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書籍化記念 暑い夏の夜に②

「……? 何かこれ、登場人物偏ってない?」

「しょ、書籍版のことを考えて、だね」

「……どげんこと?」

「1巻では出ない人がいる」

「「「「「!?」」」」」

「何か皆怖い顔してるッスね。2巻目とか3巻目とかで出れるんじゃないッスか?」

「大悟、1巻目から出てるお前がいうと嫌味に——」

「2巻目、3巻目はみかくてい? です?」

「このご時世ですからねー」

「義兄さん……ボクも傷ついたので姉さんにちょっと報告しときますね」

「ヴェッ!? せ、先輩!?」

「大悟。諦めろ」

「み、皆! 予約っす! 予約するっす!!」

「保身100%」

「いっそのこと清々しいですねー。梓ちゃんには連絡しますけど」

「環っ!?」

「さて、それでは本編をお楽しみください!」


「おっ、警官だ!」


 よし。ここで勝てれば大きなアドバンテージだ!


「よし、まずは環ちゃんを——ヴァッ!? コートを広げないで! くそ、怯んで取り逃がした!」

「まって! 何かレオタードのマッチョがすごい速度で走り抜けたんだけど!?」

「あー! マジックミラー号が起動しちゃった! 中が見えない!」


 ……はい、普通に負けました。

 いや、違うんだよ。このゲームは警官の方が難しいんだよ!

 だからおれが下手とかそういうことじゃないんだよ!


 あーでもないこーでもないと皆でプレイを重ねていくが、結局は警官が勝てないまま時間だけが進んでいく。

 勝利回数も横並びなのでこのままだと企画的に微妙だ。


「おっ、また警官だ……」


 ここはおれがどうにしかして盛り上げるしかないだろう。

 そんな決意を胸に、開始早々見つけた環ちゃんを追いかける。


「クリスさん、柚希さん、あまねさんが鼻息荒く私を追い回してる間に鍵を探してください!」

「言い方ぁ!」

「承知」

『頑張るばい』

「れ、連携はズルいぞ! ゲーム外の戦術じゃん!」

「そんなルールはありませーん」

「ぐぎぎぎ……ってそうだ!」


 ゲーム外で何をしてもルール違反にならないなら、おれだってやっちゃうもんね!


 ゲーム内では環ちゃんを追いかけながら、そ~っと尻尾を動かす。


「ここでコートをバサッと——ひゃんっ!?」


 シャツの裾からそ~っと侵入した尻尾で環ちゃんをつんつんしたところ、非常に可愛らしい(まりょくほうふな)悲鳴があがった。

 そうだよね。敏感なとこを不意打ちされるとそうなっちゃうよね。

 そのまま尻尾をうねらせて色んなところを優しく責めていく。


「あまねさっ——んんんっ!? 待っ、んぅっ……これはズル、い、ですっ!」

「そんなルールないもんね! はい、環ちゃん逮捕ー!」

「あ、あまねさんの癖に生意気な……!」


 続いてクリス……に行きたいけど、同じ戦法だときっとクリスは対策してくる。

 というか普通に避けられる上に反撃される可能性も高い。

 なのでここは遠隔地で油断している柚希ちゃん狙いだ。


「柚希ちゃん」

『んー? なんね?』

「旅行に行く前日のスプラッシュのことなんだけど——」

『あまねちゃん!? 何の話ばしとーと!?』

「えっ? 何の話か言っていいの!?」

『だ、駄目! ちかっぱ(ぜったい)駄目やけんね!』


 動揺を誘ったところで、現状では唯一と言っていい切り札を切る。


「ルルちゃん! 今、柚希ちゃんの邪魔してくれたら後で何でも言うこと聞くよ!」

『っ!? る、ルルですか!?』

「そう! しっかり邪魔して!」

『が、がんばる、です!』

『あまねちゃん!? さすがにズルかー!! ルルちゃんもやめてー!』


 ほどなく柚希ちゃんも逮捕。


「くっ……! 負けない……!」

「くくくっ……その強気、いつまで保つかな!?」

「エロ同人の女騎士とオークみたいな会話ですねー」

『あまねちゃん、ノリノリやねー』

 

