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【番外編】王妃殿下は時空魔法を目の当たりにする

 あれからリリーちゃんととローズさんは、時間魔法と空間魔法を完全にモノにして、色々な研究を重ねていった。


 時間魔法では、生命の老化の加速や若返り、死者蘇生と言った完全に禁忌レベルの魔法。


 空間魔法では、空間生成や空間消滅、空間接合と言ったこれまた禁忌レベルの魔法。


 二人とも私の研究に付き合ってくれてるのはいいけど、かなりヤバいことに手を出してるから。


 まぁ、それはみんな自覚してるから、実験は完全に三人だけの極秘事項になってるんだけど。


 王宮図書館の地下にある禁書や貴重な書物を全部読んだんだけど、過去に時間魔法や空間魔法、それに近しい魔法を使ったっていう事はどこにも書いてなかった。


 つまり、リリーちゃんとローズさんは世界初の時間魔法使いと空間魔法使いだってことになる。


 乙女ゲーの二人のヒロインは次元が違うと実感するわ。




 今日は遂にあの実験をする。


 そう、光属性と闇属性の複合魔法を。


 まずは簡単なものから。


 棚の上にあった砂時計をひっくり返して机の上に置く。


「この砂時計を五分前に戻すの。

 つまり、今とは逆さまの状態であの棚に戻すのよ」


 簡単なものとか言っちゃってるけど、かなりの無茶振りだと思う。


 だって、ただでさえ難しいとされている複数人による複合魔法を、時間魔法と空間魔法という誰も知らない最新の魔法を使って、時空魔法という未知なる魔法を作るのだ。


 危険が伴う可能性も高い。


 でも、私達の好奇心と探究心は留まることを知らなかった。


 四属性の時と同じく、リリーちゃんとローズさんはお互いの魔法のイメージを完全に一致させる。


 ただ、二人は複数人での複合魔法はやったことがない。


 その上、どんどんと時間が経過しているこの砂時計を五分前の状態戻すには、二人のタイミングはコンマ一秒のズレも許されない。


 タイミングを合わせるために、メトロノームを用意している。


 カチッ、カチッという音だけが鳴り、時間は過ぎていく。


「5、4、3、2、1」


 いきなりリリーちゃんがカウントダウンを始める。


 そして、0のタイミングで砂時計は消えた。


 いや、棚の上に戻った。


 砂は完全に落ちている状態。


 つまり、砂時計を五分前の状態に戻したのだ。


「ほ、本当に……やっちゃうなんて……」


 まさか、まさかだ。


 本当に時空を超えるだなんて。


 いや、実際もしかしたらとか思ってたけど、科学的には実現することなんて出来ない。


 ただ「不可能とは言いきれないから試しにやってみよう」って感覚でやってみた実験を、まさか本当に成功させるだなんて、思ってもみなかった。


 どういう原理で出来てるんだろう?


 もしかして、魔法のある世界のご都合主義的な所もあるのかな?


 いやちょっと、分からなすぎて何が正解なのか想像も付かない。


 リーマン予想を解決しろってくらい無茶難題だ。


 俺も私も混乱して頭がパンクした。


「フ、フラン様……」


 ローズさんの声でハッと我に返ると、床に座り込んだリリーちゃんとローズさんが目に入った。


「ごめんなさい!

 あまりの出来事に、現実から離れてしまってたわ!

 二人とも大丈夫!?」


「はい、何とか……」


「今までに経験した事ないほどの魔力を一気に使った気はしますが、しばらくすれば落ち着くと思います……」


 どうしよう、何て声を掛ければいいのだろう?


 人間、驚きすぎると思考回路が停止するのか。


 知らなかった。


「……月並みな事しか言えなくて申し訳ないけど、二人とも凄いわ!

 ごめんなさい、感動しすぎて語彙力がなくなっちゃった」


 リリーちゃんとローズさんはお互いを見て、フフっと笑った。


「私たち、フラン様をこんなにも驚かせちゃいましたね」


「はい、何だかドキドキしちゃいますね」


「とりあえず、二人とも今日は休んで!

 また後日この時空魔法の話をしましょう」




 リリーちゃんとローズさんが時空魔法を成功させてから一週間(十日間)が経った。


 今、私とロナウドは外交で海外にいるため、あれから実験は出来ていない。


 ロナウドからは時間魔法や空間魔法の時から「何の研究してるんだ?」としつこく聞かれてるけど、こんな事言えるわけがないでしょ!


