【番外編】王妃殿下は未来へ行く
時空魔法で未来の事を知れたとしても、これから起こる出来事を変えるってのは無理な事が分かった。
過去に行けば未来に干渉出来るかもしれないけど、高々怒られる事を阻止するためだけにリスキーな事する勇気はちょっとないわ。
時空魔法を黙ってた事を許してもらう条件として、ロナウドに時空魔法を体験させてあげることになった。
てか「ではロナウド陛下も未来へ行ってみますか?」というリリーちゃんの一言で、嘘のように機嫌が直った。
という訳で、そのタイムトラベルに私も連れて行ってもらう。
向かうのは十年後。
未来の私達に会うのかぁ、楽しみだなぁ!
ロナウドもワクテカが止まらないようだ。
「では、これから時空魔法を使います。
メトロノームが五回鳴ると、十年後になります。
私達も十年後は行ったことがないので、行った先がどのような様子かは分かりません」
メトロノームが鳴り始める。
5、4、3、2、1……
五回鳴ったけど、さっきと何も変わってない。
「十年後へようこそ」
横から声が聞こえたので、振り向く。
そこには、今より大人っぽくなったリリーちゃんとローズさん、そしてロナウドがいた。
わあああ!
すごい、すごいよ!
リリーちゃん、随分と色っぽくなっちゃって!
ローズさん、髪型変えて妖艶な雰囲気満載だ!
ロナウドは貫禄が着いて、めっちゃカッコイイ!
十年後ってみんなこんな感じになるんだァ!
で、私はどこ?
「フラン様は欠席です」
何でよぉ!?
「フランは今、絶対ここに来られない用事があるんだ。
俺もフランに付き添おうかと思ったけど、ここの事を任されたからな」
えぇーーーー……
何やっちゃってんの、私ェ……
「リリー、ちょっとフランの様子見て来てくれ」
「分かりました」
そう言うと、十年後のリリーちゃんはスッと消えた。
え、十年後ってテレポート自由にしてるの!?
「いや、ここにいる四人しか知らないよ。
リリーもローズも器用だから、バレないように乱用してる」
そりゃまた結構な事で。
「十年後の俺って、こんな風になってんのか……」
ロナウドが十年後のロナウドに話し掛けた。
「そうだよ。
どうだ、十年後の俺に会った感想は」
「例のジジィ伯爵どうにか出来たか!?」
出会って最初の質問がそれかよ!
「あっはっは!
そういや俺も十年前そんな質問してたな。
例のジジィ伯爵は俺らがここに来たすぐ後くらいにポックリ逝ったよ。
今はあいつの息子が伯爵になってるけど、親とは全然違って話のわかる奴だ」
まぁ、好きな物食ってばっかの不健康そうな生活送ってたらしいからね、自業自得。
あれ、俺の心が痛い。
「そっか。
くっそー、俺の手でどうにか出来る相手じゃなかったのか、何か悔しい」
「あの、フラン様はどうしてここへ来られないんですか?」
ローズさんが十年後のローズさんに聞いた。
「フラン様、今動けないの。
仕事で忙しいとかじゃなくて、物理的に」
ぶ、物理的に?
何かに拘束されてるとか?
ま、まさか犯罪か何かを犯して牢屋にでも入れられてるんじゃ……
「フラン!」
後ろから聞こえた声に、みんなが振り返る。
そこには、十年後のリリーちゃんと一緒に、ダボダボのワンピースを着た私がいた。
「会いたかった!
会えてよかった!」
十年後の私が、私に飛び掛るように抱きついてきた。
……あんまり今の私と代わり映えがないな。
「今と何らお変わりないですね」
「フラン様は歳をとらないのでしょうか」
「リリーに時間魔法かけてもらってんじゃないのか?」
ちょっと、十年後じゃないみんな、十年後の私に失礼よ!
「来れないんじゃなかったの?」
「来れないかと思ったけど、今回も超安産だったから間に合ったわ!」
あ、安産?
「え、私出産してたの!?」
「はい、後産も無事終わりましたので、治癒魔法で身体を治してこちらへ来ました」
なんてこった!
とんでもない日にタイムトラベルしてきちゃったね!!
「それで、男か女かどっちだったんだ?」
「ロナウド、十年前の私達がいるのよ。
今聞いちゃうと楽しみが無くなっちゃうじゃない」
「そういやそうだな」
「そう言えば、さっき私は来れないって言ってたけど、本当は会える事知ってたよね?」
「私たちの時も教えて貰えなかったもの。
それに、万が一って事があるでしょ?」
「未来は知りすぎない方がいいですよ」
「そうです、将来へ不安を抱えて生きていくのは苦しいですからね」
十年後のリリーちゃんとローズさんが言うと、説得力がある。
「そういう訳だ、あんまり長居する理由はないんだから、さっさと帰っとけ」
十年後のロナウド、早く赤ちゃんに会いたいんだろうか、私たちを帰らせたがってるな。
「……そうですね、そろそろお暇しましょう」
「楽しい時間をありがとうございました」
「また会おうって言えないのが残念だけどな」
みんな、もう帰る気満々!?
待って!最後に一つだけ!
みんなに気付かれないように口パクで質問をした。
すると、十年後の私はニッコリ笑って頷いた。
良かった……!
笑顔の返事を貰ったのを合図に、メトロノームがなり始めた。
目の前にいた四人は、姿を消した。
いや、私達が四人の前から姿を消したのか。
不思議な体験だった。
十年後へ行ったのに、私の出産と例のジジィ伯爵が死んだ事しか分からなかった。
「「ふぁぁーっ」」
リリーちゃんとローズさんが深呼吸をしてる。
二人ともお疲れ様。
「ロナウド、タイムトラベルはどうだった?」
「フラン、何人目を産んでたんだろう」
そこが気になったか。
「だって、場合によっちゃ側室が必要になるかもだろ?」
そう言われると確かに。
え、側室取るの?
えぇー、嫌だなぁー。
「でもまぁ、四人とも幸せそうだったから良かった」
「そうですね、十年も経つと、私達あんな風になるんですね」
「あの髪型良かった、変えてみようかな」
ローズさんは早速十年後に影響されている。
「ところでフラン、最後に何か言いかけてなかったか?」
最後に交わした俺と私の会話。
『俺は元気か?』
私のあの様子なら、俺も十年後は元気そうだ。
これにて完全に終わります。
続きがあれば、双子がメインのお話になりそうなので、別で書くかもしれません。
最後までお読み頂きありがとうございました。