 もともと1対1では警官の方がスペックが高いこともあって、クリスもじわじわ追い詰めて逮捕にこぎつけた。


『あまね様! る、ルルは頑張りました!』


 うんうん。後で尻尾くんがたくさん可愛がってくれると思うよ。


「やったー! 勝ったー!」

『あまねちゃん……ズルしちゃいけんよ』

「卑怯。無効」


 クリスと柚希ちゃんは恨みがましい雰囲気を放っているが、環ちゃんは難しい顔をしていた。


「……確かにルール違反ではないんですよね」

「そうでしょ? うんうん、やっぱり環ちゃんは分かって——」

「マナー違反ですし、そもそも人としてどうかと思いますけど」

「ヴェッ!? い、いや、でも、ほら、企画を盛り上げるためにおれも身体を張って——」

「なるほど、盛り上げようとしてくれたんですね」

「……そ、そうだよ……?」


 なんか雰囲気怖いんだけど……?


「まぁ仕方ないですね。それじゃあ何か命令を決めてください」

「環?」

「まぁまぁ。クリスさんも落ち着いてください」

「……環がそういうなら」

『悔しかー』

『えへへ……あまね様にいっぱいなでなでしてもらう、です』


 ルルちゃんは何かトリップしているけど、他の皆も渋々ながら納得してくれたので ご褒美タイムだ。


 とはいえ、配信中なのであんまりえっちなお願いをするわけにもいかない。


「うーん……こう、なんか、健全なんだけど絶妙に魔力が回復しそうなお願いを……」

「……欲望だだもれ」

「待ってクリス、引かないで! ほら、配信のため! 配信のためだから!」

「それじゃ、ハロウィンも近いですしコスプレ企画とかどうですか?」

「コスプレ……! 良いかもしれない!」

「それじゃあ衣装の手配をしておきますね!」

「うん、お願——って待ったぁ! 環ちゃん、これ絶対何か企んでるでしょ!?」

「えー? そんなことないですよー?」

「環、疑われて可哀想」

「ホラ! クリスもこれ見よがしに味方してるし! 絶対に何か企んでる!」

「……ちっ」

「ホラ、ちって言った! ちって!」


 あ、危ねぇ……でも毎度毎度環ちゃんの陰謀に引っかかるおれではないのだ!


『ばってん、衣装はどげんするとー?』

「柚希ちゃんは遠方だから後でにして、クリスと環ちゃんの分は確保する!」

「どうやってですか?」


 決まっている。

 持っている人から借りるのだ。

 交渉のためにちょっとだけミュートにして、すぐさまスマホで電話。


『もしもしッス。どうしたッスか?』

「大悟、お前がこないだ買ってたコスプレ衣装を貸してくれ!」

『ヴァッ!?』

「ほら、家族にバレたくないってこっそりおれの転移を使って買いにいってた奴だよ!」


 大悟の聖なる(セイント)彼女である梓ちゃんにいつか着てもらう、と鼻息も荒く選んでいたのはドン引きだったけど、付き合ってやった甲斐があったぜ。


 まだ買ったことすら伝えられてないらしいけど。


 ちなみに見た目ロリサキュバスなおれと一緒に選んだので店員さんに声かけられて、警察も呼ばれました。


 三条さんに電話して助けてもらわなかったら今頃大悟は塀の中だろうな。


「今すぐ取りに行くからよろしく!」

『エッ!? ちょっ、待っ——』


 大悟の部屋に転移。秘蔵のコレクションが入った段ボールを死守しようと抵抗してきたので、大悟ごと戻ってきた。


 ……そうすると、まぁ当然ながら大悟に厳しい視線を向ける人もいるわけで。


「……ふーーーん……ソイツ(・・・)、こそこそとコスプレ衣装を買い集めてたんですか」

「た、環……どうかしたっスか……?」

「名前呼ぶなクソ汚物が。どうせ梓ちゃんに着せようとか卑猥な妄想繰り広げてたんでしょ」

「ヴっ!?」

「今すぐ梓ちゃんに密告しようかな」


 衣装を借りようと思っただけで大悟と梓ちゃんを破局させたい訳じゃないので思いとどまってもらおうとするが……


 ……なんか環ちゃんにウインクされた……?


