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26 嫉妬。

評価、登録、いいね、感想をして頂きありがとうございました。

グラマスの執務室でのんびりしていると、扉がノックされる。


「どうぞー」

扉が開いて入ってきたのは金森さんだ。

俺はソファに座るよう言い、対面に自分も座ると口を開いた。



「あの、私はなぜ呼ばれたんですか?」

「……俺が賢者だって事に何か、言いたい事があるんじゃないかなぁ~って思ってさ、どう? 何でも言っていいよ?」

すると少し俯いて話し始める。



「大阪に居る時、弟が進化した魔物に殺されました」

おう、それはヘビーだな。

それで俺を恨んでる的な?


あれ?

「そう言えば、金森さんって大阪出身だっけ?」

「いえ、東京生まれの東京育ちです……って、弟の話は冗談ですよ?」

「……いや、この状況でその冗談って、スゲー精神力だな!?」

「私一人っ子なので、弟みたいな子は大阪に居ましたけど……魔物に殺されました」

ん? えっ? どっち? これは本当なのか?


疑い深く見てると金森さんがクスッっと笑って答える。

「今のは本当です」

「分かりにく!? ……それで俺を恨んでる的な?」

しかし金森さんは首を横に振る。


「いえ……進藤さんが賢者と聞いてただビックリしただけです、特に恨みなどはありませんのでご安心を、いきなり後ろからブスッ! と刺すとかは無いので」

「今のブスッ! って所がやけに迫真だったね……恨みじゃないなら何だ?」

そう聞くと暫く沈黙が続き、金森さんが口を開いた。



「……あっ、恨みは無いので本当に、ただ……」

「ただ? 恨み『は』って事は、他に何かあるんだろ? 遠慮せずに言ってみな」

何を言われても躱してやろう!


えっ? そこは受け止めろって?

何言われるか分からないのに、そんな覚悟はありません。

いきなり結婚してほしいとか言われたら、100%無理なので!!



少し間を空けて金森さんは、一言呟いた。

「嫉妬です」


…………ハッ!

少し思考が停止してしまった。


えーっと、今確実に嫉妬って言ったよな?

金森さんが俺に嫉妬?

俺の何に嫉妬したんだ?


「嫉妬って、何に嫉妬?」

すると目つきが鋭くなり喋り始める。


「私も賢者になりたかったんです!! それなのに、私の資料に職業が何か載ってるので知ってますよね!? 『盗賊』ですよ!? 女盗賊!? 何ですかそれ!! まだ魔法使いとかならいいですよ?沢山ある中『盗賊』って!! 完全に悪者じゃないですかっ!? はあ、はあ…………すみません、取り乱しました」

俺は絶賛ドン引き中である。



おそらく何の職業の証か分からず使って盗賊になったんだろうなぁと思うけど……もしかして転職方法を知らないのか?


盗賊が今何%か聞くと首を傾げられた。

「何です? その何%って?」

俺は転職方法を説明する。



「なっ……じゃ、じゃあ、私は賢者になれるんですか!? 盗賊を卒業できるんですか!? …………やったぁあ―――!!!」

うん、最初の印象は完全に崩壊したな。

でも面白い子だ。

そこが良い。



俺はテーブルの上に、ずっと持っている1つだけ残っている賢者の証を取り出した。


「それは何です?」

手を上げて喜んでいる金森さんが物に気付いて聞いてくる。

「これは、賢者の証」

すると目を見開き固まった。


「ただし、賢者になるには条件がある」

俺は他の職業を100%にしないとなれない事を説明した。


「なるほど、魔導士、魔法使い、僧侶ですか……絶対なってみせます!!」

「ただ賢者になれば『不老』が付くけど良いのか?」

その言葉にキョトンとして答える。

「えっ? 何か不都合があります?」

うむ、この子には問題なさそうだな。



「では、他の証も工面してやるが、1つ条件がある」

「何ですか? 何でもします!」

女の子が『何でもします』はいけません!


俺は少し間を空けて言った。



「俺の弟子になる事……これが条件だ」

「進藤さんの弟子?分かりました!」

「えっ? いや、もうちょっと考えようか? そんな即答は女の子としてどうなんだ?」

「特に問題ありません!」

色々あると思うが?

ふむ……まあ本人がそれでも良いと言うなら良いか。



ちなみになぜ弟子にするのかというと、賢者のスキルは強力なので間違った使い方をしないように、パイセンとして導く必要があると思ったからだ。

使い方次第では、世界を崩壊させる事も可能だからな。



「じゃあ、今日から美香は俺の弟子兼秘書とする!」

「美香、何か恥ずかしいですね、いきなり名前で呼ばれるのは……あっ、分かりました! 何でもしますのでよろしくお願いします!」

「だから、その何でもしますは良くない! 今後それは禁止だ!」

「えっ? あっ、はい!!」

ビシッと背筋を伸ばして返事をする。



面白い弟子ができたな。

とりあえず最適化しておくか。


俺は説明して納得したので最適化を施した。




「スゲー、大して変わってねぇ」

最適化が済んだ美香は、スタイルも顔も前から少し変わった程度で、そんなに変化がない。

しかし、その少しで以前よりも綺麗になり、スタイルも滅茶苦茶良くなっている。

最適化する人によって効果がこんなに違うんだな。


「あっ、ちょっと垂れてたお尻が上がってる! やったー!」

やめなさい、視線が釘付けになってしまうでしょうが!



なんと初日に秘書という役職に出世した美香。

今後、他の職員による嫉妬や妬みの嵐が……ってそれはないか。


この日から美香は、賢者になるための条件を満たすための訓練に入る。

さっさと街中に支部を建てて、色んな情報を一般人に知らせないとな。

転職方法をまだ知らない人が居るみたいだし。

職業の成長も知らせないと、ずっと初期職業のままになってしまう。


そうなると今後の発展が難しくなる。

じゃんじゃん強い魔物は生まれるからね。

それに対応できる人員を増やさないと、人類はあの異世界のように滅んでしまうぞ。



ギルド職員がある程度育てば、直ぐにでも支部を建てて情報を流すんだが。

それはもうちょっと先になりそうだなぁ。



その前に学園が先だな。

未来の英雄が生まれる学園を作らないと!!

読んで頂きありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 弟子になるってのは魔術契約をするって意味かな? ただ育てて見守るだけなら裏切られたら死ぬかもしれないし、一応恨みを持ってる可能性あるしな
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