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番外編 2024 バレンタイン①

「ご無沙汰してます、です!」

「久々の出番だー! やるぞぉぉぉ!」

「バレンタイン♪ バレンタイン♪ ばばばっ、ばばばばっ、バレンタインっ♪」


 朝。おれはうっきうきでキッチンに立っていた。

 理由は単純。バレンタインのチョコをつくるためだ。

 前はチョコを用意し忘れたせいで環ちゃんに酷い目にあわされたけど、おれは学習する男。(※過去話118~123部参照)

 今回は下調べもバッチリだし忘れずに材料も買ってきた。


 皆を唸らせる至高のチョコレートを作ってぎゃふんと言わせてやるのだ!


 もちろん渡すだけではない!

 皆がおれのためにチョコを用意してくれている!


 つまり勝ち組である!!

 大悟も梓ちゃんから貰うので自慢できないと思うじゃん?


 な・ん・と!


 今年はもらえませーん!

 といっても喧嘩とかじゃないんだけどね。祓魔師教会のゴタゴタで死ぬほど忙しそうにしてた土御門さんがとうとうブチ切れて無理やり休暇を取得(仕事を丸投げ)


 家族全員でヨーロッパ旅行に行くと宣言したのだ!

 ちなみに期間は2月9日からで、戻ってくるのは15日とのことで、バレンタインは海外なので絶対に受け渡しができないのだ。


 きっと15日には貰うだろうし、聞いてるだけで糖尿病になるような惚気を聞かされることになるんだろうけれど、少なくとも14日の時点ではおれの勝ちである。

 血涙を流す大悟に自慢してやるもんね。


「急いでチョコを作って、皆から貰ったのを飾るための祭壇も作らねば! 記念撮影用に業者も呼ぶべきか……?」

「ほら、あまねさん。手元がお留守ですよ」

「アッ!? だ、だいじょぶ! 無我の境地みたいなトコあるから! 天衣無縫(てんいむほう)の極みだから!」

「なんでテニスが好きな気持ちでチョコ作ってるんですか」


 苦笑する環ちゃんは、撮影係。

 おれは別にどっちでも良かったけれど撮れ高ですよ撮れ高!とのことで配信することになったのだ。


『元気だな』『うなじたすかる』『いつもどおりてぇてぇ』『実質ひとりでできるもん』『【¥1919】Eテレ系の絵面なんだよなぁ』『あまねが刻むチョコになりたい』『てぇてぇ』『hshs』『【¥4545】暗黒料理に期待』『【¥10721】衣装可愛くてたすかる』『【¥50000】うなじprpr』


「おっ、ありがと! まぁおれの好みじゃないんだけど、環ちゃんがどうしてもって言うからね」


 ピンクのふりふりがついたエプロンドレスに、キャスケット系の帽子というファッションだ。

 髪の毛を結わえてしまっているので首元がスースーするしエプロンは女性向けというか女児向けだ。


 本当はあんまり着たくなかったんだけど本命チョコがもらえることが確定している今のおれは無敵なのだ!


 ファンサービスとして目元でピースサインを作ってカメラの前でポーズを決めたりしちゃうもんね。


「イェイッ♪」

「ヴァッ!? あ、あまねさん、そんな、えっ? 誘ってます?」

「環様。血圧が急上昇しております。このアルマめが脳をイジって目の前で虐殺が起きても一切血圧が変わらないように致しますか?」

「しない! しないけど今心のフィルターにあまねさんを焼きつけてるから話しかけないで!」

「では網膜に今の映像を貼り付けましょうか?」

「うっ……ちょっと悩む……!」


 いや、悩むなよ。

 アルマは10割の確率でマッドな実験みたいな提案しかしないじゃん。


「環ちゃん、鼻血、鼻血」

「良いんです……これは心の涙ですから」

「アルマ、鼻にティッシュ詰めてあげて」

「畏まりました。このアルマめが責任をもって詰めます。さしあたって左右にひと箱ずつで良いですか?」

「良い訳ないだろ!?」


『環にダメージ入ってて草』『あまねガチ勢のムーブwww』『不意打ちで理解らせられてるw』『いやでも可愛いから気持ち分かる』『スクショ撮って待ち受けにした』『【¥1000】ティッシュ代』『【¥4545】アルマのぽんこつぶりに乾杯』『俺もぽんこつメイドにご奉仕されてぇ』


「た、環様! 私をぽんこつ呼ばわりした陰キャバスどもを理解(わか)らせなければなりません! ここは全身を自動化(オートメーション)してこのアルマめに一元管理を——」

