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16 グエンル。

評価、登録、いいね、感想をして頂きありがとうございました。

誤字脱字報告ありがとうございました。

俺たちはアニルの案内で、アニルたちが住んでいるグエンルという街へ向かう。

広がる草原と丘の中を通っている土の道をのんびり歩きながら、前方に見える大きな街を見ていた。



「あれがグエンルだ」

「大きいな……あの壁の角にある塔は見張り台みたいなものかな?」

「いや、あれは目印のために建てられた塔だ、外に出た者が迷わないようにな」

なるほど、灯台ってわけか。


グエンルの街は真っ白な高い壁に囲まれた、大きな街だ。

広さは今の東京より広い。

街の真ん中らへんには、スカイツリーより高い建物が見える。

近未来的な雰囲気だが、建物のデザインが全体的に曲線が多いな。

地球人の俺からしたら、まさにファンタジーって感じだ。



街までまだ距離があるので、雑談をしながら歩いていく。


「この辺りに魔物は出ないのか?」

「ああ、道の端に黒い杭みたいな物が刺さってるだろ? あれが魔物を寄せ付けないようになってるんだ」

アニルの言葉で道の端に目を向けると、確かに等間隔で地面から30センチ程の黒い棒が出ているのが見えた。


「ほう、どんな物か気になる……取引で手に入るかな?」

「たぶん大丈夫だと思うぞ? あれはどの街でも作ってる物だからな」

おお、それは是非手に入れよう。


俺はずっと気になっていた事を聞いた。

「そう言えば、アニルたちの世界では職業の証は見つかってないのか?」

「……あぁ、洋介に貰ったあれか、今まで聞いた事も見た事もなかったが?」

「なるほど……」

やっぱりこっちの世界に、現在の地球のような理というかシステムは無いのかな?

でも、ダンジョンで繋がってるし、その内出ると思うんだよねぇ。



そもそも、地球に今まで無かったシステムが、突然入ってきた理由も分からないんだし、この世界でもある日突然システムが入ってくる可能性はあるよな。

もしかしたら既に入ってるかもしれないぞ?

その辺りも街で確かめてみよう。



そんな雑談をしていると、ようやく街に到着した。


「近くで見ると結構高いな」

50メートル以上はある。

目の前には白くて高い壁が見えるのだが……。

「継ぎ目が無い?」

「この壁は職人によって一つの物になっているんだ」

おお、凄い技術じゃね?


そんな話をしながら、黒い鉄のような門の横にある、門と同じ素材で作られたっぽい普通の扉を開けて、アニルたちが先に入っていく。

横から中を覗き込むと外ではなく、どこかの屋内のようで通路が続いているのが見えた。


俺たちも中に入り扉を閉めると、通路の天井に付いているランプ? のような物が灯る。

通路の左右にはパイプなどが通っており、工場のような雰囲気を感じた。


「こっちだ」

アニルの後を付いて行くと木製の扉が現れ、開けて中に入るとそこは、街を見下ろす広めの通路に出た?


「うわ~、凄い景色」

「これはテンション上がるっすね」

と、美香と堀さんが言う。


「あれ? いつの間に上がった?」

「いやいや、上がってないぞ……外の地面より街が下に作られてるんだ」

「なるほど……態々掘ったのか?」

すると、アニルは首を横に振って答える。


「この街は大昔、兵器によってできた穴に作られたんだ」

「あぁ、なるほどね……」

って事は、その兵器は巨大隕石並みの威力があったって事になるんだが?

どんな兵器ですか?


するとそこでユキがバッグから出て、伸びているパイプの上に跳び乗る。

「ん? どうしたユキ?」

『探検してくる!』

「危ない事はするなよ?」

『うん!』

「人に迷惑を掛けちゃダメだからな?」

『分かってるよー』

そう言ってユキはパイプの上をトコトコ歩いて行った。


あっちこっちにパイプが通ってるから、猫にとっては楽しいアスレチックになるだろうな。



「大丈夫か?」

アニルが心配して声を掛けてきた。

「ああ、ユキは俺と繋がってるから、どこに居るのかは直ぐ分かるから大丈夫だ」

「それなら良かった……地元の奴でも迷子になる奴がいるからさ」

どんな街だ?



その後、壁沿いの通路を進んでいくと、エレベーターのような物に乗って下へと降りていく。

ちなみに通路から街の下までは見えない程深い。


1分程でエレベーターが下に到着し降りると、何と言うかファンタジーと近未来を合わせたような街並みが、目の前に広がっていた。


いや、近未来というよりサイバーパンクって感じだな。



光った文字の看板や、建物にはよく分からないパイプなどが通ってる。

文字は読めないが。


住人も綺麗な格好というより、着こんだ浮浪者って感じだ。

そんな風景を見ているとアニルがこそっと教えてくれた。


「この辺りは治安が悪いから気を付けろ、特に外から戻ってきた奴らを狙う者が多いからな」

「おお、アウトローか……まあ大丈夫でしょ、な?」

そう言って美香と堀さんに聞くと、2人も頷いた。



その辺りに座り込んでいる子供や大人を横目に俺たちは街中を進んでいき、先程までとは違って綺麗な通りに出た。


「ここからは安全だ」

なるほど、あそこはスラム街ってやつかな?

確かに道行く人の格好も綺麗な服装になっている。



暫く歩いていると、何階建て? という程高いビルのような建物に入っていく。

中はオフィス街にあるようなビルのロビーになっており、受付が2つあるだけで他には何も無い。

ロビーの床の真ん中には何かのマークのような物が入っている。


アニルが受付嬢と何やら話すと奥へ進み、またエレベーターに乗って上がっていく。


「スケールがデカいなぁ」

「この街より大きな街もあるぞ? この街は世界で3番目くらいに大きいと言われている」

世界で3番ってそりゃデカいわな。

っていうか、1番と2番がここより大きいってのが信じられないんだが?

この街でさえ、回るのに何日掛かるんだって話しだ。



エレベーターが止まると扉が開き、俺たちは降りると廊下を進んでいく。

凄い綺麗にされているな。


そんな事を思いながらアニルに付いていくと、両開きの大きな扉の前で立ち止まる。

「今からギルド長に会うから、報告の際の補足を頼みたい」

「オッケー、スマホの動画と画像もあるから信じてもらえるだろ」

「ああ、あれは便利だよな……じゃあ、行くぞ?」

俺たちは頷く。



直後、アニルは扉をノックして開けると、広い部屋が視界に広がった。


無駄に広い!!

読んで頂きありがとうございました。

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