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◆001 プロローグ

「ついに! ついに第三部が始まるぞ!」

「ああ、そうだな」

「やっとやねぇ」

「びそく? ぜんしん? よーそろー? です!」

「……微速?」

「あー……なんか、作者忙しいらしいですよ?」

「書きたかもんが多すぎるんと実生活が忙しか~! って言いよったね」

「なんかツッコミ辛い理由だ……」

「こればっかりはしょうがなか。気長に待っとって欲しかねぇ」

「ぐっ! 大らか光属性……!」


 栃木県某所にある、自然豊かな森の中。さんさんと降り注ぐ柔らかい秋の日差しを、生い茂る木々の枝葉が優しく受け止めてくれている。

 夏の一件から二か月弱。九月も終わろうという時期に差し掛かり、俺たちは暇を持て余していた。

 何しろ配信ができない。

 どっかに観光に行くのも大所帯だと目立ってしまうし、仮にも活動休止を謳っておきながら全国津々浦々で観光してるのを目撃されてしまったら元も子もないのだ。

 仕方ないので外出は必要最低限。代わりに昼間はレジャーやらアウトドアをして、夜は運動会をしていたんだけども、さすがに昼の部はネタ切れである。

 夜?

 気付けば朝になるくらい熱中してるので何も問題ないね!

 いやまぁ熱中してるというか、気付いたら意識を失ってて朝になってることもあるんだけども。熱中しだすと止まらなくなるケダモノが多いんだよ……。

 元勇者にしておれの奥さんのクリスに、ロップイヤーうさ耳獣人のルルちゃん、ぽんこつ爆乳光属性にして博多弁飯綱使いの柚希ちゃん。

 最近はちょい甘の地雷系メイクに嵌っているドS才媛の環ちゃんに、その環ちゃんによって引きずり込まれたリアと元男の娘で夏の一件でTSした葵ちゃん。

 さらにはでろでろになるまで全員を甘やかそうとする魔乳自動人形のアルマまでがいるのだ。

 みんな揃ってアイドルすら真っ青になる美貌の持ち主である。

 いわんや、皆揃ってをや。(反語)

 こんな最高級ハーレムが形成されてしまったら、寝食も忘れて夜の運動会ガチ勢になってしまうのも致し方ないというものである。いやまぁ改めて考えてみるとめちゃんこ濃ゆいけども。

 ベッドの中に引きこもり続けるのはあんまりにも不健康なので週に一回か二回はこうして外でご飯にすることにしているんだけどね。

 おれが見つけたベストスポットであるここは、外での食事だけでなくちょっとした秘密基地っぽく手入れがされている。

 前室付きの大型テントやら難燃素材のタープ、自立式のハンモックにアウトドアチェアと買い込んだものが並んでいる。

 さすがに人数が増えたこともあってバーベキューグリルは買い足したけども、今はそのパーティー用グリルをフル稼働させて、皆でブランチを作っていた。

 美味しそうな匂いと煙が漂い、おれの胃袋をめちゃくちゃに刺激する。


「リア、そっちをお願いします」

「かしこまりましたわぁお姉さま」

「く、クリスさま! ち、チーズが! チーズが溢れそうなのですっ!」

「大丈夫だ、問題ない」

「んー、良か匂い! あれ? 葵ちゃんなどこさ行ったと?」

「さっき兄貴を呼びに行くって言ってたんで、もうすぐ戻ってくると思いますよ」

「さぁ、あまねお嬢様。アルマ謹製、お腹に優しいあったかゴマ豆乳スムージーだったものです」

「ぐぅっ! 俺も食べたい! っていうか、『だったもの』って何!?」

「だいたい分解しましたので、消化不良を起こす原因や味や匂いは完全に取り除いております」


 味とか匂いまで分解したらただのドロドロした水じゃん!

 絶対美味しくないよ!?

 皆でワイワイしながら用意しているのはバゲットサンド。それも、夏野菜のグリルと自家製ベーコンを柚希ちゃんが焼いてくれたミニバゲットに挟むという豪華な逸品だ。

 にも関わらず、おれの目の前で湯気を立てているのは環ちゃんを主としている爆乳自動人形のアルマが作った『ゴマ豆乳のホットスムージーだったもの』だけである。

 理由は単純。


「クリスぅ……!」

「駄目。絶対お腹壊す」

「あまねちゃんな一昨日からお水以外口に入れとらんもんね。胃がびっくりしてしまうけん我慢せな」

「ぐぅぅぅ……! 食べたいー!」


 駄々をこねてみるけれどもクリスに捕まり、抱っこと捕獲の中間くらいの状態で固定されてしまった。仕方ないのでアルマが差し出してくれたホットスムージーをじゅるると飲む。

 うん。

 アルマが言ってた通り無味無臭。

 なんかとろみのついた水? みたいな感じ。栄養はあるんだろうけどおれが食べたいのはこれじゃない!

