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湊音さんちの今日のご飯

知人に、『これ普通のラブコメだったらもっとポイント稼げるんじゃね?』と言われました。


だから私は言いました。『私はポイントが欲しくて書いてるんじゃない。TSラブコメを書きたいから書いてるんだ』と。


それはそれとしてポイントは励みになるので、作品を気に入っていただけたらブックマークや評価していただけたら幸いです(台無し感)


そして今日も更新を休む休む詐欺。


時間は進んで現在夕食中。


「ところでアルバイトの話だったっけか?」


色々とトラブルがあったものの、それを無理やり忘却の彼方にうっちゃって話題を何とか最初のものに戻す。


左手人差し指に巻かれた傷テープが目に入る度に沸き上がる情動を、邪気眼よろしく気合を入れて鎮める。


「そうそう。兄さんにアルバイトを紹介しようと思ったんだよ。一日で終わる内容だけど、どうかな?」

「ああ。激短(げきたん)だからお前も反対しないのか。んで、いつだ?」

「明日」


早えな、オイ。


「つうかテスト勉強の真っ最中なんだけど」

「だからだよ。そのアルバイトはきっと兄さんの息抜きになるはずだからさ」


アルバイトで息抜きって何だよ?

勉強ができない以上、ただ座ってるだけの仕事でも焦燥感に駆られると思うんだが。


「雇い主は僕。仕事内容は明日一日、()の僕とデートすることだよ」

「ブーッ……げはっ、ゴホッ……逆援助交際かよ!? ……あ、わ、悪い」


思わず口に含んでた味噌汁を吹き出し、向かいの席に座る渚の顔にかけてしまう。


……あの、渚さん。人が飛ばした味噌汁の具を、美味しそうに食べるのやめてくれませんか?

いやまあ、確かに勿体ないって言えば勿体ないんだろうけどさ。


「ちなみに理由だけど、実は最近困ったことがあってさ」


そこのお嬢さん。顔についた味噌汁をハンカチで拭き取るのはいいとして、それを絞って自分のお椀入れるのは止めてくれませんか?

何なの? 飲むの? 俺の吹き出した味噌汁をハンカチで()して飲むの?


「女の僕に告白してきた人がいるんだけど、何回断っても諦めてくれないんだよ……ちょっと兄さん、聞いてる?」

「ああ。そいつをブチ殺せばいいんだろ?」


確か金属バットが倉庫にあったはずだな。


あるいはストーカー野郎の顔写真でも撮って、学校の男連中にバラまくか?

ヤツ等なら喜々として『殺しにいこうぜーっ。粛清だーっ』とか言いながら始末(バラ)してくれるだろ。


「ち、違うよ。そうじゃなくて!」


何故か渚はやたら慌てて、俺のナイスアイディアを却下する。


「あまりにもしつこかったから『僕には付き合ってる彼氏がいる』って言ったんだ」

「……なるほど、つまりストーカー野郎の他に、その彼氏とやらも始末すればいいんだな?」


渚に彼氏だと?

何この強烈なNTR(ネトラレ)感。


俺の纏った空気が変わったことを察したのか、渚が口を三日月にし、ニヤリとした笑みを浮かべる。


「あれ? 兄さん。もしかして嫉妬してるの?」

「してるに決まってるだろ!」

「あ、そ、そうなんだ……たまに兄さんが不意打ちで嬉しい事を言ってくれるのって……ズルいよ、もう……」


思わず本音を叫んでしまった俺。

それを見た渚が箸を放り出し、下を向きながら人差し指同士をつんつんと合わせ、何やら言ってるが、こちらはそれどころじゃない。


渚の彼氏とやら……後ついでにストーカー野郎を、どうやって始末するか考えていたからだ。

やっぱりここは十七分割ぐらいにバラバラにしてやるべきか。


……って、いやいや。さっきからおかしいぞ俺。落ち着け落ち着け。

俺は別に渚の彼氏でも何でもないから、嫉妬するのは間違ってるだろ。


むしろ女の子状態の渚が、男をそういう対象で見ていることに喜ぶべき……ってチガウソウジャナクテ……ああっ、もうっ!


「……あの、兄さん。テーブルに頭をガンガン叩きつけているところ悪いんだけど、話を進めて……と言うか戻してもいいかな?」


渚がさっきまで雌の(かお)をしてたような気がするが、気のせいだったか。

あるいは取り乱した俺を見ているうちに、逆に冷静になったんだろうか。


「ああ、もちろん僕に彼氏がいるっていうのは、告白を断るための嘘だよ」

「本当か! いやまあ、もちろん俺は嘘だって最初から分かってたけどな」

「ふふっ……それで、告白してきた人は、僕に彼氏がいるって言っても信じてくれなくて、『証拠をみせろ。それもただ彼氏を紹介するんじゃなく、デートをして仲がいいところを見ないと信じない』って言ってるんだよ」


なるほど、話が見えてきた。

それで俺に彼氏役を頼みたいってことか。


「で、いくらだ? いくら出せばお前の彼氏役をやらせてくれるんだ……ハッ!? だ、だから俺は彼氏役をやりたい訳じゃなく、弟……妹? が困ってるから仕方なく手を貸してやるのはやぶさかじゃないと言うか……」

「あ! じゃあ彼氏役を引き受けてくれるって訳だね!? ありがとう。早速だけど、明日の午前11時に、この前も待ち合わせした広場でいいよね?」

「お、おう」


かぶり気味に身を乗り出してきた渚。

コイツ、それほどストーカー野郎に迷惑してたんだな。


まあ、渚はバイトって言ってたけど、困ってるコイツを助けるのは当然であって、金を受け取って“仕事”にする訳にはいかないよな。


何はともあれ、立派に彼氏役を演じるためにも、明日のデートコースを下調べしておきますか。


自分で書いててなんだけど『コイツ等さっさとくっつけよ』と思う。

でもくっついたらくっついたで話が終わって、ノクターンでしか書けなくなる……。


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