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”どこにでもいる普通の高校生”詐欺

今回、後半部分の説明がめんどくさければさらっと斜め読みして、あとがきだけ読んだ方が分かりやすいかもです。

俺たちの手元には、抽選券と書かれた四枚の紙きれがある。


スーパーで会計した際、レジパートのオバちゃんから渡された代物だ。


「抽選開始日は一週間後の正午からか」

「景品は結構豪華だよ! 一等は温泉旅館にペアで招待。しかも交通費も出るみたい!」


渚は興奮してるようだが、それは取らぬ狸の何とやらだ。

そうそう簡単に一等が当たる訳ないだろ。


「兄さんは運がいいし、一等を狙えないかな?」

「まあ、確かに人より運はいい方だとは思うけど……そうそう上手くいかないだろ」


いつぞやのTVゲーム対決でも触れたが、俺はほんの少しだけ(・・・・・・・)他人より運がいい。


繰り返すが、あくまで“ほんの少し”だ。

非合法ギャンブルに挑んで躊躇いなく自分の命を賭けれるような、あるいはカードバトルで大ピンチの時に都合よく欲しいカードを引けるような、主人公補正に満ち溢れた運の良さなんかじゃない。


せいぜいソーシャルゲームとかで、確率1%のSSRキャラを引く場合、確率が2%に上がる程度の運の良さだ。


そんな訳で、予知夢と運気上昇なんていう力を持っている割に、あまりに性能が微妙すぎて『どこにでもいる普通の高校生』を名乗っても恥ずかしくないと思っている俺は、せいぜい『残念賞の箱ティッシュは、家計が浮いてありがたいな』程度のことを考えていた。






明けて翌日朝。


「渚クン、おはよー」

「おはよう、渚君。一緒に学校行こう?」

「ちょっと、私が先に渚君と一緒に登校する約束してたのよ」

「まあまあ、喧嘩しないで。みんなで仲良く登校しようよ」


渚は今日は男の姿で登校していた。

これは俺が頼みこんだことだ。


その理由は……。


「あ、湊音兄(みなとあに)、おはよー」

「出やがったな、スピーカー。一応挨拶だけはしとくわ。おはよう」


昨日、この女が余計なことをしてくれやがったせいだ。


「お前が俺の方に来るなんて珍しいな。いつもなら渚の方に行くだろ」


と、少し離れたところを歩く、長身イケメンを顎で指し示す。


「そりゃそうよ。昨日ははぐらかされたけど、あんたがスーパーで一緒に居た女の子の事、根掘り葉掘り聞かせてもらったうえで拡散しなきゃ気が済まないわ」


言ってスマホを取り出し、画面を突き付けるスピーカー。

そこに映っていたのは、俺と女の子バージョンの渚が並んで買い物をしている画像だった。


そう。

渚が性別を変える際、俺以外の人間に、ええと……認識阻害とでも言えばいいのか? とにかく妙な力が働くんだよ。


現状を例に考えてみよう。


まず、スピーカーは昨日、俺と渚(♀)に会って、写メを撮ったうえでラインで拡散しやがった。

この時点でこの猫目ショートヘアー(スピーカー)女は、渚=生まれついての女の子で、俺の双子の妹と認識していた。


しかし、今現在、渚は男の姿になっている。

この状況において、スピーカーを含めた俺(と渚)以外の人間は、渚=最初から男であり、俺の双子の弟として認識するようになる。

加えて、女の子としての渚に関わるすべての情報が、俺以外の人間の記憶から消えてしまう。


結果、記録媒体(写メ)に映るワンピース姿の少女を見ても、渚であることを認識できず『誰これ?』となる訳だ。


そうそう。ラインに謎の少女の正体が、

『湊音ツインズがスーパーで買い物中。渚ちゃんのおめかしした恰好を見る限り、兄妹でデートした帰りの模様』

と、スピーカーが自ら写真を添えて書いているにも関わらず、渚の性別変更に伴って発生した矛盾が気にならなくなるというオマケつきだ。


で、今回渚に男に戻ってもらったのは、これが関係してくる。


双子なのはさておき、俺が『学校のアイドルである渚(♀)とデートしていた』という事実より、『どこの誰か分からないけど、可愛い女の子とデートしていた』と認識された方が、まだ風当りが弱いと判断したからだ。


まあ、渚が再び女の子になれば、スピーカーたちの認識は改めて『俺と渚(♀)がデートしていた』という風に戻ってしまうから、一時的な時間稼ぎに過ぎないけどな。


「あー。その子は従妹(いとこ)沙凪(さなぎ)ちゃんだよ。用事があってウチに泊まったから買い出しに付き合わせただけだ」


いま男になっている渚が、さらに性別を女→男と変えれば、従妹の沙凪ちゃんなる人物のことはどうせ忘れてしまう(・・・・・・)のだからと、適当な存在をでっち上げる俺。


……この部分は一度にあれこれ説明しても、ややこしくなるだけだろうから、続きはまた今度にでも。


「ほら。そういう訳だから、納得したならさっさと渚ハーレムに加わりに行けよ」

「んー、今日はアンタと登校するわ。弟の方は沢山の女の子に囲まれて歩いてるのに、兄貴が一人寂しく登校ってのはかわいそうだからね。たまには慈善事業でもしてあげないと」

「はっ、言ってろ。俺から沙凪ちゃんの情報を得て、他の連中に広める気がマンマンなくせに」


●色々細かく書きましたが、分かりづらかったりめんどくさかったりしたら、


<周囲の認識>

渚が男の時:渚は生まれた時から男で、女の渚は最初から存在しないことになっている。

渚が女の時:渚は生まれた時から女で、男の渚は最初から存在しないことになっている。

記録媒体などの明らかな矛盾は『だってゆでだから』ぐらいの認識になって気にならなくなる。


程度にふわっと考えていいと思います。


●FG〇で☆5鯖の確率が1%→2%になったらどれほど有難いか(血涙)

……なんて人には兄一の運の良さは超チート。


●登校時の渚(♂)の描写に「ん?」と思った方もいるかもしれませんが、そこいら辺の説明は次回します。


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