 丁度葵ちゃんも大悟を連れて戻ってきたので俺以外の皆で手を合わせていただきますだ。

 なんで!? なんで片手でちょっと持たれてるだけなのにおれは動けないの!?

 ……解せぬ。


「っていうかスムージーって食べ物より飲み物に近いじゃんか! おれだけブランチがスムージーなんて女子みたいじゃん!」


 おれの言葉に、バゲットサンドをもぐもぐしていた葵ちゃんが首を傾げる。


「みたいっていうか……あまねさん、女の子そのものですよね?」

「うぐっ……! こ、心は男だし!」

「あまねお嬢様、安心してくださいませ。このアルマの精査ではまごうことなく健康的なサキュバスです」

「あー! あーっ! 聞こえないー!」

「あまね、うるさい」


 尊厳を守ろうとしただけなのにクリスに叱られた。

 見れば、チーズの隙間からバゲットらしきものの破片がはみ出している謎の物体を美味しそうに食べていた。どうやらそれを堪能するのに邪魔だと判断されたらしい。

 おれのプライドよりチーズですか……ぐすん。


「サキュバスでもあまねちゃんな愛らしかけん良かばい」

「良くない、良くないぞ……!」


 そう、認めたくないのだが、今のおれはサキュバスだ。

 大学の後輩である大悟とともに自動車事故に遭って、死んだと思ったらサキュバスになっていた。何を言ってるか分からないと思うけどおれもさっぱり分からない。

 とにかく、俺は見た目年齢が十二歳くらいのロリサキュバスになった。月光みたいなさらさらの銀髪に、宝石みたいな深い紫の瞳。うっかりするとおれ自身でも見惚れてしまうくらいに美人だとは思う。


 だ・け・ど!


 こんな可愛い女の子たちに囲まれて、夜の運動会ではリレーのアンカーみたいにちやほやされてるのに!

 おれの股間からは妖刀ムラマサが家出してしまっているのだ。夏頃になんとか取り戻そうと奔走したものの、結果は駄目。それどころか、巻き込まれた事件で亡くなった人も出てしまい、変に目立ったおれたちは趣味&職業にしていた配信活動もストップすることになってしまったのだ。

 ちなみにおれが三日も碌にものを食べていないのは、夜の運動会で補給する精気がメインのエネルギーで、食べ物なんてほとんど必要ないからである。

 まぁ、そのせいでたまに食べると調子悪くなることの方が多いのは確かなんだけども。

 はぁ……。


「な、慣れてきたら、きっと食べれる、です!」

「ああルルちゃん可愛い」


 ロップイヤーうさ耳をぴこぴこしながら上目遣いにおれを心配するルルちゃんが可愛いので頭をなでりこしてあげる。ぱぁっと花が咲いたような笑みは見ているおれまで癒してくれる。

 近くにいたリアが何故か物欲しそうに指を咥えて環ちゃんを見てるけども、環ちゃんはそういうアピールで甘やかしてくれたりはしないでしょ。

 いや、むしろこういうアピールをしてイジメられるのが目的……?

 益体もないことを考えながら皆が美味しそうにバゲットサンドをもぐもぐするのを眺める。

 柚希ちゃんはニコニコしながら頬張っている。ラップで軽く巻いているのはバゲットのかすが落ちるのを防止するためだろう。もし食べこぼしたりすると、大きすぎる胸に全部かかっちゃうもんね。

 頼まれればおれが全部除去してあげるのに!

 環ちゃんはにまにましながらおれやリアのことを眺めつつパクついていて、葵ちゃんはそんな環ちゃんにチラチラ視線を向けつつも、ほぼ空気と化している大悟と何やら楽しそうに話をしていた。

 片手でおれをがっちり固定しているクリスは、さっきも言った通りチーズの塊にバゲットらしきものが埋まっている謎の物体を美味しそうにつついている。さすがに手持ちで食べることはできないのでスキレットに盛られたそれをアウトドア用の先割れスプーンでうまいことまとめながら口に運んでいた。

 長いまつ毛に、ちょっと冷めたような雰囲気の瞳。深みのあるワインレッドの髪が柔らかな陽光を受けて輝いている姿は、女神様か戦乙女である。

 ……チーズで台無しだけど。


「どうした?」

「いや、綺麗だなーと思って」

「そうか」


 無表情なままだが、視線に少しだけ喜色が混じったのを感じる。嬉しそうなクリスを見て、おれの頬も自然とほころぶ。


「こほんっ」

「ん? 環ちゃん? どうしたの?」

「お二人の世界に入っているようですが、私たちには何か言うことはありませんか?」


 視線を向けてみれば、何故か環ちゃんがおれをじっと見つめていた。柚希ちゃんもささっと前髪を整えている。

 ああもう、可愛いなぁ!


