと話し始めた。
「挨拶も終わった事だし、アニル? そろそろ報告をしてくれないか?」
「はい、実は……」
そう言ってアニルが話した内容は、グエンルダンジョンの最下層から俺たちが居る地球へ行った事、地球がどんな所かやステータスの事など全てを話す。
「なるほど、異世界か……それよりそのステータスというのが気になる、私も見れるのだろうか?」
するとアニルが俺に視線を向けてくる。
いや、アニルが見方の説明しろよ。
仕方なく俺が話す。
「たぶん見れると思いますよ? 見方は……」
アニルたちにした説明をそのまま説明すると、コルトバは目を見開いた。
「……凄いなこれは、これが自分の強さを表しているのか……職業? は無いみたいだな、どうすれば就く事ができるようになるのかな?」
そこでまたアニルは俺に視線を向けてくるので説明する。
「なるほど、その職業の証を使うわけか、で……君はその証を売るためにやってきたと?」
おっ、話が早くて助かるね。
「ええ、実は……」
そうして俺は、商談を始めた。
職業の証から始まり、食料、生活用品など俺が取り扱っている商品を全て説明し、この街との取引契約を持ちかけた。
対価は勿論、金……と、地球には無い技術を提案する。
「うむ……それは魅力的な話だが、一つ確認しておきたい」
「何でしょう?」
コルトバは少し間を空けて真剣な表情をして聞いてきた。
「率直に聞こう……そちらの世界は、こちらの世界に攻めてくるかね?」
なるほど、それは長として確認しなければならない事だな。
俺は首を横に振って答える。
「いえ、それはあり得ませんね」
「どうして言い切れる? そちらの長が攻めてこないとも言い切れないだろ?」
俺はまた首を横に振って答える。
「こちら側、地球と言いますね……他の世界を攻める余裕が今の地球にはありません、もし余裕ができても……私がさせませんよ」
そう言うとコルトバの目つきが鋭くなる。
「ほう……君はそれなりに上の立場なのかね?」
俺はニコっと笑い答える。
「いえ、自分はただの一般人ですよ、でも……止める事は簡単ですね」
「それはどういう……?」
「もし私の忠告を無視して攻めるような事があれば……」
「あれば?」
少し間を空けて答える。
「ここと繋がる道を破壊しますよ」
そう言うとコルトバはポカーンとして固まった。
破壊と言っても、ダンジョンコアを破壊するだけなんだけどね。
するとコルトバは、目を瞑り少しの間考えた後、目を開いて俺を見ると苦笑いを浮かべながら答える。
「それは……ちょっともったいないと思うんだが?」
「はは、もしもの時はですよ? おそらくそうはならないと思います」
そう答えると、コルトバは真剣な表情になり口を開いた。
「つまり君は、いや、あなたは……ダンジョンコアを破壊できるという事ですね?」
ん?
急に丁寧になったぞ?
「ええ、既に一度破壊してますから……」
風呂場で!
そう答えるとコルトバは深い溜息を吐いて、アニルに目を向けると口を開く。
「アニル、良い人たちを連れてきてくれたな……ありがとう」
コルトバはアニルたちに頭を下げた。
俺の頭の中は?でいっぱいだった。
「いえいえ、偶々ですから……その感じですと、洋介たちに?」
アニルの言葉にコルトバは頷いた。
えっ、ちょっと待って?
何の話をしてるの?
説明してくれ!!
すると急にコルトバが姿勢を正し、神妙な表情で話し始めた。
「あなたに、進藤殿にお願いがあります」
「何でしょう? 改まって……」
聞くのが怖いんですけど。
「古代都市のダンジョンコアを破壊して頂きたい、このとおり、お願いします!!」
そう言って深々と頭を下げた。
アニルたちに目を向けると、3人も頭を下げた。
「えーっと、とりあえず説明してくれますか?」
なんのこっちゃ分からんのに『はい、良いですよ!』なんて答えられるか!!
古代都市って言ってたから、おそらくあの近未来都市の事だと思うが。
あれってダンジョンだったの?
それはそれで興味があるので是非行きたいけど、先ずは詳細を聞いてからだな。
その後、一旦休憩を挟んでから説明を聞く事になった。
読んで頂きありがとうございました。