 いやぁー、タイムトラベルとかめっちゃ憧れはあったんだけど、実際目の当たりにすると感動を通り越して放心しちゃうもんなんだなぁ。


 あの実験の日から、どこでも何があっても寝ていた私は、興奮しすぎてろくに眠れてない。


 昼間の外交中も話半分で心は上の空。


 ロナウドがサクサクと話を進めていて、いつの間にか何かの契約が交わされてた。


 先程あったパーティでは、普段以上にダンスが荒ぶり相手国の皇帝陛下の足をガッツリ4回踏んだ。


 でも流石にこれはいかん。


 今夜はしっかり睡眠を取っておこう。


「明日帰るのに今更?」


 はい、本当に申し訳ありませんでした。




 寝不足だった私は、二日間帰りの気球の中で爆睡した。


 おかげで、帰国当日は時差ボケもなくスッキリ。


 そんな私は帰宅後ロナウドから二十分ほど小言を言われた。


 心の底から反省してます。


 だから、一ヶ月(五十日)ポテチとコーラ没収とか言わないで!



 ロナウドからの厳しい厳罰を受けた私は、久しぶりにリリーちゃんとローズさんに会った。


 二人とも、何だか良い笑顔だ。


「おかえりなさい、フラン様」


「おかえりなさい。

 会いたかったです」


 私も二人に早く会いたかったよぉ!


「「フラン様、おかえりなさい」」


 ……は?


 後ろから二人の声が聞こえた気が……


 振り向くと、リリーちゃんとローズさんがいる。


 え? え??


 えぇーーーー!!?


 どうなってんの!?


 リリーちゃんとローズさんが二人いる!?


「私たちは、昨日から来たんです。

 驚きました?」


「早くフラン様に会いたくて、一日時空を超えてみたんです。

 上手くいって良かったです」


 正面に立っている二人がそう言った。


 ま、マジでタイムトラベルしちゃってんの……?


「誰かに見つかると良くないのでもう帰りますが、無事お会い出来て良かったです。」


「では、後は今日の私たちとお話してくださいね」


 そう言ってメトロノームを五回鳴らすと『昨日のリリーちゃんとローズさん』は目の前から消えた。


 ……は?


 …………え?


「そういう事です」


「私たち二人、時空魔法を操れるようになりました」


 ポカーン……


 混乱して情報が処理しきれない。


 落ち着け…………


 心を平静にして考えるんだ…こんな時どうするか……


 落ち着くんだ… 『素数』を数えて落ち着くんだ…


『素数』は1と自分の数でしか割ることのできない孤独な数字……


 わたしに勇気を与えてくれる


 2…3…5…7… 11…13…17……19


 23…28… いや…ちがう29だ


 29…31…37… カブト虫…


「フラン様、大丈夫ですか?」


 リリーちゃんが治癒魔法で混乱状態を解いた。


 我に返った私は、二人に問い詰めた。


「ふ、二人でまさか練習してたの!?」


「はい、どうでしたか?」


「どうって、めちゃくちゃ驚いたわよ!

 タイムトラベルなんて、どうして危険な事まで……!」


「私たち、フラン様から頂いてばかりなので、何かお返しがしたくて」


「そんなっ……もし事故か何かあったらどうするつもりだったの!?」


「そうならないために、一週間以上二人で訓練してたんです。

 実際私たちがタイムトラベルする前までに、何度も何度も実験しました。

 大丈夫だと二人で確信できたから、昨日の私たちは今日ここへ来たんです」


 真剣な顔の二人。


 私は、二人の手を取った。


「二人が無事で本当に良かった……

 これからはあんまり心配させないで……」


「フラン様……」


「はい、ごめんなさい……」


「それ以上に、二人とも素晴らしいわ。

 どんな褒め言葉もちっぽけになるほどよ。

 こんな偉大な魔力持ちが私の友達だなんて、これ程誇らしいことはないわ」


「フラン様……ありがとうございます」


「必ず、この成果をフラン様のお役に立てます」


 うんうん、ありがとう二人とも。


 ただ、私に黙って実験してたのは頂けないわ。


 罰としてあなた達も私の罰に付き合って、一ヶ月間禁酒と時空魔法禁止ね。


「「そ、そんな……」」

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― 新着の感想 ―
[一言] これからは発酵食品の研究とか製品の加速試験が捗るな
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