表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
126/187

◆003 復帰配信 前編

「はっいしん、はっいしん♪」

「あまねさんはいっつも元気ですねー」

「それがあまねちゃんの良かところやけんね」

「ですね。悲鳴が捗ります」

「ヴァッ?!」

「もー、環ちゃんないっつも意地悪するっちゃけん」

「そ、そうだよ! おれだっていっつもやられっぱなしじゃないんだからな!」ボフンッ

「ヴァッ!? へ、変身はズルいですよ?!」

「今度という今度は――あっ? クリス? どうしたの?」

「それ、辛いから禁止」

「エッ!?」

「あまねちゃんな大人んなるとやりすぎっちゃけん」

「ゆ、柚希ちゃんまで!?」

「ルルさん。尻尾さんを握ってあげてください」

「はいです!」

「あー!? 環ちゃん!? この人数差はちょっと――まって、あっ、ちょっ!?」

「うーん。平和ですね……あ、皆さんコーヒー飲みます?」

「葵ちゃん!? マイペースすぎない!?」

「そうですわよ。コーヒーは後にしておねえさま方に混ざりませんと」

「そうじゃないよ!? くそっ、こうなったらやっぱり変身するしか――!」


 さて、ひっさびさの配信だ。

 夏頃から今日まで、足かけ半年間も配信が無かったものだから、ワクワク半分怖さ半分って感じである。色んな設定を決めたのでそこら辺のお披露目というか、解説がメインの配信なので、分類は雑談系だろうか。

 チャンネル登録者数は順調……っていうと違うけど、右肩上がりなのは間違いない。むしろおれが想定していたよりずっとたくさんの人に登録してもらって、『本当に楽しませられるんだろうか』とかドキドキする。


「大丈夫です。だいたいあまねさんが悲鳴上げてれば撮れ高ですから」


 環ちゃんがとんでもなく不吉なことを言ってたけれども、登録者数に見合うだけの面白いコンテンツになるように努力していくしかないのだ。

 むふん、と気合を入れてカメラに目線を向けたところで、背後にいるアルマが指でカウントダウンをした。

 三、二、一、――

 チェック用のモニターに配信ソフト(OBS)で映っているおれたちが確認できたところで、おれの声に合わせて全員で挨拶だ。


「い、陰キャバスのみなさんお久しぶりです! せーの!」

「「「「「こんキュバス!」」」」」


 定型挨拶、ということで何が良いだろうかと頭を捻った結果、ストレートに「こんキュバス」になったのだ。ちなみに陰キャバスはプイッターで投票した結果、脅威の賛成率99%を叩き出したために採用となってしまった。

 環ちゃんの訊ね方がズルかったのが原因だと思ってるんだけども、まぁ視聴者さんたちが楽しんでくれるならそれで良いか、と心に棚を作ることにした。

 普通に悪口の類だと思うんだよなぁ……。


『きゃわわわわ』『てぇてぇ』『【¥1000】待ってた』『【¥50000】おかえり!!!!!!』『【¥4545】待ってました!!!』『開幕てぇてぇ』『挨拶の破壊力よwww』『てぇてぇ』『【¥500】ファンです待ってました』『【¥1919】おめめがしあわせ』『てぇてぇ』『挨拶かわいいかよ』『はかどる』『たすかる』


 バグったんじゃないかって勢いでコメント欄が流れていく。

 ずーっと待っていてくれた人も新規の人も、たくさんの人がおれ達の配信を待っていてくれたことに、胸がじわりと熱くなる。


「えっと、改めましてお久しぶりです。復活配信ということで、人が来てくれてるかすごく心配だったんだけど、来てくれててホッとしました。今日は改めておれたちの自己紹介とかするし、今後どういうことするかって話もするから楽しんでってね!」


 頑張って覚えてきた文章をカメラに告げると、おれたちの画像が小さなワイプになり、おめかしした全身図が大写しにされる。変身後の《月華の女王》姿も横に映されており、アニメやなんかの解説っぽい雰囲気になっていた。


「あまねちゃんやね。変身したあまねちゃんな強かしかっこよかね」

「美人、です!」


 三々五々、好き勝手なことを言いながら皆で突き詰めた設定を語っていくの今日の流れだ。解説役をハッキリ決めてないから雑談っぽくなるし、最終的には環ちゃんがフォローを入れてくれる予定なので言い忘れとかそういうのも心配いらないはずだ。

