表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/54

6 新しい乗り物って、何だよ

 シャロンのしの強さに負けたらしい売り子が、苦笑して品物を葉っぱでつつんで渡している。それを受け取ったシャロンは、キラキラと虹色にじいろに光るカードを差し出した。

 それを見て、頼みもしないのにまた元子が教えてくれた。

黒田星商くろだせいしょうの幹部社員だけが持っているレインボーカードよ。あのカードがあれば宇宙船だって買えるわ」

「そんなセレブが、なんで土産物みやげもの値切ねぎるんだよ」

 元子は肩をすくめた。

「お金持ちって、そういうものじゃないの?」

 そこへほほを少し上気じょうきさせたシャロンが戻って来た。

「前から、欲しかた、木彫きぼりの根付ねつけ、ゲット、しましたです」

 どうして、日本語だけカタコトなんだよ! おかしいだろ!

(ちなみに、おれのとぼしい知識だが、根付とは、江戸時代の携帯ストラップみたいなものだ。むろん、江戸時代に携帯はないから、実際には、印籠いんろうなんかに付けていたらしい)

 シャロンが追いついたところで、メイメイは、「では、参りましょう」と先に歩き始めた。

「行くって、歩いていくのか? あ、まさか、またメイメイたちにおんぶしてもらうのか?」

 横を歩いていた元子が、ハハッというような豪快ごうかいな笑い方をした。

「心配しなくていいわ。あれから荒川さんたちが頑張がんばって、いいものをつくったから」

 イヤな予感がする。そして、おれのイヤな予感は、大抵たいてい当たるのだ。

 売店の先に、【モノレール乗り場】という表示が出ている。前回のリフトから考えて、どんなモノレールなのか、想像するだに恐ろしい。

 先に出ていたメイメイが、「こちらからお入りください」と木のさくを開け、乗り場の中へみちびいた。

 そこにあるのは、一人乗りのトロッコのような箱を、何両か連結した乗り物だった。下に細い枝の表面をツルツルにみがき上げた、I字型のレールがあり、それをトロッコの木製の車輪が左右からはさんでいる。しかも、前方にびるレールは、何故なぜか、一旦上昇し、その後、急降下きゅうこうかしている。

 これは、まさに……。

「ジェットコースターじゃないか!」

 メイメイは心外しんがいそうに、「いえいえ、モノレールですよ」と言い張った。

 今さら言うまでもないが、おれは高所恐怖症なのだ。

「おれは、イヤだ。絶対イヤだ。ジェットコースターに乗るぐらいなら、死んだ方がマシだ!」

 元子はニッと笑い、「じゃ、死ぬ気で頑張がんばってね」と言って、一番前の席に座った。

「わたし、コワイから、元子さん、後ろ、座りまーす」

 シャロンはそう言いながら、おれに向かって小声で「サッサと乗んなきゃ、置いてくよ」とささやいた。

 見かねたメイメイが、「なんでしたら、わたくしがっこして、お乗せしましょうか?」と言ってくれた。

 何ということだ。考えたら、おれ以外、全員女性じゃないか。ここで、ビビッていては、田舎いなかのじっちゃんがよく言っていたように、男がすたる、というものだ。

 ええい、もう、やるしかない!

「い、いや、大丈夫だ。ちゃんと、一人で乗るよ」

 おれはシャロンの次に乗り、メイメイは一番後ろに乗った。

 メイメイが、みんなに聞こえるよう少し大きめの声で、乗車の際の注意を始めた。

「各車両にオランチュラの糸をんだシートベルトが二本あります。短い方は腰回り、長い方は肩からななめにけてください。走行中は、車両前方にある水平の手すりを、両手でしっかり握ってください。もちろん手をはなしたところで、Gは足の方向にかかるので、止まらない限り落ちることはありませんが、万が一のためです」

 おれは、シートベルトをがっちり掛け、ギューッと手すりをにぎった。手汗てあせがハンパない。すべらぬよう、手のひらをズボンでこすり、もう一度握りなおした。

「皆さま、ご準備、よろしいでしょうか?」

「いいわよ」

「オッケーでーす」

「……」もはや言葉も出ない。

「それでは、出発いたしまーす!」

 メイメイが片手を高く上げ、振り下ろすと同時に、モノレールは動き始めた。

 ギリッギリッと音がしているのは、前方からロープで牽引けんいんしているからのようだ。進むにつれ、どんどん傾斜けいしゃが上がっていく。一旦、頂点ちょうてんまで引っ張り上げて、後はその落差らくさによって前進する仕組しくみのようだ。

 まんま、ジェットコースターだよ!

 おれは、手汗どころか、全身から汗がき出してきた。

 ついに、頂点にたっし、下り始めると、レールの先がどうなっているかがハッキリ見えた。

 えっ、ええっ、どうして、左右にカーブしたり、スパイラルしたりしてるんだよー!

「ひえええええええ~っ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