「二人とも――ううん、みんな綺麗だし可愛いよ!」

「あ、あまね様も! あまね様も可愛いし綺麗だしかっこいいし素敵です!」


 全肯定少女ルルちゃんがふんすと両手を拳の形にして力説してくれたので、追加でなでりこしてあげる。

 それから、良い子にはご褒美もあげないといけない。

 と言ってもクリスに固定されているのでおれにできることといえばこのくらいだ。

 ぽふんっ。

 隠していた尻尾と角、翼をだすと、先っぽがとんがった尻尾でルルちゃんの太腿に絡みつく。


「ひゃわっ!? し、尻尾さん!?」

「尻尾も褒められて喜んでるんだよきっと」

「そ、それはどういたしまし――ひぃんっ! あっ、コラ! 駄目なのです!」


 俺の尻尾が自律稼働すると信じているルルちゃんは身を捩って逃げながら尻尾にお説教しようとする。

 甘いね。

 おれの尻尾はそんな動きでは捕まえられない。

 夜な夜な運動会でファインプレーをしてくれているのは伊達ではないのだ!

 いや、根元は弱いから諸刃の剣でもあるんだけども。

 そんなことを考えているとチーズ塊を食べ終えたらしいクリスが、おれを掴む力を強めた。


「あまね。……何か嬉しそう?」

「あまねおねえさまもついにこちら側へ……!?」

「違いますよー。いや、違わないかもしれないですけど、今のあまねさんはきっとクリスさんの胸がちょっと当たってるのが嬉しいんだと思います」

「ななな、なんのことだか!? さっぱり分からないよよよよよよ?」


 環ちゃん、何で心読めるの!?

 必死に誤魔化そうとするが、クリスがぎゅっとしてくれた。サービス精神満点すぎだが満足なので問題ない。

 クリスの柔らかな感触に、魔力がじわっと回復してる……!

 ホットスムージーだけじゃ物足りなかった身体に染みわたるぜ!

 はふう、と人心地ついていたら、


「残りは夜。覚悟しといて」

「ヴェッ?! 何で?!」

「私じゃなくてルルにちょっかい出したから」

「だってクリスはチーズに夢中――」

「言い訳無用」


 誰かに助けてもらおうと見回すと、環ちゃんがすっごい良い笑顔で頷いてたのとリアが羨ましそうに指を咥えているのが見えた。

 チクショー!

 味方ァ! おれに味方はいないのかっ!?


「んで、実際のところ更新は週一? 月一? 年一?」

「年一って……さすがに週一くらいで更新したいみたいですよ?」

「いや、この作者って一話目と二話目のあとに五年空けたりするじゃん」

「週一、ぷらす、あるふぁー? です!」

「ルルちゃんが変な電波受信してる」

「っていうか+αって何?」

「書けたら書く、みたいなやつじゃないっすか? 素直にストック増やせばいいのに」

「書いたら投稿したくなるんじゃない? おれも撮影したら投稿したくなるし!」

「計画性って言葉知らないんですかね……環さんみたいに、とはいかずとももう少し脳味噌使えば良いのに」

「()」

「葵、あまねがダメージ受けてる」

「ああいえ、作者のことです」

「……どうせおれは作者レベルですよーだ」

「いじけた」

「いじけましたね」

「いじけとーね」

「元気づけてあげましょう! 夜に!」

「……それは環ちゃんの願望込みでしょ!?」

「WIN-WINじゃないですかー。それとも、今夜はやめときます?」

「ちくしょー! 頭良い奴はそうやってすぐ手のひらで転がそうとしてきやがる!」

「なにはともあれ、第三部開始です」

「応援お願いします、です!」

「感想や評価もよしなに頼む」

「別作品も書いとーごたーけん(てるみたいだから)そっちもよろしゅうね!」」


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◆別作品
「実は最強なFランク底辺職の死霊術師は今日もおっぱいに埋まる。」
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