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◆030 謎

◆ここまでのお話◆

 新興宗教団体【霊光聖骸教会】に付け狙われている少女マリを保護することになったあまね達一行。旅行しながら沖縄にたどり着いたものの、保護者が大けがを負っていたこともありマリだけでなく姉のエリも保護し、一緒に暮らすことになる。

 祓魔師教会からの依頼だから、というだけでなく、美味しくいただいちゃったマリを守りたいあまね達は様々な策を用意するものの、敵対する謎の人物「秋津守」に追い詰められてしまう。

 妹を守るため、名を偽って名乗り出たエリは秋津守に連れ去られてしまうのであった。



「ってことがあったんだよ!」

「あまねさん、何でそんな元気なんです?」

「およ? 環ちゃんは機嫌悪い?」

「です……たまき様、ぷんぷん、です!」

「そりゃそうですよ! 約一年ですよ! 一年! どんだけほったらかしてるんだって話ですよ!」

「あー……公募原稿書いたりスランプになったりパソコンがぶっ壊れて書き溜め分が消滅したりしたみたいよ?」

「知ったこっちゃないんですよ! 私の出番、すなわちあまねさんへのわからせが! 減るんです!」

「いや待って? ナチュラルにおれをわからせようとしないで!?」

「HA-HA-HA!」

「アメリカンな笑いじゃ誤魔化されないからな!?」

「さぁ、本編行きましょ本編! ようやく再開ですから!」

「絶対誤魔化されないからなぁ!?」


 ――エリが、さらわれた。


 その事実に動けないでいたおれ達に発破をかけたのは環ちゃんだ。


「とりあえずクリスさんたちと合流します。私たちの位置を占いで割り出せるなら、セーフハウスは意味がありません。全員でクリスさんたちの元に戻りますよ」


 ぱん、と柏手(かしわで)を打った環ちゃんに促されてスマホを確認する。


「……まだっぽいね」

「あまねさんはそのまま連絡待ちで。私はちょっと三条さんに連絡をいれます」


 と言っても、すぐにでも《転移》するために近くでスピーカー通話するようだけれども。姉を連れ去られたショックで顔色を失ったマリを、皆で囲むように寄り添う。

 ぎゅっと抱きしめるルルちゃんを撫でるマリの手は震えていた。

 スピーカーから電子的な呼び出し音が数度流れ、すぐさま通話に切り替わる。


『はい、こちら三条です』

「あ、環です。いまお時間良いですか?」

『大丈夫ですよ。何か問題でもありましたか?』


 落ち着いた三条さんの声。思わずエリが、と叫びたくなってしまうが、ここは環ちゃんに任せた方が絶対に上手くいく。そう信じて口をつぐむ。


「敵に位置がバレていました。占術の類で割り出したらしいです」

『……詳しくお聞かせください』


 青森で待ち伏せを受けたこと。

 物量攻撃に業を煮やし、殲滅のために二手に分かれたこと

 そして、それらが陽動であり、栃木に戻ったおれ達はあっさりと強力な呪式の群れに囲まれてしまったことなどを話す。


「エリが咄嗟に身代わりになったのでマリがさらわれることだけは防ぎましたが、このままで良いはずもないので――」

『少々お待ちください。エリとは()()()()()()?』

「えっ?! マリのお姉さんですよ?」


 全員で顔を見合わせてしまうが、三条さんが次に放った言葉に、今度は凍り付くことになる。


『喜屋武マリエールさんには兄弟姉妹はいないはずです』

「そんなッ!?」

『ご本人もそちらにいるんですね? ふむ……もう少し調べものをさせていただいても宜しいですか?』

「……はい」


 エリなんて人間は、いない。

 その言葉が鉛のようにのしかかってきた。

 ならばおれ達が寝食を共にしてきた彼女はいったい誰なのか。

 他のメンバーの安否確認を済ませ、一度通話を切る。後に残されたのは、不快感と違和感を噛み締めた皆である。


「マリ……?」

「お、お姉は……お姉は……何……?」

「落ち着いて」

「だって! 旅行会社でずっと本土の方にいて! ようやく一緒に暮らせるようになったのに! 私の身代わりになって!」


 興奮し始めた彼女に、柚希ちゃんが何事かを呟いて管狐を放つ。

 いつもと違ってふんわり静かに出てきた管狐がマリの前でチカチカ明滅したかと思うと、彼女の視線が段々と定まらなくなっていく。


「落ち着いて。大丈夫やけん」

「お姉……だって……」

「深呼吸。吸うてー、吐いてー、そう、ええ子やね」


 柚希ちゃんの声に導かれるようにして深呼吸を始めたマリは、そのままくたりと倒れ込んだ。ルルちゃんとアルマがそれを支え、静かに横にする。


「どげん事か分からんばってん、おかしかね」

「ええ……ですが、敵が、さらったのがマリでないことに何時気付くかわかりません。まずはクリスさんたちと合流しましょう」

「せやね。あまねちゃん、大丈夫?」


 大丈夫な訳がない。

 意味不明な気持ち悪さが全身を包み、今すぐ叫び出したい気分だ。


 ……でも。


 一番混乱しているのも、心細いのもマリだ。

 こんな時こそおれ達がしっかりしてあげないと。


「大丈夫。ありがとう」

「ええよー」


 いつもよりも力のない笑みを浮かべた柚希ちゃん。ルルちゃんに至っては口をへの字に曲げておれ達を不安そうに見つめているし、環ちゃんも難しい顔をしている。

 不安なのも、状況が飲み込めていないのもみんな一緒だ。

 でも、それを嘆いたり誰かに当たったりしても何も解決しない。皆で力を合わせて問題にぶつかっていくしかないのだ。

 となれば、まずはやることが一つ。


「ご飯だ。アルマ、何の食材使っても良いからとびっきり美味しくて豪華なご飯急いで用意して!」

「あまねさん?」

「無理にでも食べて、話はそれからだ」


 美味しい食事には気持ちを落ち着ける力がある。おれはほとんど食べられないけれど、とりあえず腹ごしらえをして、クリス達と合流してから色々考えることにした。


***


「いやぁ……面目ない」

「ふむ。らしくないと言えばらしくないし、仕方ないと言えば仕方ないが」


 欠片も罪悪感を抱いてないであろう秋津守に、『月島中佐』はやや呆れを含んだ視線を向ける。これがただの無能ならば即刻首を刎ねてやるのだが、タチが悪いことに秋津守は有能だ。