 

「あまねはサキュバスが進化したユニーク個体だな。普段の幼い姿は魔力消費を抑えるためのものだ」

「あまねさん、そこまで魔力枯渇することないですけどね。祓魔系の仕事もほとんど断ってますし」


 鋭いツッコミは葵ちゃんからだ。

 確かに土御門さんや三条さんから色々お願いされたことを断りまくっているのでなかなか言い返せない。

 いや、だってもう夏の件で充分お金稼いでるし!

 あと一生分の危険を冒したってくらい危ない目にも合ってるし!

 クリスやリアなどの異世界戦える組や、柚希ちゃんや葵ちゃんなどのもともと戦える人たちは意外と乗り気だったりするんだけれども、おれがみんなを危険に晒したくないので断り続けているのが現状だ。


「あまねおねえさまの場合は、エネルギーは過剰なまでに溜めてますよね。夜の――」


 リアから危ない発言が飛び出しそうになったところで、環ちゃんがカットインした。とりあえず口を平手で塞ぎ、


「まぁあまねさんはサキュバスですからね! どんなことをしているかはご想像にお任せします! この配信は健全ですから! 健全ですからね!」

「……嘘の匂いが……ひゃぁ!?」


 ルルちゃんもちょっと微妙な発言しているけれどもお口にチャックだ。

 尻尾でルルちゃんをつんつんして発言を止める。

 というか口塞ぐのにスッパァン! ってメチャクチャ良い音させてたけど痛くないのかな……?

 いやなんかリアはうっとりしてるし良いのかな。

 うん、良いってことにしとこう。


「次はクリスちゃんやなぁ」

「クリス! 言わずと知れた元勇者! かっこいいだろー?」

「今は自宅警備員だ」


 何故か堂々と宣言するクリスだけれど、自宅警備員って俗語なの分かってるのかなぁ。クリスのことだから分かってても別に恥ずかしいとは思わないんだろうけども。

 話題がおれからクリスに切り替わったので、ここぞとばかりに自慢する。

 なんたってクリスはおれのお嫁さんだからね!

 ふんす、と鼻息も荒く色々クリスの魅力を紹介したいところだけども、おれだけが独占しておきたい気持ちもあって困る。自慢したいような秘密にしておきたいような……。


「まぁクリスさんはチーズとあまねさんが大好きって思っておけばだいたい問題ないです」

「ある」


 ざっくり纏めようとした環ちゃんに、まさかのクリス本人から待ったが掛かった。

 あれー? 台本から外れてるような……?


「正妻」

「あっ」


 誇らしげな顔で告げた言葉に、コメント欄が沸く。


『【¥50000】これは捗る』『てぇてぇ』『【¥10000】顔赤くしてるあまねたすかる』『これはwww』『【¥5000】今のアドリブだろwww』『皆してびっくりしたあと納得してるの草』『てぇてぇ』『【¥2525】最高』『公式で百合ん百合んしてるのか』『是非ともそっちの話も』『っていうかさっきのリアたそのセリフって・・・www』『あまねは顔に出やすくてたすかる』


 おあ!?

 危ない方向に進もうとしてる!?


「け、健全! この配信は健全だから! 次いこう次!」

「次はうちやね!」


 ピースサインの柚希ちゃんが映し出されるが、その装いはいつものニット系爆乳美少女ではない。

 巫女服にお札、ついでにアルマが合成した二次元のキツネっぽい絵が背景になっている。


「何を隠そう、柚希ちゃんは飯綱使いだからね。管狐とか召喚したりして、実は強いんだよ!」

「夏に投稿した川遊びの配信を見てもらえれば分かると思いますが……さりげなく脳筋だったりします」


 夏ごろに攻撃されてあえなく撃沈した環ちゃんがちょっと遠い目をしている。

 いやまぁ、魔力がない人じゃどう頑張っても太刀打ちできないよね。普通に強いもん。


『巫女服とんでもないことになってるwww』『これは血流改善』『1000万回スクショした』『【¥50000】ごちそうさまです』『てぇてぇ』『改めてみるとデカいな・・・』『【¥50000】いのりがつうじた』『これは捗る』『なんでさっき満額スパチャしたんだよ俺の馬鹿』『てぇてぇ』