「ま、待つッス! 後生(ごしょう)ッス!」

「えいっ」


 大悟が止めるも、環ちゃんは画像付きでメッセージを送信していた。

 だ、大丈夫だよね……?

 ウインクしてたし、きっと秘策があるんだよね!?


 程なくして、この世の終わりとばかりに落ち込む大悟のスマホが震えた。

 十中八九、梓ちゃんからだろう。

 死刑宣告を受けたような顔でスマホをいじっていた大悟だが、驚愕に目を見開いた後、急に笑顔になった。


「先輩。好きな衣装を使ってくださいッス。自分から贈呈するッス」

「ヴァッ!? 何があったの!?」

「これ見てくださいッス」


 大悟に差し出されたスマホには梓ちゃんからのメッセージが表示されていた。


『大悟さん、こういうのに興味あるんですね』

『ちょっと恥ずかしいですけど、大悟さんがどうしてもっていうなら着てみますよ?』

『あっ、でもえっちなのはだめですからね!』

『そういうのは結婚してからです!』


 ……口からチクロを吐き出すかと思った。

 おれの横ではクリスも口からサッカリン吐きそうな顔してたし、環ちゃんもアスパルテームを吐きそうな顔していた。


 砂糖やハチミツなんてメじゃない甘さである。


 あまりのラブラブっぷりにげんなりしたものの、何はともあれ衣装は手に入ったので良しとする。


 ……リア充爆発しろ。



※チクロ

 超甘い人工甘味料


※サッカリン

 超甘い人工甘味料


※アスパルテーム

 超甘い人工甘味料


「うっ……ううっ……自分、本編でもこういう扱いなんスね」

「大悟さま、可哀想、です。なでなでする、です」

「ルルちゃん……! ありがとう……!」

「……うわっ」

「キモ……」

「ないわ」

「梓ちゃんに連絡しときます」

「義兄さん……」

「待ってくださいッス!? 何で皆そんな対応なんスか!?」

「いや、大学生がロリに頭をなでなでされてたら……ねぇ?」

「ぐっ……る、ルルちゃん、なでなでは——」

「……ルル、要らない、です……?」ウルウル

「うわ、泣かせた」

「最低」

「梓ちゃんに連絡しときます」

「義兄さん……」

「ど、どうしろって言うんスか!? 泣きたいのはこっちの方っスよ! うわぁぁぁぁん梓ちゃぁぁぁぁん!」


「……さすがにイジメ過ぎたか……?」

「まぁ幸せ惚気マンなので大丈夫ですよ。梓ちゃんに癒されてしれっと戻ってくると思います」

「書籍だとかっこいいトコもあるんだけどねー」

「そんな兄貴のかっこいいとこも載ってる書籍は10月30日発売! 各WEBサイトでも予約が始まってます!」

「ろ、露骨な宣伝……!」

「はい、ルルちゃん。ここで一言」

「ひぐっ……ぐすっ……買ってほしい、です」

「泣いてるルルちゃんまで使うとか鬼畜か」

「超美麗イラストに、カバー下にはヒミツの中表紙……ぜひ買ってくださいねー!」

「めげないなぁ」

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◆別作品
「実は最強なFランク底辺職の死霊術師は今日もおっぱいに埋まる。」
カクヨムにて毎日更新中の新作です!こちらもぜひ応援よろしくお願いします!
― 新着の感想 ―
チクロって有毒だからって製造禁止になった人工甘味料やん(笑) サッカリンも塩基によって毒性に差があるから何種類かは禁止になっていたはず。 と、メタ発言してみる。
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