 だからこそらしくない、という評価になるのだが。


「自分の卜占は人物の能力や居場所、来歴なんかを測るのは得意なんですが、流石に人相までは」

「……それはたしかにそうだな」


 この計画のために占わせた敵の戦力はほぼ完璧だった。

 私の読み通りにわざわざ二手に分かれてくれたので簡単に拉致することができたのだ。

 とはいえ、秋津守が拉致してきた相手が問題だった。

 『創世計画(ジェネシス)』の軸となる喜屋武マリエールではなく、その姉である喜屋武エリカなる人物だったのだ。

 目の前で四肢を縛られ、さるぐつわと目隠しをされた女を睨む。

 秋津守の話では自らマリだと名乗り、仲間の安堵と引き換えに自らの命を差し出したらしい。

 天晴れでもあるし、業腹でもある。


「……その娘を八つ裂きにして眼前に突きつけてやるか。少なくとも敵の半数は使い物にならなくなるぞ」


 秋津守の占いからはじき出した人物像に従うとすれば、『クリス』『リアーナ』以外は大きく動揺することになるはずだ。『土御門葵』は動けるだろうが、心の平静を大きく崩すし、他のメンバーに至ってはまともに思考することすら難しくなるだろう。

 間違いなど起きないよう、全員を捕縛してしまえば良い。

 あとは尋問でマリを割り出し、不要な人物は処分するだけである。


「それも悪くはないんですけど、この娘も素材として使いたいんですけども」

七五三木(しめき)の時と同じく、瓶詰でも構うまい」

「んー……無理ではありませんけど、少し成功率下がりますよ?」

「どれほどだ?」

「三割……良い状態を保っても二割五分は減りますね」


 人間から化け物を作る技術について、私が知っているのは全て秋津守から教わったものだ。どれほど欺瞞情報が入っているか分からないし、そもそも判断できるだけの知識がないので何とも言えない。


「……ふむ。では、腕一本を落としたとしたら?」

「切り落とした腕も自分に渡して下さるなら四分(よんぶ)五分(ごぶ)。腕を他のことに使うなら一割弱ですかね」


 切り落として反応を見ようにも、秋津守の不可思議な術のせいで声色も表情も読み取ることはできない。


「もしかして、自分のことを疑っておいでで?」

「面白いことを言うね」


 明け透けな質問に、思わず笑みを作る。


「疑う以前に、信じられるほどの材料も得られていないのが現状だろう?」


 私の言葉に、秋津守はあはは、とやや乾いた笑い声をあげた。


「では、どうされますか?」

「どうもせんよ。七五三木を含めて幹部は全員『素材』にした。信徒も片っ端から化け物に変えている。この上で秋津守が裏切るのであれば、計画実行は不可能。それだけだ」


 そもそも、私の立案した計画は秋津守が用意した呪式に頼っている。

 私利私欲のために面従腹背(めんじゅうふくはい)な輩を大量に抱き込むよりは、訓練された兵士と同じく命令に従う者の方がまだマシだと考えた結果だ。

 人の思考は複雑だ。

 私がどんな計画を立てようと、かならず小さなズレが生じる。

 だとすれば私が見落としてしまうような小さなズレの積み重ねで瓦解するよりは、すぐに見える大きなズレがあったほうが修正しやすいのだ。


「まぁ、貴殿が我が祖国に泥を塗るような真似をするのであれば、刺し違えてでも殺すがな」

「大丈夫ですよ。私は――おっと。自分は今もこれからも、日ノ本を守るためだけに動いておりますので」


 信じるしかあるまい。

 ……冗長系は一応用意しておくが、能力が未知数な秋津守をどうにかできる案などありはしないのだから。

 苦笑の残骸を秋津守に向けると、懐から取り出した紙巻きたばこに火をつけた。


「あ、あのさ……怒ってるところすごく言いにくいんだけどさ」

「何です?」

「気力と体力が続く限り書くけど毎日更新は難しいかもって」

「ハァァァァァ!? 一年待たせて何やってるんですか作者は!」

「一年経ってない、です……?」

「ルルちゃん、変な電波受信するのやめよ」

「そうですねーたったの362日ですもんね! 一年じゃないですよね!」

「よ、擁護できない……!」

「とりあえず今日は三話! 最低三話あげてください! さもないと……」

「さもないと……?」

「あまねさんのR18展開をふんだんに入れてBANさせます」

「環ちゃん……ちょっと捨て身すぎない……?」

「良いから! とにかく三話! はい決定!」

「え? えーっと? 今日は9時、18時、21時、です?」

「これが9時の分だよね?」

「あと2話ですか……こうしてはいられません。さっさとあまねさんを分からせる準備をしないと!」

「ヴァッ!? 待って!? どういうこと!?」

「説明するより次の更新待ってた方が早いです!」

「待ってぇぇぇぇぇぇ!!!!」


よろしくお願いします。

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