「おー! 応援ありがとうね! 頑張るけんよろしゅう!」

「はい次ー。ルルちゃん、一歩前へ」

「前へ、です!」


 緊張した雰囲気のルルちゃんが前に出るが、その時点でコメント欄は『可愛い』と『てぇてぇ』の嵐である。


「る、ルルはコリーニョ族、なのです! でも毎日お風呂入ってるし汚くないのです! 嫌わないで欲しいのです!」


 ルルちゃんは他の人とは違って自分で紹介していくスタイルだ。

 過去に種族的な意味で辛い目に遭ったのでどうかとも思ったけれど、ルルちゃん自身が吹っ切るためにも頑張りたいと言ってきたのだ。

 不安そうにカメラを見ながら自己紹介する姿にぐっと来たのか、環ちゃんが抱きしめて頭をなでりこしていた。


「誰も嫌わないから大丈夫ですよー。ほら、コメント欄見てください。陰キャバスの皆さんもルルちゃんを応援してくれてますよ?」

「ほ、ホントです!? ありがとうございま……す……?」


 嬉しそうにぴょんぴょんしたルルちゃんは一転、首を傾げる。


「hshs、って、何です? あと、prprもわからないです」

「あまねさん、どういう意味ですかね?」

「ヴェッ?! 俺!? ……応援してるって意味かな。広義だと」


 環ちゃんからのキラーパスが飛んできたので気合で誤魔化す。っていうか誤魔化しようがないじゃんコレ。何でおれに解説を求めるかなぁ。


「応援、です! ありがと、です!」


 まぁルルちゃんが嬉しそうだから良いか。


「次は私ですね!」


 最近は地雷系ゆるふわメイクが定着してきた環ちゃんが胸を張る。ここはしっかり台本があるので、皆で決められたセリフを呟いていく。


「問題児」

「トラブルメーカーやね」

「くろまく、です?」

「配信テロの首謀者ですわ」

「環さんは配信外でもあんな感じですけどね……」


『やっぱりそういう認識なのかwww』『【¥10000】次のテロ資金に』『ルルたそwww演技可愛いwww』『ルルたそprpr』『【¥2000】配信外でもやってるの草』『まぁたまきらしいよな……』


「まぁでも、このチャンネルの企画とかを考えてくれたりするのは環ちゃんだし、プイッターも半分以上管理してくれてるのも環ちゃんだね」

「あ、あまねさん……! 分かってくれてたんですね!」


 茶番だけども、環ちゃんが涙ぐんだような仕草を見せて、それから良い笑顔でおれの肩に手を置く。


「分かってくれて嬉しいので、これからも全力で理解らせてあげますね!」

「ヴォッ!?」


『草』『ブレないのホント好きwww』『【¥4545】びっくり顔のあまね可愛い』『【¥1919】ホントにびっくりしてるの草』『てぇてぇ』『次のテロマダー?』『怯えてるあまねたんhshs』『あまねはフォローしてるのにwww』『だから皆から黒幕とか言われるんだよwww』『草』


 た、環ちゃん!?

 カメラに映らない位置で突然服の中に手を入れるのはやめようよ!?

 そりゃびっくりするに決まってるじゃん!

 後で聞いたら「あまねさんの台詞に演技っぽさが出ないように配慮した結果です」とのことだったけれどもホントの本気でびっくりしたよ!

 ……これで魔力回復するの、マジで納得いかない……!

 と微妙な表情を浮かべていたら何故か別窓がおれのアップになっていた。

 環ちゃん……ホントにブレないね君は……。


「「「「「「(ビクンビクン)」」」」」」」


「……引き分け、と言ったところでしょうか。フフフ……ご奉仕し放題(ノーガード)のお嬢様方がこんなにも……! このアルマの本気が試されているということですか。良いでしょう、満足させてさしあげますっ!」


「「「「「「(ビクンビクン)」」」」」」」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆別作品
「実は最強なFランク底辺職の死霊術師は今日もおっぱいに埋まる。」
カクヨムにて毎日更新中の新作です!こちらもぜひ応援よろしくお願いします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