「却下」

「畏まりました」


 とりあえずアルマと環ちゃんは放っておいてチョコづくり再開だ。


 おれが作る予定なのはトリュフチョコレート。

 柚希ちゃん印のレシピなので見た目も味も間違いなしの逸品である。ちなみに柚希ちゃんはクリスやルルちゃんと一緒になって別のところでおれのための! おれの! ための! チョコを作ってくれている。

 そっちも楽しみでウキウキだ。


 おれも頑張らねば、と刻んだチョコをボウルに入れといて、生クリームを弱火で温める。


「沸騰直前になったら刻んだチョコを入れて泡立てるんだよね」

「あっ、あまねさん生クリームの空容器持ってください」

「およ? こう?」

「そうですそうです。頭の上に掲げて、ちょっと傾けて」

「冷たっ」


 環ちゃんの指示に従って容器を構えると、容器に少しだけ残っていた生クリームが頬にぽたりと垂れた。


「はい、今です! 『この生クリーム、濃いね』って言ってください!」

「……環ちゃん? おれがそんなの言うと思う?」

「うぐっ……じゃあ溶けたチョコで『どろどろだね』でも良いですよ!?」

「食べ物で遊ぶとあとで柚希ちゃんに怒られるよ?」

「じゃあどうしろって言うんですか!」

「何でキレてるの……?」


『わかる』『これはキレるのもしゃーない』『【¥1000】ワガママ言っちゃ駄目』『環を困らせるなよあまね』『【¥1919】これは環が正しい』『はいテイク2』『生クリームもチョコもやろうず』『【¥4545】期待』『【¥2000】これであまねさんに掛ける用のチョコとクリームを』『水着で全員で順番にやってほしい』『【¥50000】これで皆さんに掛ける用のチョコとクリームを』


「み、皆に……!」


 思わずごくりと喉が鳴る。


「動画配信だから仕方ないよね陰キャバスの皆のためだもんねそういう企画ってことで後でおれが美味しくいただけば無駄にはならないし柚希ちゃんも納得させられるよねウンウン仕方ない仕方ないみんなのためだしおれはちょっと嫌だけどリクエストと一緒に投げ銭(スパチャ)までもらっちゃったもんね」

「早口すぎません?」


『クソワロタwww』『必死過ぎて草』『誰に言い訳してんだよww』『てぇてぇ』『欲望に忠実なサキュバスェ……』『【¥10721】水着代』『【¥45454】マイクロビキニ希望』『あまねが舐めとるとこも配信してくれ』『これはエッッッ不可避w』『すこ』


「あっ、泡だて器がない!」

「あー……柚希さんが使ってるんですかね?」

「仕方ない。ホームセンターに行って買ってくるか」

「じゃあ配信は一時停止ですか?」

「だね」


 火を止めてカメラの前で頭をさげる。


「中途半端なトコでごめん! 泡だて器買ってきたら再開するから! ……環ちゃん? なんで笑ってるの?」

「あまねさんに()()()()()()()と思案中です」

「ヴァッ!? や、やらないぞ! なんで突然!?」

「ほら、陰キャバスの皆さんに迷惑をかけちゃうわけですし誠意を見せないと」

「い、嫌だ!」


 抵抗するおれを環ちゃんとアルマが絡めとる。

 う、動けない……!


「それでは配信をいったん停止しますねー!」

「動画を楽しんでいただけましたらいいねボタンや下の評価欄で☆マークをお願いします」

「☆は5! 5ですよー! それじゃあ一旦、終わります。おつキュバス~!」

「というわけで続きますー!」

「た、環さま、環さま!」

「何ですかルルちゃん」

「クリスさまがこわい、です!」

「クリスさん……?」

「……」イライラ

「く、クリスさん? 何で怒ってるんです?」

「ないから」

「な、なにが?」

「出番」

「あっ」

「ウチも出たかー!!」

「あっ」

「ボクも……」

「待って葵ちゃんは今ヨーロッパでしょ!?」

「ほら、後書きでそういうトコありますし」

「……何となくわかっちゃうのがまたちょっと嫌だな。あ、でもホラ、続きあるっぽいし!」

「せやね。ウチもバリ美味かチョコつくるけん、待っとっててね!」

「ん? なんか忘れてる……ような……?」




「わんなっくぇーなめーちょーんんじてぃっちうぅらんやいびーさ!」

(訳:私なんて名前すら出てきてないですよ!)


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