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◆031 何が何だか

「ふっふ~ん♪ ふふふ~ん♪」

「柚希ちゃんはご機嫌だね」

「美味しいご飯ば作っとーけんね!」

「ひさびさのほうげんかわいい」

「あまねちゃん? ぼさっとしとらんで告知ばせんと」

「あっ、ごめん。これは本日2回目です! よろしくお願いします!」

 結局、エリという人物が何だったのか、分からないままだった。


 あれから日を追うにつれてエリの記憶は()()()()()()()()()()()()()()

 一緒に生活していたはずのクリスたちはおろか、実妹であるはずのマリも「そんな人いたっけ?」みたいな感じになっている。


 ……怖い。怖いし、心配だ。


 何が起こっているのか全く分からない。

 おれの記憶が間違ってるんじゃないかって疑いたくなるあまりにも話が嚙み合わないのだ。


 ただ、俺の勘違いとかじゃないのは間違いない。


「はて……なぜこのような資料が……?」


 三条さんが手を尽くして調べたであろう、喜屋武エリカという人物の詳細資料を持ってきてくれたのだ。もっとも、調べた理由を忘れているあたりは三条さんにも同様の現象は起きてるっぽいけど。


 こうしている間にもエリの身に何か起こってるんじゃないか、と思うと居てもたっていられなくなる。

 とはいえ霊光聖骸教会に殴り込むわけにもいかない。エリがどこに囚われているかなんて分からないし、実力行使ができるよう祓魔師が根回しをしている最中なのだ。

 ここでおれたちが突っ込んでいけば、むしろ立場が悪くなったり攻め入るのが遅くなってしまう可能性がたかった。


 ……そんなわけで。


「はーい、今日はいつものいじめっこ配信テロでーす! 陰キャバスの皆さん、準備は良いですかー?」

『全裸待機』『完璧』『一生待ってた』『一年くらい待ってた気分』『【¥1919】ふぅ……』『はやすぎるwww開始五秒www』『泣き顔期待』『すっげー久々な気がする』『【¥4545】靴下とネクタイつけて待機』『悲鳴に期待』


「……配信テロなのに”いつもの”って何……?」

「まぁまぁまぁ! あまねさんはいつも通り元気に座っててくれればいいですから!」


 環ちゃんに促されてカメラの正面席にぽすんと座るけれども、全然集中できない。

 エリのことで悩んでるおれを見て『詳しいことはわかりませんが、自分から行動できないなら別のことをして気を紛らわせましょ!』と配信に誘われたのだ。

 おれを元気づけるために柚希ちゃんが豪華なご飯作ってくれたり、クリスが添い寝してくれたりとか色々気を遣ってくれたりしてる。

 ルルちゃんも心配そうにおれの顔を覗き込んだり、頭を撫でようとしたりしてくれてるんだけど、微妙に背伸びしているのが微笑ましいよね。


 エリのことは心配だし何がどうなってるのか不安だけど、皆に気を遣わせ続けるのも良くないと思ってこの配信を了承したのだ。


 ……どんな企画か確認もせずに。


 水着を下に着てきて、って言われたから泳いだりするのかと思ったけど、そんなことはないらしい。環ちゃんの企画だし不安しかない……。


 ちなみに葵ちゃんとリアはいない。

 おれを元気づける、という名目でベッドの中にいろいろ持ち込んで勝手に使おうとしたので満場一致でお仕置きだ。

 具体的には葵ちゃんが土御門家(じっか)のツテを使って手に入れたお薬系だ。


「合法です! 合法ですし、何なら検出すらできないですよ!?」

「やみつきになると噂ですの! おねえさま、ぜひお願いします!」

「頭がパーになるまで()()()気がまぎれると思ったんです!」


 やかましい。

 っていうか頭がパーになるお薬ってなんだよ……検出できないのは合法とかじゃなくてバレないからセーフ的なあれだろ。どう考えてもアウトでしかない。

 その場で電話して三条さんに説明してあげたので、現在は色々後悔するくらいこき使われているはずだ。


「さて、今日は最近しょんぼりなあまねさんを元気づけるために新潟まで来てます!」

「ぱちぱち、なのです!」

「新潟グルメ! ウチもバリ楽しみばい!」


 おお、グルメ企画なのか。

 ……いやでも、いじめっ子配信テロなのにグルメ企画……?

 激辛料理とか激苦料理とかそういうのだったりしそうで怖いな。


「あまねさんが元気になるためにはちょっと乱暴で縛り上げる系の——ゲフンゲフン、美味しい料理ですよね!」

「待って!? なんかすごく不穏なこと言わなかった!?」

「気のせいですよー」

「おれにもイメージってのがあるんだから、変な捏造はやめてよね!」


『イメージ通りで草』『【¥50000】解釈一致』『【¥45454】わからせ希望』『たすかる』『これははかどる』『やはりあまねは総受け』『縛って吊るす系……?』『それよりも放置してだな』『自分から懇願するように仕向けよう』『【¥31500】縄代です』『ベストセラー書籍”縛り方100選”置いときます【URL】』


 くっそ! かくなる上は!


「ルルちゃん!」


 ごにょごにょ。


「えっと……気持ち悪い、です……?」


『ごめん反省した』『来世では私のことを許してください』『滝行してくるわ』『本当にごめん』『ベストセラー書籍”真人間になりたい”置いときます【URL】』『【¥50000】るるたそかわいい』『おみみしあわせ』『これであと100年生きていける』『【¥50000】るるたそ』


 なんか変なのも沸いたけど陰キャバス(リスナー)たちには大ダメージを与えられたようなので良しとする。

 コメント欄がしっかり反省するまで待って、環ちゃんの企画解説だ。


「さて、今日はグルメ企画ですが、せっかくなのであまねさんの美食家具合をチェックしたいと思います! いわゆる格付け的なアレですね!」

「本物と偽物の料理を用意した。どっちか当ててもらう」


 クリスがイラスト付きのフリップをカメラに示す。


「本物は某グルメガイドで二つ星以上の高級品。偽物は百均かスーパーで買ってきたやつ」

「ま、間違えたら、貧乏です!? あ、あまね様! 大変です! お洋服や椅子が!」


 ああうん。つぎはぎだらけの服で茣蓙(ござ)に座らされたり、ひどいと画面から消えたりするんだよね……。


「いくら何でも、原価が100倍以上あるので分かりますよねぇ?」


 じ、自信ない……自信ないけどここで分からないかも、とは言いたくない……!


「分かるに決まってるじゃん! むしろ環ちゃんこそ分からないの?」

「そういわれると思って、あまねさん以外のメンバーも同じ内容で挑戦、事前に撮影しています!」

「エッ!? いつやったの!?」

「おとといの夜、あまねさんが『ごめんなさいもう無理許して』って泣き出し——」

「ヴェェェェェェェッ!?!?!?!?!?!?!?」


 何口走ってるの!?

 これ配信中だよ!?!?

 おれが悲鳴とともに固まっていると、撮影係のアルマが良い笑顔でサムズアップしていた。

 既に用意していたのか、掲げられたカンペには、


『環様の指示で自主規制(ピーッて)音を上書きしております。撮れ高なのでもう少し悔しそうなリアクション多めでお願い、とのことでした』


 ぐぅぅぅ! またてのひら! 環ちゃんに良いようにもてあそばれてるッ……!

 今夜だ。

 今夜は環ちゃんを思いっきり後悔させてやる!

 一昨日のことも泣いて謝るまでやり返すからな!


 ふんす、と鼻息も荒く決意を固めていると、目隠し用のアイマスクを渡された。それを掛けたところで、横にいたルルちゃんが手を握ってくれた。


「る、ルルがあーんする、です!」

「ルルちゃんありがとう」

「あ、私も後であーんしますね」

「エッ……鼻とかにくっつけたりしない?」

「信頼されてませんねぇ……いや、これはそういうフリですかね?」


 違うよっ!

 環ちゃんなら普通にやりそうだからちょっと怖いんだよ!


「ではさっそく行きましょう!」


 



「次は21時」

「えっと、クリス……?」

「何?」

「一応、ほぼ1年ぶりだし何かほかに言うことは?」

「ない」

「アッ、ハイ……絶対怒ってるじゃんコレ。超機嫌悪いよ……!」

「ない」

「はい……」

「私の出番もほとんど、ない」

「アッ」

「ない」

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